「パーパスブランディング」とは一体何なのでしょうか。

 

流行りのワードのように捉えられますが、実は多くの起業が実績を挙げています。

 

今回は実際に複数の成功実績をもとにして、真意と効果を掘り下げながら理解を深めていきます。

 

パーパスブランディングとは?

パーパスブランディングとは、自社の存在価値を見出すために実施するブランディング戦略です。

 

パーパスブランディングとはそもそも何か、どのような目的で定められるのか紹介します。

 

パーパスとは

パーパスとは、マーケティングで「存在意義、目的、志」といった意味で使われ、商品の販売や利益追求だけでは説明しきれない深い意味合いを持ちます。

 

パーパスは企業の行動指針になるため、そのビジョンと戦略を築く礎となります。

 

また、従業員のモチベーションを高め組織の一体感醸成や、コミュニティとのパイプ作りにも役立ちます。

 

パーパスブランディングの目的

パーパスブランディングは、企業ブランドを社内外に浸透させることを目的としています。

パーパスブランディングを行うことで、自社事業の内容や提供サービスだけではなく、どのような想いで事業を行っているのかを提示できます。

 

また世の中にどのような価値を生み出していくのかまで、社内外にアピールができます。

 

これにより安定したファンの獲得をはじめ、社内への企業理念浸透を実現できます。印象のよい企業ブランドは、社員のモチベーション向上や採用強化、さらには将来的な顧客獲得にまでつなげられます。

 

パーパスブランディングは、短期間で成果を得られるものではありません。しかし、より持続可能な企業成長を見込める手法です。

 

従来のマーケティングとの違い

パーパスの意義と、制定される理由を知ったうえで、従来のマーケティングとは何が違うのかも覚えておきましょう。

通常のブランディングは企業や製品、サービスの特性や価値を明確化し、ターゲットである顧客に価値を伝える経過や戦略を意味します。

 

見込み顧客を絞り込み、得られる利益に焦点を定めた利益重視の戦略です。

比べて、パーパスブランディングは、自社が掲げるパーパスを世の中に認知してもらい、多くの共感や信頼を獲得してブランディングにつなげる手法です。

 

消費者との深いつながりを築き、ブランドのロイヤルティを高められます。

 

パーパスブランディングが注目されている背景

自社の存在価値や基準となるパーパスを軸に、企業のブランディングを展開していくのがパーパスブランディングです。

 

では、なぜ今パーパスブランディングが注目されるのか、3つの視点から解説します。

 

若年層の価値観の変化

パーパスブランディングが注目される理由の1つとして、消費者の価値観が変化したことが挙げられます。

 

今の世の中は多くの商品やサービスで溢れかえり、以前のように商品の価値や良質なサービスだけでは売れにくくなっています。

 

世代が若ければ若いほど、ブランドの価値観やブランドストーリーに共感できるかどうかを重視する傾向があるでしょう。

 

この価値観の変化は若年層の就職活動にも大きく影響しました。

給与待遇よりも、企業の社会貢献度などを重視する若者が増加しているからです。

 

若年層の購買意欲を獲得するためには、機能や価格をアピールするより、パーパスの提示が重要といえます。

 

投資家の評価基準の変化

現在では、投資の世界でもSDGsやESGなど社会問題への関心が高まっています。

 

そのため社会問題への取り組みに対しネガティブな企業は、投資家から見限られてしまうことが多くなっています。

 

以前であれば、ほとんどの投資家が「収益性がある企業かどうか」で評価してきました。

 

投資家から支持を獲得できない企業は、資金調達に苦戦する可能性が高まります。

 

投資家の評価基準が変化したことにより、企業が確固たるパーパスを打ち出す重要性がさらに高まっています。

 

消費志向の変化

現在、消費者の志向は「もの」から「こと」へ変化しています。形ある商品よりも、イベントや旅行といった「経験・体験」にお金を払う消費者が増加しています。

 

消費志向が「もの」から「こと」に変化している現状では、「何をどのように売るか(WHAT・HOW)」だけに注力していても思うようには売れません。

 

「消費者がなぜ買うのか(WHY)」が定かではない商品やサービスは、溢れかえる「こと(経験や体験)」の中で埋もれてしまいます。

 

「WHY」はパーパスの「自社の存在意義」にあたり、つまりは「自社はなぜ存在するのか」に大きく関わる部分です。

 

企業ブランドや商品、サービスの「WHY」の部分を明らかにするためにも、パーパスブランディングの重要度が高まっています。

 

パーパスブランディングの効果

社外に自社の価値を認知されれるためにも、パーパスブランディングは非常に重要です。

 

