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制度について

ジョブ・リターン制度とは、冒頭でも少し触れた個人的事情によって退職した社員が本人の希望で退職前の企業に再雇用される制度のことです。

 

厚生労働省が行った雇用機会均等法基本調査(平成23年)によると、53.1%の事業所で制度が導入されていることがわかっています。

 

6年前の調査から今日に至る間にも政府が推奨するワークライフバランスを意識した働き方改革が推進され、ジョブ・リターン制度を導入する企業は大手企業を中心に年々増加しています。

 

上記のような働き方改革の影響のほかに、生産年齢人口が減少傾向にあることも制度が普及しつつある背景です。

 

2010年に約8000万人いた労働者数は、2030年には6800万人まで減少するという予測もあり、年齢や性別などを問わず労働者を確保しなければならないという状況があるのです(数値は2010年の総務省統計局調べ)。

 

「子育てを機に一旦退職したが、子どもに手がかからなくなったタイミングで職場復帰したい」

「介護していた親が亡くなり、再び同じ会社で働きたい」

 

といった社員のニーズを叶えるものとして注目を浴びています。

 

導入のメリット

ジョブ・リターン制度の恩恵を受けるのは社員だけではありません。

 

もちろん、再雇用を認める企業側にも大きなメリットがあります。

 

即戦力人材を確保できる

元々その会社の社員として働いていた方を再雇用するので、当然仕事内容や企業風土を熟知しており、教育等にかかる手間はほとんどありません。

 

退職期間中の変化を共有する必要はありますが、新卒・中途社員を教育するコストを考えれば微々たるものでしょう。

 

モチベーションの高い社員が多い

他社に転職するという選択肢があるにもかかわらず、同じ企業への復帰を願う方のほとんどはその会社における仕事へのモチベーションが高い方と言えるでしょう。

 

中には離職中に資格の勉強などを通じてスキルアップした方もおり、再雇用直後から事業改善・改革を進める人材としての活躍も期待できます。

 

社外へのアピールに繋がる

ジョブ・リターン制度の存在を福利厚生として求人広告などでアピールすることができます。

 

制度が適用された事例を併記できれば、「一度離職しても、社員が戻ってきたいと思える会社」として、採用活動における大きなアドバンテージになるでしょう。

 

活用事例  導入企業の紹介

サントリーの事例

同社は2007年4月から、勤続3年以上の社員が退職時にあらかじめ申請・登録をしておけば、育児や介護などの家庭の事情を理由に退職した社員が退職後10年以内なら復帰できるようにしました。

 

男女問わず利用できますが、今のところ利用者の大半は女性であり、男性社員への啓発が課題になっていると言えるでしょう。

 

森永乳業の事例

制度導入以前から再雇用制度が存在していた同社ですが、2008年10月から従来の制度を拡充した「リターンジョブ制度」を導入。

 

勤続年数が3年以上あれば、原則として退職理由を問わず再雇用できるように制度を整えました。

 

トヨタ自動車の事例

同社は「プロキャリア・カムバック制度」と銘打ち、2005年に制度の導入に踏み切りました。

 

対象者は勤続年数が3年以上、かつ1年以上専門職に従事した経験のある社員。

 

「配偶者の転勤」または「介護での退職」と、退職理由も絞られており、ハードルは高く設定されていますが、再雇用の対象となる退職期間に制限がないのが大きな特徴です。

 

このように、一言でジョブ・リターン制度といっても、制度を利用できる退職理由、退職期間などの条件は企業によって様々です。

 

導入の注意点

ジョブ・リターン制度を利用して現場に復帰した方でも、在職中とまったく同じ働き方をしたい方もいれば、時短を利用して働きたいという方もいます。

 

まずは再雇用する方が希望する働き方を把握し、その人の希望に合った雇用形態を整える必要があるでしょう。

 

また、再雇用された社員は「在職中と同様のキャリア形成ができるのか」「既存社員との関係に軋轢が生じることはないか」といった不安も抱えています。

 

そうした不安に応えられる環境の整備や定期的な面談の実施といったアフターフォローは欠かせません。

 

「そもそもうちの会社にジョブ・リターン制度なんてあったの?」と、一般社員に制度の存在が知られていないことも念頭に置いておかなければなりません。

 

また、制度の存在を知っていても復職後の展望が開けず、応募に二の足を踏むことも考えられます。

 

優秀な人材の流出を防ぐためにも、制度を周知する場は適宜設けるようにしましょう。

 

中には制度の存在を知らせ、退職者と繋がるツールを持つために退職者向けの特設サイトを設け、労使がジョブ・リターン制度で募集する業務・対象基準・就業規則などの情報を発信している企業もあるようです。

 

まとめ

ジョブ・リターン制度に対して、現役社員から「また何かしらの理由をつけて辞めるのでは」「出戻りが認められる社風は反対」という声もあり、考慮すべき点は多く残されています。

 

しかし、考え得るデメリットも企業側の情報共有や制度の詳細を周知することで回避できます。

 

一定の条件を満たせば選考を経ずに退職後の復職を果たせるジョブ・リターン制度は、人材不足が叫ばれる採用市場で大きな位置を占めるようになるでしょう。

 

既に再雇用制度を設けているという企業様も、改めて制度の内容を見直し、自社ならではのジョブ・リターン制度の導入を考えてみてはいかがでしょうか。

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