効果的な求人票の書き方は?コツや注意点を紹介!

 

求人票の内容によって応募数は大きく変わります。

また、禁止されている表現やワードを使用すると、法令違反になる場合もあるので注意が必要です。

 

この記事では、魅力的な求人票を作成するためのコツや注意するべき禁止ワード、表現について解説します。

法令を遵守した魅力的な求人票を作成し、採用活動を成功させましょう。

 

 

求人票とは

求人票とは「求職者が応募を決める際の重要な情報源」で、自社の情報や募集する職種の仕事内容・給与・待遇等の条件面が記載されています。

公共職業安定所(ハローワーク)や民間の人材紹介会社、人材派遣会社や専門学校へ提出する他、Indeedなどの求人検索エンジンへの掲載時でも作成します。

 

求人票は自社に興味を持ってもらい、応募者を増やして候補者の母集団を形成することを目的としています。

また、求人票には職業安定法に基づいて定められた「労働条件」や「募集概要」を明示しなくてはなりません。

 

求人票の書き方を工夫すれば効率よく採用できる

求職者にとって求人票は新しい企業について知るきっかけになるだけでなく、既に知っている企業の「採用への取り組み方」を知る貴重な情報源となります。

 

求人票の内容が魅力的であれば、応募のきっかけになりますし、そうでなければ、応募につながりにくくなります。

最悪の場合、求人票の内容を見て応募意欲を失うことも考えられるため、注意が必要です。

 

求人票に書かれている内容が同じでも、書き方次第で求職者の印象が大きく変わることを忘れてはいけません。人事担当者として自社について詳しくかつ魅力的に伝えるために、求人票の書き方を工夫することが大切です。

 

求職者が求人票で注目している項目

応募者が重要視する求人票の項目

引用:厚生労働省 山形労働局「県内ハローワーク利用者に対するアンケート調査を実施

 

ハローワークを利用している1,670人を対象に実施した山形労働局の調査によると、求職者が求人票を閲覧する際に重要視している項目は以下の通りです。

 

  1. 仕事内容
  2. 就業場所
  3. 賃金
  4. 休日等

詳しく見ていきましょう。

 

1.仕事内容

求職者が最も重要視している項目は「仕事内容」でした。

その中でも求職者が主に関心を持っているポイントは次の3つです。

 

  1. 一日あたりの労働量
  2. 最初に覚えるべき仕事内容
  3. 未経験者の仕事の習得期間

求職者は「職務がどのような内容なのか」について関心が高く、「未経験で応募できる求人」を探している人が多いです。

 

2.勤務地

求職者がチェックする2番目の項目は「職場」です。

職場が最寄り駅や他の交通手段で簡単にアクセスできるかどうかは、求職者にとって重要な要素です。

職場が車やオートバイでの通勤を許可している場合、求職者にとってメリットになる可能性もあるので、求人票へ記載しておくと良いでしょう。

 

3.給料

求職者がチェックする3つ目の項目は「給料」です。

多くの求職者は、前職からの収入を増やしたいと考えており、給与欄は求職者が応募の可否を検討する際の重要なポイントだと言えます。

求人情報の書き方としては、賞与や手当などのインセンティブを含めた年収例を記載すると良いです。

 

4.休日

求職者がチェックする項目の4つ目は「休日」です。

休日はライフスタイルに大きな影響を与える可能性があるため、取得する曜日だけでなく、業種や職種によって有給休暇や連休の有無などの情報も盛り込みましょう。

 

5.関心のある他の側面

先述の4項目に加え、

  1. 日々の業務フロー
  2. 人材を採用する理由
  3. 選考基準

などの項目も求職者の関心が高いため、求人票に記載することをおすすめします。求職者の心理や興味を考慮した情報を含めることが重要です。

 

求人票に最低限記載すべき項目

求人申し込みを行う場合は、少なくとも以下の情報を明示しなければなりません。

求人票に記載すべき最低限の項目をわかりやすく以下の表にまとめてみました。

記載が必要な項目 記載例
業務内容

一般事務

契約期間/試用期間

期間の定めなし/試用期間あり(1か月)

就業場所

本社(●県●市●-●)

支社(△県△市△-△)

就業時間/時間外労働

9:00~18:00/時間外あり(月平均10時間)

休憩時間

12:00~13:00

休日

土日祝

賃金

月給18万円(ただし試用期間中は月給15万円)

加入保険

雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険

募集者の氏名または名称

○○株式会社

受動喫煙防止措置の状況

屋内原則禁煙(喫煙専用室設置)