ここからは、パーパスブランディングで得られる具体的な効果を紹介していきます。

 

 顧客の共感や信頼を得ることができる

企業ブランドの存在意義が広く消費者に認知されれば、共感する消費者が現れます。

 

また商品やサービスに対しても「あの会社のものだから」といった信頼を獲得しやすくなります。

 

こうした共感や信頼は「次はこのブランドのものを」といった気持ちを消費者に芽生えさせる重要な要素となります。

 

 従業員のモチベーションを高めることができる

パーパスブランディングの企業への効果として、社員のモチベーションアップが期待できます。

 

企業の存在意義が社員に浸透し、ブランドを深く理解できると社員には誇りが生まれます。

 

例えば、SDGsを推進する企業ならば、「この製品はSDGsに貢献している」という自社商品に対する誇りと自信も生まれます。

 

こうした誇りと自信は会社とブランドに対する愛着に変わり、さらには社員のモチベーションアップにつながります。

 

 マッチング率の高い人材を採用できる

人材採用においてもパーパスブランディングは効果的です。

 

企業の存在意義が明確に定められている企業では、パーパスに共感した意欲の高い人材が集まりやすくなります。

 

自社の存在意義と価値観に合う人を効率的に採用できるため、定着率もおのずと向上していきます。

 

 SNS活用で企業ブランディングが強固になる

現在の流れとして、企業のパーパスに共感し信頼した顧客が、自身のSNSに思いを投稿するといった動きがあります。

 

顧客がSNSで情報発信をする過程で、企業ブランドは揺るぎないものに変化していき、その投稿が拡散すれば、話題性と認知度が飛躍していくのです。

 

しかし、SNSには炎上リスクがあることを忘れてはいけません。

企業はパーパスに基づいた行動を行い、獲得した共感や信頼を失わないよう注意が必要になります。

 

パーパスブランディングの事例4選 

パーパスブランディングの具体的な効果を紹介しましたが、自社への導入に踏み出せていない企業も多いです。

 

ここでは、実際にパーパスブランディングを導入した、いくつかの企業実例を紹介します。

 

これらの事例から、導入の際のヒントが見つかるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。

 

花王株式会社

花王株式会社は「豊かな共生世界の実現」をパーパスとして掲げています。

 

パーパス内の1つのテーマである「子どもたちが願う未来の実現」に向けて、消費者の日常生活を向上させる製品製作を行ってきました。

 

さらに社会貢献の一環として、持続可能な製品の開発、環境負荷の削減、高齢化社会やパンデミックなど様々な社会問題に積極的に向き合っています。

 

パンデミックへの取り組みとして、子どもたちが楽しく感染症対策ができるように、手洗いの歌を制作しました。

 

富士通株式会社

富士通株式会社は「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを掲げ、「すべての企業活動は、パーパス実現のため」と位置づけをしました。

 

パーパスに沿った人材戦略をはじめ組織変革のほかに、リモートワークの推進といった従業員の生活も充実させる取り組みを行っています。

 

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社は「社会課題の解決に取り組むことで社会と共に成長する」をパーパスとして掲げてきました。

このパーパス実現に向けて、「環境」や「健康」といった社会問題を、酒類メーカーとしての責任を果たす取り組みを進めています。

 

健康増進に寄与する商品の開発や、食事や運動に関する情報を提供しながら、持続可能な自然環境を次世代に繋げる活動に注力しているようです。

 

ソニー株式会社

ソニーは2019年に新しいパーパスとして「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」を発表しました。

 

新パーパスを企業全体に定着させるため、トップ自らが全世界の従業員に呼びかけ、パーパスを軸にした経営方針を積極的に打ち出しています。

 

また、持続可能な自然環境の実現のために、「Road to Zero」という環境ビジョンを掲げ、2050年までに環境への負荷をゼロにする取り組みをしています。

 

まとめ

ここまでパーパスブランディングについて、企業の実例とともに紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

パーパスブランディングは、若い世代の価値観の変化や消費者の志向変化により、今後も重要視されることが予想されます。

 

ただし、パーパスを世の中に発信したからには、必ずパーパスを具現化しなければなりません。

パーパスを無視して利益を追求したり、発信しただけで何ひとつ取り組まなかったりすると、従業員だけでなく消費者や投資家からの信用を失ってしまいます。

 

せっかく積み上げた信頼を無駄にしないように、企業全体でパーパス実現に取り組む必要があります。

自社の経営方針や企業理念、社内外のニーズにマッチしたパーパスを発信し、ブランドイメージを確立させましょう。

 

 

 

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