内定辞退を減らすには、内定者に入社意志を固めてもらう必要があります。

 

特に、近年は採用難易度が高まっている、内定者に入社を決意してもらうようアプローチする「クロージング」の重要性が増しています。

 

そこで、この記事では採用時のクロージングについて詳しく解説いたします。

 

クロージングのコツや注意点、ポイントについてもご紹介いたしますので、是非ご覧ください。

 

クロージングとは?

採用活動におけるクロージングとは、入社意志を固めてもらうために、内定者または候補者を口説くことです。

 

採用クロージングや内定クロージングと呼ばれることもあります。

 

また、クロージング目的で実施する面談を「クロージング面談」と言います。

 

クロージングの重要性

本来、「職業選択の自由」が補償されている日本において、求職者が内定辞退をすることは何ら問題のある行為ではありません。

 

しかし、終身雇用が前提で、“会社と従業員の信頼関係”が重要だったこれまでの日本では、「内定をもらった後は辞退してはいけない」という暗黙のルールがあり内定辞退をする人はそう多くはありませんでした。

 

ですが、近年では会社と従業員との関係性や、労働に対する価値観に様々な変化があり、内定辞退を厳しく否定しなくなってきています。

 

このような背景から、現在では内定を出したからと言って必ず入社してくれるとは限らず、内定者を入社に導くクロージングの重要性が増しているのです。

 

また、採用活動は求人広告への出稿費用や面接官の人件費など、様々な費用と手間が掛かります。時間と費用を掛けて内定を出しても無駄になってしまいます。

 

それだけではなく、再募集によってさらに費用が必要になってしまったり、人材が確保できなかったことによってプロジェクトの進行に影響を及ぼす恐れもあります。

 

こういったことも内定クロージングの重要性が増している理由の一つになっています。

 

今後はさらに少子高齢化が進むことで若年層の獲得難易度が高まるため、クロージングの重要性は更に増していくでしょう。

 

クロージング面談のコツ

では、内定者に入社意志を固めてもらうには、どのようにしたら良いのでしょう。

 

クロージング面談を実施する際のコツは、

  1. 他社の選考状況を聞かない
  2. 会社選びの軸を把握する
  3. 適切な時期にクロージングを行う

です。

 

他社の選考状況を聞かない

多くの採用担当者は、面接や面談時に他社の選考状況をヒアリングしています。

 

他社の選考状況は、内定を出すタイミングの判断や自社の優位性アピールにも役立つため、聞きたくなるものですが、極力聞かないようにしましょう。

 

なぜなら、他社の選考状況を聞いた時点で、自社が優位ではなくなるからです。

 

複数社の中から選ばれるには「この会社に入りたい」と応募者に憧れを抱いてもらう必要があります。

 

しかし「弊社以外で受けている会社はどこか」「その会社のことはどう思っているのか」など聞いてしまっては、焦っているような印象を与えてしまいます。

 

不安や疑念を感じさせることにもなるため、他社の選考状況はヒアリングしないようにしましょう。

 

会社選びの軸を把握する

他社の選考状況の代わりに、応募している業種や職種についてヒアリングしましょう。

 

応募者は「会社選びの軸」に沿って、就職活動や転職活動を行っています。

 

例えば、応募している業種や職種に一貫性がない場合、

  1. 勤務地
  2. 働き方(時短・リモート・副業可など)
  3. 年収

といった軸で職探しをしていると考えられます。

 

応募者が何を重視して会社選びをしているのかを把握せず、自社の魅力を一生懸命伝えても、十分な効果は得られません。

 

興味のないものを一方的にアピールされても、魅力は感じませんよね?

 

まずは、志望動機や入社後に実現したいこと、入社するメリットなどを応募者に話してもらいましょう。

 

相手のニーズ(会社選びの軸)や不安点の把握ができる上に、入社後の姿をイメージさせることも可能です。

 

この工程を行ってから会社選びの軸にマッチする情報を提供し、自社に入社するメリットを伝えると良いでしょう。

 

適切な時期にクロージングを行う

学生は、就活スケジュールに沿って活動することが多いため、入社意志の決定時期を推測することができます。

 

MyReferの「複数社の内定承諾や意思決定時期に関する21卒就活生の実態調査レポート」によると、内定を複数承諾する就活生は

 

7~9月(5%)

10月~12月(1%)

1~3月(3%)

 

と「半数以上が内定式後に一社に絞り込む」という調査結果が出ています。

 

このことから、新卒のクロージングは10月以降に行うのが有効と言えるでしょう。

 

中途採用の場合、対応スピードが遅いと他社に流れてしまう可能性が高くなるため、面接後の内定通知やクロージング面談は早めに行うことが重要です。

 

ただし、急なクロージング面談は、相手に疑念を与えたりプレッシャーを感じさせたりすることがあるため、面接などでしっかりとコミュニケーションを取っておくことが重要です。

 

採用クロージングの注意点

採用クロージングは、上手く行えば内定者辞退を防ぐことができます。

 

では、クロージングのメリットを最大限に引き出すには、どのような点に注意すれば良いのでしょう。

 

