サマータイムとは。
どのようなメリットがあるのかをご紹介します。
サマータイムという言葉を知っていますか。
日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、海外では多くの国で導入されている制度です。
実は、来たる東京オリンピックで導入が噂されているものでもあります。
現在日本では導入されていませんが、過去に導入した例はいくつかあります。
今回は、サマータイムとは何か、そしてサマータイムを導入するメリット・デメリットをご紹介していきます。
そもそもサマータイムとは?
サマータイムは直訳すると「夏時間」ですが、これだけだとどういう意味なのかわかりませんよね。
サマータイムとは、日の出の時刻が早まる(3月~11月)に時計の針を1時間進めることで、太陽の出ている時間帯を有効利用しようという制度です。
欧米やオーストラリア、ニュージーランドでは古くから実施されており、当たり前の文化として根付いています。
ヨーロッパでは、「サマータイム(summer time)」とそのまま表現されていますが、アメリカ、カナダ、オーストラリアでは「デイライトセービングタイム(daylight saving time)」と表現されます。
サマータイムの期間は、国によって違います。
これは、時差があることと、そもそも日照時間が異なるためです。
匿名 | 開始日 | 終了日 |
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アメリカ合衆国(一部除く) | 3月第2日曜日午前2時 | 11月第1日曜日午前2時 |
ヨーロッパ(一部の国を除く) | 3月最終日曜日午前1時 | 10月最終日曜日午前1時 |
カナダ(一部除く) | 3月第2日曜日午前2時 | 11月第1日曜日午前2時 |
オーストラリア(一部除く) | 10月第1日曜日午前2時 | 翌年4月第1日曜日午前3時 |
ニュージーランド(一部除く) | 9月最終日曜日午前2時 | 翌年4月第1日曜日午前3時 |
メキシコ(一部除く) | 4月第1日曜日午前2時 | 10月最終日曜日午前2時 |
ブラジル(一部除く) | 毎年10月第3日曜日午前0時 | 翌年2月第3日曜日午前0時 |
特にアメリカとオーストラリアは、それぞれ北半球と南半球の国なので、夏が逆転しているのがわかりますね。
アメリカを例に取ると、開始日は午前1:59の後、時計を1時間進めて午前3時にし、終了日は午前1:59の後、時計を1時間戻して午前1時に調整します。
サマータイムを行うメリット・デメリット
サマータイムを行うメリット
サマータイムとは、「人間は日の出とともに活動を開始し日の入りとともに休むべきである」という考え方に沿った文化だといわれています。
そんなサマータイムを行うメリットは主に下記の3点です。
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消費電力(照明)の節約
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余暇の充実(仕事後の明るい時間が増える)
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経済の活性化(明るい時間が増えることで消費活動が増える)
まず、消費電力の節約が挙げられます。例えば、午後5時に終了する仕事であれば、実際の太陽の高さは午後4時のものですから、単純に1時間分の照明が不要となります。
これは「余暇の充実」や「経済の活性化」にもつながることですが、明るい時間が増えるということは活動時間が増えるということです。
退社時間が早まることで、プライベートな時間を多く確保できる(余暇の充実)ことや、友人と飲みに行ったり、遊びに行ったりという消費行動(経済の活性化)が多くなります。
サマータイムを行うデメリット
一方でサマータイムを行うデメリットも挙げてみました。
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時刻調整にかかるコストが大きい
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体への負担が大きい
時間調整にかかるコストが大きい
家の時計や腕時計など、個人で使っている時計の時間を調整することは簡単です。
しかし、工場の生産ラインや交通システムなど、緻密にタイムスケジュールが組まれているものは簡単に調整することはできません。
なぜなら、コンピューターのシステム設定には膨大なコストがかかり、それが年に2回の調整(サマータイムの開始日と終了日)が必要となるからです。
体への負担が大きい
例えば、サマータイムの実施前は午前7時に起きていたとすると、変更後は同じ7時に起きたとしても、結果的に6時に起きているのと一緒ということです。
ちょっとした時差ボケ状態となり、交通事故の発生率が一時的に高くなるというデータもあります。
加えて、人によっては明るい時間が増えたことで、労働時間が伸びてしまうケースもあるため、体への負担が懸念されています。
サマータイムで注意すること
日本ではあまり馴染みがないため忘れてしまいがちですが、サマータイムを実施している国へ旅行に行く場合は注意が必要です。
サマータイムの設定を忘れてしまうと、食事の予約やツアーの集合時間に遅れてしまいます。
それだけならまだしも、飛行機に乗り遅れるなどのトラブルが起こると大変ですよね。
旅行先では、しっかり現地の時間を確認し、時計を調整することを忘れないでください。
同じ国でも州や地域によってサマータイムを実施していない場合が!?
アメリカの例ですが、各地で実施されているサマータイムもアリゾナ州では実施していません。
つまり、夏にアリゾナ州に入る場合には、時刻を調整する必要があります。
同じ国だとしても州によってはサマータイムを実施していない場合があるので、事前に調べておきましょう。
実は日本でもサマータイム制が導入されていた!?
今でこそ日本では馴染みのないものになりましたが、実は日本でもサマータイム制が導入されていました。
それは第二次世界大戦後の1948年~1952年の約4年間です。
戦後の省エネ施策として実際に導入されましたが、日本列島は縦に長いため、日照時間に差がありすぎるということがネックになり、結局廃止となりました。
また、周辺のアジア諸国でもサマータイムを導入していなかった背景もあり、無理に続ける必要はないと判断されたようです。
サマータイムはデメリットも多く、日本にはあまり向いていない?
サマータイムは確かに日本でも導入されていました。
しかも国単位ではなく、企業や自治体レベルだと、過去に何度も実施されているのです。(温暖化対策や東日本大震災に伴う節電対策として)
しかし、サマータイムはデメリットが多く、国として実施するにはあまり向いていないという意見が一般的です。
前述した日本全体の日照時間の差や睡眠不足による健康障害はもちろんのこと、先進国であるがゆえの「システム改修の難しさ」が議論となっています。
2000年問題を覚えていますか。以前のコンピューターは、処理や記憶に使用するデータ量を減らす目的で、西暦を「下二桁」で簡易的に処理してきました。
これが、2000年に突入した段階で「00」となったため1900年とコンピューターが勘違いし、システムが機能しなくなったという問題ですね。
サマータイム制を導入すれば、日本で稼働しているすべてのサーバーや公共機関で使われている時計など、あらゆるシステムをチェックし改修しなければいけません。
この膨大な手間とコストを考えた時、メリットよりもデメリットの方が上回ってしまっているのが現状です。
ちなみに、2020年の東京オリンピックに関するサマータイム導入案は、オリンピック時の暑さ対策として安倍首相が提案したものです。
これまでの経済の活性化や節電対策とは違った角度からのメリット案であるため、実現するのかが今、世間で関心を集めています。
今後、日本でも導入される可能性はあるので、ぜひこの機会にサマータイムについて知ってもらえたら幸いです。