参考:厚生労働省・都道府県労働局「労働者を募集する企業の皆様へ

 

労働条件を明示する際は虚偽や誇大表現はしてはなりません。

試用期間中の労働条件や職場環境を具体的に明示し、変更の可能性がある場合はその旨を明示します。また、実際に変更された場合は速やかに知らせるように配慮しましょう。

 

求人票作成時の注意点(NGワード・禁止表現)

求人票を作成する際には、禁止されている表現に注意が必要です。ここからは種類別に注意点を解説していきます。求人票を作成する際に参考にしてください。

 

性差別表現

男女雇用機会均等法により、性別に基づく差別ワードは禁止されています。求人票や採用においても性別を理由とする差別は認められません。

 

表記OKな例とNGな例は以下の通りです。

内容 表記OK例 表記NG例
性別を理由に採用の対象から除外する禁止表現

主婦(夫)歓迎

主婦歓迎

営業職、撮影スタッフ

 

営業マン、カメラマン

看護師、保育士

看護婦、保母

ホールスタッフ

ウェイター、ウェイトレス

女性活躍中

女性歓迎

性別ごとの募集人数の記載

募集人数:8名

募集人数:男性5名、女性3名

性別で異なる条件を記載した表現

営業スタッフ(法人営業経験者歓迎。未経験可)

営業スタッフ(男性:法人営業経験あり、女性:未経験可)

性別で異なる情報提供や採用試験をする記載

説明会・面接

※男女ともに同一の試験内容を実施する

男性のみ説明会参加、女性のみ面接あり

性別を限定して募集や採用対象から排除する表現

支店長候補(男女)

支店長候補(男性歓迎)

 

※現金輸送車の警備員や巫女といった「適用除外職種」として認められている業務においては、業務を遂行する上で性別による制限が必要な場合があります。

このような業務に関する求人においては性別を限定して募集でき、違反にはなりません。

 

年齢差別表現

雇用対策法には「年齢を制限する表現を使ってはいけない」というルールがあります。この法律は労働者を募集・採用する際に、年齢に基づく差別を防ぐために作られたものです。

 

許可されている表現例と禁止されている表現例は以下の通りです。

内容 表記OK例 表記NG例
特定の年齢層を採用の対象から排除する表現

年齢不問

募集年齢:35歳まで

特定の年齢層の応募を排除する表現

学生歓迎

若い方歓迎

特定の年齢層に対し条件をつける表現

全員適性検査を実施

45歳以上適性検査を実施

※長期勤続によるキャリア形成や定年など、合理的な理由があると認められる場合、年齢制限を設けることは可能です。

 

参考:厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について

 

特定の人物を差別・優遇する表現

求人票を作成する際、特定の個人を傷つけたり怒らせたりする可能性がある表現や言葉は「差別的な表現」と見なされる可能性があります。差別の意図の有無にかかわらず、相手を不快にさせるような表現や言葉は使わないことが大切です。

 

2023年現在、日本ではCOVID-19ワクチン接種を雇用の要件にできません。

政府はワクチン接種を「推奨」しただけで義務化していないため、ワクチン接種拒否による不利益な措置は違法となる可能性があります。求人票を作成する際はこの点にご注意ください。

 

許可されている表現例と禁止されている表現例は以下の通りです。

内容 表記OK例 表記NG例
人種、民族、国家

外国人

外人

部落差別 

被差別部落

特殊部落            

地域

出身地や居住地の特定はしない

〇〇県にお住まいの方

心身の障害や身体的特徴

色覚障害

 

色盲(色覚異常)

性格

コミュニケーションを取りながら接客が出来る人

コミュニケーション能力が高い人

ワクチン接種等の有無

ワクチン接種推奨

ワクチン接種必須

 

当然ですが、好条件を装って労働者を騙すことは禁止されています。

経営状況によって求人票作成時と入社時の労働条件が変わることもありますが、変更があった場合は求職者に正確に説明することが必要です。

 

また、求人票の内容に「労働基準法」に反する表現や内容が含まれていないかどうかも、確認する必要があります。

 

例えば、

  1. 給与が最低賃金以下
  2. 就業時間が法定労働時間を超えている
  3. 勤務時間が6時間を超える場合に最低45分(8時間を超える場合に最低1時間)の休憩時間が取れていない

などの内容です。

 

これらの情報は求職者に提供する前に正確に確認しておきましょう。

 

