ここ最近の新入社員は、『働く』ことに対して何を期待し、何に不安を抱いているのだろう…そんなことに頭を悩ましている人事担当者も多いのではないでしょうか。
リクルートマネジメントソリューションズ社が行った5つの質問の調査結果からそれらの実態を探り、その悩みを解決するヒントを見出していきたいと思います。
※出典:リクルートマネジメントソリューションズ 調査レポート(https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000000569/)。
働く上で大切にしていること
『あなたが社会人として働いていく上で大切にしたいことは何ですか?』という問いに対して、『社会人としてのルール・マナーを身につけること(47.3%/+1.0%※昨年比)』が1位、『仕事に必要なスキルや知識を身につけること(40.3%/-0.2%)』が2位となりました。
この2つは、5年連続で同じ順位です。
注目すべきは『周囲(職場・顧客)との良好な関係を築くこと(40.1%/+3.5%)』が2010年の調査依頼、最高値となり、3位に返り咲いたことです。
一方で『任せられた仕事を確実に進めること(32.9%/-4.6%)』が4位となり、5年前の水準に戻りました。
このことから、『人間関係』は重視する一方で『仕事面』に対する意識は多少薄くなってきていると言えます。
『失敗を恐れずにどんどん挑戦すること(28.0%/-1.3%)』も、年々低下傾向にあります。
理想の職場は?
『あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?』という問いに対しては、昨年の調査に引き続き『お互いに助け合う(56.8%/+0.5%)』が1位、『アットホーム(43.6%/-1.0%)』が2位となりました。
一方で『活気がある(33.3%/-2.0%)』は過去5年間と比較して-11.2%、『お互いに鍛えあう(19.6%/-1.2%)』も-5.3%と、大幅な減少傾向にあります。
スポーツの世界で見られるような競争にさらされる環境よりも、お互いが協調しあう『温かな職場』が好まれているのでしょう。
また、今回の調査では『遠慮をせずに意見を言いあえる(36.8%/-3.6%)』を抜き、『お互いに個性を尊重する(38.0%/+3.7%)』が3位に浮上しました。
『事なかれ主義』が、ここ最近の新入社員の間で根強くなってきていると言えるのではないでしょうか。
別な見方をすれば『チームワーク』をとても重視していることが、よく分かります。
身につけたいスキル
次は、『あなたがこれから身につけたい・伸ばしたいと思っている力は何ですか?』という問いから、新入社員がこれから先、磨いていきたいと考えているスキルを見ていきたいと思います。
結果は、昨年同様『コミュニケーション力(62.7%/+1.2%)』が断トツでトップ。
2位である『専門知識(32.2%/-1.4%)と大きく差をつけました。
注目すべきは、3位以下に変動が見られたことです。
ここ5年は、先に述べた『コミュニケーション力』、『専門知識』そして『プレゼンテーション力』が、身につけたいと思っている3大スキルとなっていました。
ですが、今回はそれまで3位だった『プレゼンテーション力(25.0%)』が昨年比で-3.4%と5位に転落。
過去5年間で見ると、-6.8%の下げ幅となっています。
その代わりとして『マナー(27.5%)』が昨年比で+2.9%となり、3位に浮上しました。
なぜ『プレゼンテーション力』が選択肢として、年々減少傾向にあるのでしょうか。
推論になりますが、これまでの調査結果を踏まえると、人前に立って話さなければならないプレゼンテーション自体を、避ける気持ちが背景にあるのではないかと考えます。
仕事をする上で不安に思っていることは?
新入社員たちが仕事に対する意欲そのものを失っているわけではありません。
『あなたが仕事・職場生活をする上で不安に思っていることは何ですか?』という問いに対して、トップである『仕事についていけるか(62.5%/+0.2%)』に次いで、『自分が成長できるか(39.5%/+3.7%)』が2位となりました。
過去5年間で見ると、3.2%上昇し、他にあるどの回答よりも伸びています。
不安はあるもの、成長への意欲はむしろ高まっているのです。
ちなみに昨年と比べて最も低下したのは、-1.3%の減少となった『十分な収入が得られるか(14.6%)』でした。
『ガツガツ稼ぐ』といった、いわゆる体育会系的な志向が薄まっている、または避けられていることが伺えます。
まとめ
確かに、最近の新入社員は競争意識の高い環境や、厳しく指導する上司などは避ける傾向にあります。
そういった環境で育ってきた方からすると、多少の歯がゆさはあるかもしれません。
ですが、これまでの習慣が通用しないことは、明らかです。
例えば、何か問題点があれば「なぜそれがダメだったのか」を頭ごなしに伝えるのではなく、お互いの会話を繰り返す中で、丁寧に理解を求める姿勢が大事になってきます。
気をつかう部分も多々あるでしょう。
とはいえチームワークを何より大切にするのが、ここ最近の新入社員。
スキルや経験さえ伴えば、いずれ会社組織を発展させるには欠かせない存在となっているのではないでしょうか。