目次
そもそも、Uターン・Iターンとは?
「聞いたことがある」という方がほとんどだと思いますが、改めて単語の意味を確認してみましょう。
Uターン
生まれ育った出身地を離れて、都市部や他の都道府県で就業・就職をした後に、再び生まれ育った出身地に戻って就職・転職することを指します。
代表的なケースは下記です。
Aさんの事例
高校までは地元の学校に進学。都内の大学に合格したことをきっかけに上京し、卒業後はそのまま都内企業に就職しました。
数年後、生まれ育った地元でマイホームを買うことを決意し、転職することになりました。
⇒このように進学を機に上京した人が、数年後に地元企業に就職するケースが一般的です。
Iターン
現在住んでいるエリア以外へ移住し、就職することを言います。
こちらも該当するケースをご紹介します。
Bさんの事例
東京で生まれ育ち、都内の大学に進学。
そのまま都内企業に就職しましたが、数年後に心機一転。
地方エリアでの暮らしに魅力を感じ、新潟県の企業へ転職することになりました。
⇒最近は「都市部出身の方が地方へ移住し働くケース」で使われることが多いようです。
なぜU・Iターンを希望する人が増えているの?
仕事が多い都市部に比べて、企業数が少ない地方へ転職する理由は何なのでしょうか。
具体例を確認してみましょう。
キャリアアップするため
地方企業の多くは事業継承問題を解決するために、専門性を持った人材を確保しようと求人募集を出しています。
「現在の仕事で窮屈さを感じてしまった」「経験を活かせる企業へ転職したい」という方が理想のキャリアを手に入れるために、選択肢として検討することが増えているようです。
リビングコストが安い
生活にかかるコストが安いというのも魅力の一つと言えます。
最も顕著なのは家賃で、都心部と地方で比較すると約2万円の差額があると言われています。
この差額を有効的に活用すれば、同じ家賃で広い家に住めたり、節約して貯蓄額を増やしたり、生活幅を広げることが可能になります。
ワークライフバランスを保てる
1都3県で働く人の通勤往復時間が平均90分なのに対して、それ以外の43道府県で働く人の通勤往復時間は平均45分という統計があります。
前述した通り、安い家賃で職場の近くに住めるため、子育てや介護、趣味との両立がしやすくなり、ワークライフバランスの取りやすさに期待が持てます。
企業側の受け入れメリットとは?
U・Iターン希望者の増加理由が分かったところで、今度は企業側のメリットについて考えていきましょう。
新製品の開発
限られたエリアや取引先との交渉で成り立っている企業は、外部との交流が少なく、新しい文化に触れる機会がほとんどありません。
そこに新しい発想が介入することで、幅広いニーズに対応した製品の開発に繋がったり、マンネリ化した事業に良い緊張感を与えることができます。
事業の拡大
U・Iターン希望者の中には都心部の大手企業で働いていた人も多く、優秀な人材を採用できるチャンスも多くあります。
さらに、その人材を通して都市部へネットワークを広げていくこともできるため、事業拡大に繋がる可能性が高いと言えます。
離職率が低い
Uターンの場合は、「もともと住んでいた土地で知り合いが多く、居心地が良い」という理由から離職率が低い傾向があります。
また、Iターンの場合は、転居を伴う転職になるため、覚悟を持って転職活動を行っている人が多く、同様に離職率が低いと言われています。
U・Iターンを後援する支援制度
地域活性化の取り組みを強化する地方自治体が増えてきたことで、さまざまな支援制度が生まれています。
ここでは既に実用化されている制度をいくつかご紹介します。
「家賃助成金」/茨城県常太田市
新婚世帯(夫婦いずれも満50歳以下)に対し、月額2万円を最大36ヶ月間支給。
「ふるさと企業就職活動支援事業助成金」/兵庫県但馬地域
U・Iターン転職者に対し、面接選考時にかかる旅費の半額を助成。
「子育て応援住宅等取得支援事業」/広島県神石高原町
新規居住者が住宅を購入する際に、最大150万円を助成。
このように、条件を満たす場合に支援金や助成金を出すという自治体が増加しています。
イニシャルコストの低下は、U・Iターンを意識する人にとって心強いサポートになるため、積極的に活用しようとする人は増えていくことでしょう。
まとめ
今回紹介したU・Iターン以外にも、Jターン(地方出身者が都市部へ移り住んだ後、出身地とは違う地方都市に定住すること)やRターン(自分の起源:ROOTの土地に移住すること)といった、さまざまな転職のカタチが発生し、求職者の仕事に対する意識も変化を遂げています。
「都市部での生活にメリットを感じなくなってきた」といった意見も増え始めており、18歳以上の男女1万人を対象に行った意識調査では、将来的に地方への移住を考えている人が全体の3割以上という結果も出ています。
優秀な人材を確保できるのが都市部だけでは無くなってきた今日、U・Iターン採用に目を付け、積極的に活用する企業も目立ちます。
あなたの企業でも会社としてのメリットを検討したうえで、取り入れてみてはいかがでしょうか。