禁止表現をした場合のペナルティ

実際と異なる情報や禁止された表現を求人票に記載すると、法律違反となり、最高で6ヶ月以下の懲役刑または30万円以下の罰金が科せられます。

 

また労働関係の法律違反があった場合、行政から是正勧告などの指導を受ける可能性があります。企業名が公表されるなど、社会的な制裁を受けることもあるので注意が必要です。

 

法的な問題だけでなく、モラル的な問題も生じます。そのため、求人広告においては、禁止表現を使わずに正確な情報を記載することが大切です。たかが求人票と考えずに、細心の注意を払うように心がけましょう。

 

求人票作成のコツ

求人票に書く必須項目や表記NG例を理解したところで、ここからはどのような書き方が望ましいのか、ポイントやコツをご紹介します。

 

業務内容を詳しく書く

求人票には、業務内容を詳しく書くことが重要です。

ただ「一般管理」や「営業」などと記載するだけでは、実際にどのような仕事をするのかをイメージすることが困難です。より明確なイメージを提供するためには『職務の内容』を具体的に記載しましょう。

 

例えば、単に「事務サポート」でなく「請求書の処理や営業部門で共有するデータの入力、時には電話応対や来訪者への挨拶といった会社の顔になる業務」などのように記載するのです。

詳細を記載することで、応募者は自分がその役割を担っていることを想像し、自分のスキルや興味に適しているかどうかを判断しやすくなります。

 

応募条件を明確にする

応募条件を明確にすることで、求職者自身がその求人に適しているかどうかを判断しやすくなります。条件が明確になれば、望まない職種への応募が減り、採用担当者も応募者のスクリーニングができるという「win×win」な状態が実現します。

 

さらに、条件を明確化することで「求める人材像」を明確にすることが可能です。採用したい人材像に合致する候補者が集まりやすくなり、採用後の成果や満足度も高まるでしょう。

 

応募条件の明確化は、求職者が自己判断をしやすくするだけでなく、採用担当者の選別作業を軽減させ、採用の成果や満足度を高めることにつながるため非常に重要です。

 

福利厚生を省かない

交通費支給や社会保険完備などは、「書かなくても分かるだろう」と思うかもしれませんが、必ず記載しましょう。

 

というのも、「福利厚生」が求職者自身や家族の生活に関わる重要な要素だからです。福利厚生の記載を省いてしまうと、求職者は「この会社には福利厚生がないのかもしれない」と勘違いし、待遇面で不安を抱えてしまう可能性があります。

 

企業が提供している「福利厚生」を求人票にしっかり明記することで、求職者に対して大きな信頼感を与え、採用につながる可能性がぐんと高まるでしょう。

社会保険の加入状況や退職金制度などは、長期的な働き方の計画を立てる上で重要な要素となります。そのため、求人票には福利厚生に関する情報を明確に記載することが重要です。

 

職場の雰囲気を伝える

必ずしも職場の雰囲気や社風を求人票に明示する必要はありませんが、適切な人材を採用するためには非常に重要です。

 

たとえば、

  1. 毎月チームでスポーツレクをやっています
  2. 社員同士が仲が良く、帰りに飲みに行くことが多いです

などの記載があれば、職場の人と一定の距離を保ちたいと考えている求職者は応募してこないでしょう。

 

職場の雰囲気を事前に伝えることで、価値観の近い人が応募しやすくなり、離職率の低下を期待できます。最初から「どんな雰囲気なのか」自社の情報を開示することが双方にとってのメリットです。

 

キャリアパスを提示する

仕事に就いた場合のキャリアパスや、子育てをしながら時短で働く社員の例など、柔軟に働けるという事実を示すことも有効です。

 

また、数年後にどのような職務を担当できるようになり、どのようなキャリアパスがあるかを具体的に示すことで、求職者のモチベーションが高まるでしょう。

 

このような情報を提供することで、自分に合った働き方やキャリアプランを求める求職者を呼び込めます。

 

つまり「この会社での働き方は私には合わない」と感じる人々からの応募を減らし、結果的に企業と応募者のマッチ度の向上が期待できるのです。

 

まとめ

求人票を作成する際は、性別や年齢などの禁止表現に十分注意することが重要です。法律で禁止されている表現を使用しないよう、注意深く確認しましょう。

 

採用後のトラブルを防ぐためにも、求人票には仕事内容や待遇について正確な記載が必要です。求職者にとって分かりやすくスムーズな採用プロセスを進めるためにも、正しい求人票を作成しましょう。

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