人事のための情報サイト 人事バンク

■そもそも「裁量労働制」とは?

一般的な企業で働く場合、1日8時間・週40時間というように、勤務時間の決められた働き方が基本となります。

これに対して、仕事をどのように進めるかを労働者の裁量にゆだねる働き方を『裁量労働制』と定めています。

 

具体的には、基本となる「みなし労働時間」を企業と労働者の間で決定し、その労働時間に見合った業務内容を企業が依頼。

その内容をキチンと果たせるのであれば、出社時間や勤務時間、業務の進行スピード、退社時間等を、労働者が自由に決めることができるのです。

 

◆例えば――みなし労働時間が8時間の場合

5時間の労働で与えられた業務の成果が出せた場合でも「8時間の労働」とみなされ、

減給されることなく1日にあたりの業務に支払われるべき給与を手に入れることができます。

 

反対に、みなし労働時間8時間内に業務が完遂せず、12時間労働した場合にも「8時間の労働」とみなされるため、1日あたりの給与以上が支払われることはありません。

(※深夜労働手当や休日出勤手当などは、労基法第4章が適用されるため追加で支払われます。)

 

つまり、短時間の労働で成果を出せる能力を持っていれば、これ以上ない魅力的な働き方となるわけです。

しかし、労働時間内に成果を出せない方には残業代が支給されないため、働きにくさを感じる制度になると言えるでしょう。

 

■裁量労働制が適用される業務は限られている

裁量労働制を導入できる業務は大きく分けて2種類あります。

1つめは労働基準法第38条の3で具体的に定められている「専門業務型」、2つめは本社などの重要決定が行われる場で、

企画や立案、調査、分析などの業務を担う労働者を対象とする「企画業務型」です。

 

◆専門業務型

研究業務やプロデューサー・ディレクター業務、システムコンサルタント業務、証券アナリスト業務、公認会計士業務、弁護士業務、建築士業務など、

仕事の遂行や時間配分の決定が難しく、企業が労働者に対して具体的な指示を出すことが困難な19業務が対象となっています。

 

制度を導入するためには、厚生労働省令及び厚生労働大臣告示で定められたこれらの業務として認められる必要があります。

 

◆企画業務型

「会社運営の中核を担うような業務を担当しており、かつ業務の性質上、

労働者の裁量にゆだねられる部分が大きな業務であること」と定義されているため、対象者はかなり限定的になります。

 

一般的な営業職や給与計算等を行う総務職、予算・決算業務を担当する経理職というだけでは対象として認められないため、

間違った制度導入が行われていないか、再度確認してみてください。

 

■裁量労働制を導入するメリット

では、実際に導入している企業では、どのようなメリットが見られているのでしょう?

いくつかの具体例をまとめてみました。

 

◆従業員のモチベーションがUPする

出社時間や退社時間、労働時間などを会社に縛られず、自分らしく働きながら報酬を得られるため、

業務に対して前向きな気持ちで取り組めるという意見が多いようです。

 

時間にとらわれない働き方は、クリエーターや設計士・プログラマーなどの仕事に最適な雇用制度だと言えます。

 

◆採用活動で他社との差別化が図れる

自由度の高い働き方を手に入れられる裁量労働制は、実力のある優秀な人材に訴えかける効果が抜群です。

国内で制度を導入している企業は依然として少ないため、採用活動におけるアピールポイントとしても利用することができるでしょう。

 

◆管理職の業務負荷を軽減できる

労働者が自らの業務を管理する制度なので、「どのような業務を与えるのか」といった必要最低限の指示出しのみで作業が完結します。

管理職やリーダーによる管理業務を軽減できる分、他の仕事に集中して取り組む時間を確保することができるでしょう。

 

■裁量労働制の導入におけるデメリット

メリットもあればデメリットもある、ということで、この項目では制度導入時に確認すべきデメリットをご紹介します。

 

◆導入手続きがややこしい

前述したとおり、裁量労働制を導入できる業務は限られています。

まずは制度の対象になっているかを確認してから、書類の作成・提出と進めていき、

最終的に労使委員会内での決議決定で認められなければ、制度を導入できません。

 

不適切な手続きを行っている企業がしばしば臨検調査で指摘されているのは、正当な手順を踏んでいないからです。

 

◆労務管理のハードルが高い

労働時間を労働者に一任してしまう制度なので、管理上の難しさが生じます。

みなし労働時間の規定をしっかり定めていないと、深夜10時以降に働いた際の深夜労働手当や法定休日に勤務された場合の休日出勤手当など、予想外の手当が発生してしまうでしょう。

 

最悪のケースでは、みなし労働時間以上の労働をしたにも関わらず、一切の手当が支給されないと訴訟を起こされることも。

労働者との信頼関係、そして意思疎通が制度導入の際にはもっとも気を使うポイントとなりそうです。

 

■まとめ

今回は、働き方革命で注目を集めた『裁量労働制』の基本情報をお伝えしました。

 

労働者個人の裁量にゆだねられる部分が大きい働き方なので、制度導入には労働者との信頼関係構築や意思疎通を図ることが重要だと言えます。

また労務管理が難しく、長時間労働が常態化する恐れがあるため、業務量の調整や労働者の健康管理など、企業側がハンドルを握るべきポイントも発生するでしょう。

 

さまざまな働き方が広がっている現代では、裁量労働制を取り入れる企業が少しずつ増えてきました。

運用が難しそうという印象を受ける制度ですが、メリットとデメリットを理解し、上手に制度を導入できれば、企業にも労働者にも有効な働き方となりそうです。

ノウハウ記事は毎週【火・木】更新!

無料会員登録をすると、新着記事をまとめたメルマガを受け取ることが可能。
その他、さまざまな会員限定コンテンツをご利用いただけます。

無料会員登録する

最新記事

ログインまたは新規会員登録してからご利用ください。

新規会員登録

無料会員登録をすると、さまざまな会員限定コンテンツをご利用いただけます。

無料会員登録する

人事バンクについて

この企業をフォローしました。
フォローした企業の一覧はマイページからご確認いただけます。

この企業のフォローを解除しました。