突然ですが、『ストレスコーピング』をご存知でしょうか。
私たちが生活していく中で、切っても切り離せない“ストレス”。
日々頑張っている従業員には、必要以上にストレスを感じてほしくないですよね。
今回は、従業員のストレス緩和に効果のある、ストレスコーピングについてご紹介します。
ストレスの構成要素とストレスコーピング
多くの方がストレスを感じながらも、日常的にストレス発散などを行っているかと思います。
しかし、無意識的に行っているストレス発散ではどうにもならない時、ストレスコーピングが有効であると言われています。
そもそもストレスとは何かというと、『ストレッサー』『認知(評価・解釈)』『ストレス反応』の3つの要素で構成されています。
ストレッサー(ストレスの原因)
暑さ、寒さ、疲労感、痛み、人間関係など
認知(評価・解釈)
人は何らかの刺激を受けた時、下記のようなプロセスを通してストレス反応が決まると定義しています。
『受けた刺激が自分にとって脅威かどうかを判断(一次評価)』し、脅威だった場合『どういった対抗手段があるかを判断(二次評価)』している。
ストレス反応
イライラ、気分の沈み、頭痛、食欲減退、遅刻・欠勤などストレッサーを認知(見る・聞く・感じる)することでストレスを感じ、その状況が続くと心身が負荷に耐えられなくなるため、ストレス反応が引き起こされるのです。
ストレスコーピングの種類
ストレスコーピングとは“ストレスを感じた時に上手く対処しようとすること”です。
『問題焦点型』『情動焦点型』の2種類があり、ストレスのどの段階にアプローチするかでコーピングの方法が変わります。
問題焦点型
問題焦点型はストレスの原因に働きかけ、根本を解決しようとする考え方です。
問題焦点型コーピング
問題焦点型コーピングとは、ストレッサーそのものを無くす方法です。
最も効果が高い方法ですが、根本解決できるケースはそう多くため、現実的には実行が難しい方法と言えるでしょう。
社会支援探索型コーピング
社会支援探索型コーピングとは、ストレスが発生したとき、同僚や友人、家族など周囲の人に相談し、アドバイスを得ることで問題解決しようとする方法です。
情動型焦点型
“ストレッサーそのもの”ではなく、それによって生じた自身の感じ方(認知)をコントロールしようとする考え方です。
情動焦点型コーピング
ストレッサーによって生じた感情を相手に直接聞いてもらったり、親しい人やカウンセラーなどに話をしたりすることで、気持ちを整理し解消させる方法です。
認知的再評価型コーピング
ストレッサーの悪い面ばかりではなく、良い面を探して価値を見出し、ストレッサーに対する認知を変えようとする方法です。
ストレスコーピングの具体例
例)先輩社員からのパワハラでストレスを感じている
問題焦点型コーピング
・問題の先輩社員にパワハラをやめてほしいとお願いする
・上司に状況を説明し、対応してもらう
・異動などによって、物理的に距離を取る
社会的支援探索型コーピング
・どのようにストレッサーと付き合っているのか、同僚などに相談する
情動焦点型コーピング
・ストレッサーに話を聞いてもらう
・家族や友人、同僚、カウンセラーなどに話を聞いてもらう
認知的再評価型コーピング
・ストレッサーの良いところを探す
・後輩ができた時の反面教師にする
・成長するチャンスであると考える
企業が従業員のためにできるストレスコーピングとは?
相談環境を作る
コミュニケーションが健全に行われているか、チームの人間関係は良好か、などをチェックし、問題の早期解決に取り組むことが重要です。
メンター制度導入や、カウンセリングを導入するなど、人事評価と関係のない立場の人に話ができるような体制作りが挙げられます。
研修
ストレスコーピングの効果を発揮させるには、従業員がストレスコーピングについて理解することが重要です。
ストレスコーピングの研修を実施するなど理解を深める活動を取り入れるなど検討しましょう。
ストレスチェック
労働安全衛生法に定められたストレスチェックの実施から、従業員のストレスを把握することができます。
結果をもとに産業医との面談や、状況改善などができるよう体制を整えましょう。
まとめ
ストレスでつらい状態に陥っている時、誰かに気持ちを打ち明けるだけでもずいぶん楽になるものです。
ストレスによって心身に悪影響が出てしまうと、モチベーションや生産性の低下、人材の流出にもなりかねません。
従業員にストレスコーピングの有効性を知ってもらい、相談できる環境を整えるなど、働きやすい環境を整えることが重要です。