「長時間労働体質」の理由として、たびたび議論に上がるのが、日本独自の「メンバーシップ型」と呼ばれる雇用形態です。

 

そして、「メンバーシップ型」と対になる雇用形態とされるのが、欧米諸国で採用されている「ジョブ型」です。

 

欧米で主流のジョブ型雇用

仕事に対して人が割り当てられるため、労働者は職務や勤務地を限定して働きます。

 

そのため、職務記述書に記載された内容や条件以外の業務を行う義務はなく、ライフワークバランスの取りやすい働き方と言われます。

 

企業側は職務記述書に書かれた内容を変更することができませんが、専門性の高い優秀な労働者を確保することができ、企業の経営状況に合わせて労働者へ依頼する仕事がなくなった場合は配転の必要がありません。

 

逆に労働者にとって景気の動向によっては失業するリスクもあります。

 

急速にグローバル化する世界経済に対応するため、長年メンバーシップ型雇用を採用してきた日本にもジョブ型雇用を採用すべきではないかと注目を集めています。

 

2013年6月に内閣府が管轄している規制改革会議にて、ジョブ型正社員導入における雇用ルールづくりを本格化させており、新しい働き方として浸透していくことが予想されています。

 

日本で主流の「メンバーシップ雇用」との違いは?

仕事に対する考えの違い

ジョブ型

職務やポジションを明確に定め、起業と労働者の間で労働時間・勤務場所も決定されています。

 

職務記述の記載されている以外の仕事を行う義務もありません。

 

メンバーシップ型

職務範囲を明確に定めず、起業や従業員が必要と判断した場合は仕事内容に関わらず業務を遂行します。

 

労働時間も限定されていないため、必要があれば残業もします。

 

報酬の違い

ジョブ型

業務内容の評価で給与を与える職務給を採用しています。

 

つまり、労働者の能力のみに対して支払われます。

 

メンバーシップ型

勤務期間によって定められる職能給を採用しています。

 

年功序列に基づいているのが特徴です。

 

採用方法の違い

ジョブ型

欠員が出た場合に、欠員のポジションに相当する能力を持った求職者を採用します。

 

メンバーシップ型

具体的な能力ではなく、性格やコミュニケーション能力など潜在力での採用を行います。

 

新卒一括作用もこれに当たります。

 

移動・解雇の違い

ジョブ型

職務、勤務地が明確に定められており、移動や転籍はありません。

 

会社の業績悪化などにより、担当する業務がなくなった場合は契約解除(解雇)になるのが一般的です。

 

メンバーシップ型

明確に職務や勤務地を限定していないため、企業が必要と判断すれば移動や転籍に従う必要があります。

 

ジョブ型雇用/メンバーシップ雇用のメリット

ジョブ型のメリット

企業側のメリットは、欠員が出た場合、優秀な人材を確保することができます。

 

職務範囲と勤務場所が限定されているため、ポジションが不要になった場合は、契約終了しやすい傾向にあります。

 

労働者側のメリットは、職務記述書に記載されている仕事以外は履行する必要がありません。

 

担当する職務の評価によって給与が決定するため、能力に見合った待遇を受ける事ができます。

 

メンバーシップ型のメリット

職務範囲や労働時間、勤務地を限定しないため、企業側は会社都合で移動や転籍などを指示することができます。

 

業界の動向によって、経営資源を迅速に選択・集中させることができます。

 

労働者側は会社の命令に従う必要がありますが、不祥事を起こさない限りは会社の業績・業界の動向に関わらず、雇用関係は守られます。

 

さらに、年功序列により勤続年数ベースに給与が上がっていく傾向があります。

 

OJTや社内研修など教育が手厚いことも特徴です。

 

ジョブ型雇用/メンバーシップ雇用のデメリット

ジョブ型のデメリット

職務と契約場所を明確にするため、会社の都合によって転籍や異動を行うことができません。

 

職務記述書に記載されていない仕事を依頼する場合も、労働者から契約範囲外として受けてもらえないこともあります。

 

労働者側は自身の担っていた職務が不要となった場合、転籍や異動はなく契約終了になる傾向があります。

 

自分のスキルアップに必要な研修は基本的に社外で行うことが求められます。

 

メンバーシップ型のデメリット

労働法により固く保護されているため、従業員を客観的かつ合理的な理由がない限り、解雇することはできません。

 

経営悪化による整理解雇の場合も、解雇回避のための努力や適切な解雇手続きが必要になります。

 

労働者は会社の方針や意向に従う必要があり、異動や転籍を受け入れなければなりません。

 

また、法令範囲内での残業を求められる可能性もあります。

 

長時間労働による、健康被害や使用者と労働者の間で起こるハラスメントにあう危険もゼロではありません。

 

日本型雇用システムの前提にあった終身雇用、年功序列型賃金、企業内労働組合が崩壊しつつあり、それらが保証されているとは言えない状況になっています。

 

まとめ

少子高齢化による労働人口の減少により、日本独自のメンバーシップ型雇用から、個人の能力を重視したジョブ型雇用が注目を集めています。

 

それぞれ一長一短ではありますが、ジョブ型雇用には、女性や高齢者など、潜在化していた労働者を活用できるのではないかと期待されています。

 

一方で経験・能力を重視されるため、新卒者は圧倒的に不利になり、就職しにくくなります。

 

そのため、欧米社会は若年層の失業率が高い結果となっています。

 

メンバーシップ型、ジョブ型のそれぞれの良いところ取りをした、日本に合った雇用形態の模索が重要になるのではないでしょうか。

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