クロージングを行う際の注意点は、

  1. 単なる自社アピールの場にしない
  2. 内定出し前に行わない
  3. 関係性を構築する

です。

 

単なる自社アピールの場にしない

単なる自社アピールの場にしないよう注意しましょう。

 

なぜなら、強み・魅力といった自社アピールは、面接や企業説明会などで何度も聞いているため、クロージングの段階で同じような内容を話しても意味がないからです。

 

クロージングの段階では、内定者と自社の価値観をすり合わせることが重要です。

 

内定者の価値観や譲れないポイントを把握した上で、事例・データなどを用いてどのように実現できるかを説明しましょう。

 

例えば、

 

育児・介護の関係でワークライフバランスを重視している

⇒産休・育休の取得率や時短勤務の事例を伝える

 

キャリアアップを重視している

⇒評価制度や境遇が近い社員のキャリア事例を伝える

 

などが挙げられます。

 

内定者と自社の価値観が一致していることを証明できれば、自ずと志望度は上がってきます。

 

価値観が一致しない場合は、応募者との話し合いでお互いの妥協点を見つけ出し、不一致を解消しましょう。

 

クロージングは、必ず内定出し後に行う

応募者は「内定を獲得したい」気持ちから、本音を話さない人も多いです。

 

応募者に内定を提示してからクロージングを行えば、本音を引き出しやすくなるため、クロージングは内定出し後に行いましょう。

 

ただし、応募者との価値観が一致しないなどの場合、クロージングで不安要素を払しょくしてから内定出しをした方が効果的な場合もあります。

 

関係性を構築する

複数の企業の中から自社を選んでもらうには、応募者に好感を持ってもらう必要があります。

 

面接官や採用担当者は、応募者にとって「企業そのもの」であり、入社の決め手にもなる重要なポジションです。

 

言動や対応の仕方一つで企業イメージが変わるため、企業の代表者であることを認識した上で、しっかりとコミュニケーションを取りましょう。

 

価値観の共有や不安点・疑念点の解消など、応募者とのコミュニケーションで良好な関係を築くことができれば、自社を選んでもらえる可能性が高まります。

 

内定クロージングのポイント

「新卒採用」と「中途採用」それぞれのクロージングを行う際のポイントについてご紹介します。

 

新卒採用の場合

新卒採用のクロージングでは、

  1. 適切なタイミングで行う
  2. 定期的に接触する
  3. 応募者の志向や価値観を理解する

ことがポイントです。

 

適切なタイミングで行う

先述の通り、学生は就活スケジュールに沿って就職活動を行っています。

 

そのため、クロージングを行うタイミングは、多くの学生が入社意志を決定する10月以降が有効です。

 

定期的に接触する

新卒採用は入社時期が決められているため、内定出しを行ってから入社までの期間が長期に及ぶことも珍しくありません。

 

内定出しをしたからといって、必ず入社してもらえるとは限らないため、定期的な連絡や面談などで内定者とコミュニケーションを取り、関係性を構築しましょう。

 

ただし、あまりに頻度が高いと、オワハラ(就活終われハラスメント)認定されてしまうため、学生の負担にならない範囲内で行ってください。

 

 

応募者の志向や価値観を理解する

応募者がどのような志向や価値観を持っているか理解していないと、適切なクロージングができません。

 

面接時や面談時の何気ない会話に本音が紛れていることもあるため、メモを取っておきましょう。

 

また、以前話していたことを覚えていてもらえると、嬉しく感じますし、親近感や信頼感を与えることができます。

 

中途採用の場合

中途採用のクロージングでは、

  1. 退職理由を聞き出す
  2. 不満を解消できる環境をアピールする

ことがポイントです。

 

退職理由を聞き出す

中途採用の応募者は、新卒とは違って退職を決意している人です。

 

彼らは職場に対して何らかの不満を持っており、それを解消するために転職活動をしています。

 

退職理由が不明な状態では、自社がどのように応募者の期待に沿えられるのかを伝えられないため、退職理由のヒアリングが重要なのです。

 

不満を解消できる環境をアピールする

退職理由が分かったら「応募者の抱えている不満・不安な点がどのように解消できるのか」を具体的に伝えましょう。

 

例えば、

 

人間関係の希薄さが不満

⇒コミュニケーションツールやピアボーナスなどの導入で、社内コミュニケーションが活発であることを伝える

 

給与が不満

⇒評価制度の説明やモデル年収を伝える

 

などが挙げられます。

 

待遇面は、必ずしも応募者の希望に応えられるわけではないため、状況が改善されることを伝えると良いでしょう。

 

ただし「聞いていた話と違う」と入社後トラブルにならないよう、できないことや価値観の合わないことは、隠さず伝えるようにしてください。

 

 

クロージングで効率的な採用活動を実現

内定辞退は、採用活動に掛けてきた手間やコストが無駄になるため、企業にとって大きな損失です。

 

クロージングは内定辞退防止の効果があるため、効率的な採用活動には欠かせません。

 

クロージングを行う際は、ご紹介した新卒採用・中途採用ごとのポイントや注意点を参考にしてみてください。

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