採用サイトの重要性が増している近年、インパクトのあるキャッチコピーで求職者の心をつかもうとする企業が増えています。
企業の想いを伝えるキャッチコピーには、ミスマッチ防止などの効果がありますが「作り方が分からない」という人も多いでしょう。
そこでこの記事では、採用サイトのキャッチコピー作りの手順やポイントについて解説いたします。
また、面白い採用サイトを作るメリットや人気企業のキャッチコピー例もご紹介いたしますので、キャッチコピー作りの参考にしてください。
面白い採用サイトを作るメリット
採用サイトのトップに表示されるキャッチコピーは、企業の印象を大きく左右します。
では、キャッチコピーにこだわった採用サイトを作ると、どのような効果を得られるのか、見ていきましょう。
応募者が集まる
そもそもキャッチコピーとは、人の興味を惹きつける宣伝文句です。
採用サイトを開いたときに魅力的なキャッチコピーが目に入れば、求職者は「何だか面白そうだな」と思い、そのままサイトを読み進めてくれます。
キャッチコピーで求職者の心を掴み、サイト内のコンテンツで企業への理解が深まれば、応募に繋がります。
実際、キャッチコピーがきっかけとなって応募する求職者も多いため、応募率向上を期待できるでしょう。
ブランディングに繋がる
キャッチコピーに自社の企業文化や価値観、経営理念を盛り込むことで、企業カラーを分かりやすく伝えることができます。
そのため、良いキャッチコピーは競合他社との差別化を図る効果もあります。
企業の特徴や魅力を端的に伝えられるキャッチコピーは、求職者の印象に長く残るため、ブランディングに繋がるのです。
ミスマッチを防ぐ
キャッチコピーには、ミスマッチを防ぐ効果もあります。
企業風土や求める人物像をキャッチコピーに盛り込むと、求職者は企業や企業の求めていることをイメージしやすくなります。
そのため、マッチ度の高い人材への訴求が高まり、ミスマッチ防止に繋がるのです。
面白い採用サイトの特徴
では、面白い採用サイトとは、具体的にどのようなものを指すのか見ていきましょう。
キャッチコピーがユニーク
先述の通り、キャッチコピーは企業の特徴や魅力を端的に表す宣伝文句です。
ユニークなキャッチコピーは「面白そう」「どういう会社なのだろう」と、求職者の好奇心を掻き立てます。
ブランディングや応募率の向上に繋がるため、キャッチコピーにこだわる企業が多いです。
ユニークな社内制度を強調
社内制度は、企業の特徴が色濃く反映されるため、社風を伝える重要な要素です。
ユニークでインパクトのある社内制度を強調すると、注目を集めやすく、企業のイメージアップにも繋がります。
例えば、数多くのユニークな制度や取り組みで知られる株式会社カヤックは、ゲームの上手さで内定を出す「いちゲー採用」という取り組みを新卒採用で行いました。
その結果、360名以上の応募が集まり、9名が内定・入社したそうです。
このユニークな採用制度が注目を集め、数多くのマスメディアにも取材され、知名度の向上も実現しています。
社員インタビューが工夫されている
求職者の多くは、職場や既存社員の雰囲気に対する不安を抱えています。
こういった課題を解決するため採用サイトで社員紹介や社員インタビューを掲載する企業は多くありますが、この社員インタビューを工夫することで面白いサイトにすることができます。
例えば、「社員の趣味や興味のあることテーマにする」「子どもや家族も参加した座談会の様子をコンテンツにする」など、自社の社風に合わせてコンテンツを工夫してみましょう。
魅力的なキャッチコピーを作るポイント
魅力的なキャッチコピーを作るには、
- ターゲットの明確化
- コンセプトの検討
- キーワードへの落とし込み
のステップを踏むことが重要です。
ターゲットの明確化
ターゲットが曖昧な状態では、効果的なコピーを考えることはできません。
自社がどのような人材を求めているのか、性別や年齢、価値観、スキルなどを詳細に定義し、実在するかのように人物像を作り上げましょう。
採用ターゲットが明確になれば「その人が何を求めているのか」が分かるため、訴求効果の高いキャッチコピーを作ることができます。
コンセプトの検討
ターゲットが明確になったら、自社の経営理念やビジョン、価値観、特徴を書き出していき、何を打ち出したいのかコンセプトを決めましょう。
コンセプトを決める際は、採用ターゲットのメリットに沿って考えることが重要です。
3C分析「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」を行うと、自社の立ち位置が把握できるため、強みや弱みを特定することができます。
コンセプトは「どういった要素を盛り込むか」を決める段階なので、キャッチコピーのような文章にする必要はありません。
単語や短い文章をどんどん挙げていきましょう。
キーワードへの落とし込み
コンセプトが決まったら、採用ターゲットに伝わるようキーワードにまとめましょう。
例えば、
人間関係の良さをアピールしたい⇒ワイワイ
裁量権の大きさをアピールしたい⇒挑戦できる
のように、イメージしやすいキーワードを組み立てて、キャッチコピーを作ります。
似たコピーでも読み手の印象は大きく変わるため、キャッチコピー案はできる限り多く出してください。
複数の案の中から比較検討したり、組み合わせたりしてキャッチコピーを作り上げていきます。
魅力的なキャッチコピー作りのポイント
ありきたりなキャッチコピーでは、求職者の興味を引き付けることはできません。
魅力的なキャッチコピーを作るには、どういった点に注意したら良いのでしょうか。
分かりやすい言葉を使う
キャッチコピーは、相手に伝わらなければ意味がありません。
カッコよさや差別化を意識しすぎて、馴染みのない言葉になってしまうと、かえって印象に残らないため、分かりやすい言葉でシンプルに伝えましょう。
できる限り短い文章にする
人間がパッと見て理解できる文字数は、13文字程度と言われています。
長々と説明したり、強みや経営理念の羅列になっていたりすると、サイトに訪れた求職者の興味がそがれてしまいます。
キャッチコピーは、あくまで求職者の興味を引くためのフレーズなので、できる限り短い文章にしましょう。
無理に13文字以内に留める必要はありませんが、一つの目安として覚えておくと、魅力的なキャッチコピーに近づきます。
メッセージ性を重視して作る
映画作品などのキャッチコピーでは、インパクト重視の分かりづらいものが起用されることもありますが、採用サイトには適していません。
というのも、新卒採用、中途採用問わず、採用ターゲットの共感を得られなければ意味がないからです。
インパクトばかりを追い求めないよう、メッセージ性を重視して作成しましょう。
「、」「。」で言葉にリズムを生み出す
短い文章でも、句読点を活用するとリズムが生まれます。
例えば、
- 好奇心を、シゴトに。(読売新聞グループ本社)
- 未来を睨め。(株式会社ニトリ)
- 道なき道を、進もう。(ヤマト運輸株式会社)
など、句読点を入れることでメリハリのある文章になります。
求職者の印象に残りやすくなるため、おすすめです。
「ひらがな」「カタカナ」「ローマ字」を活用する
通常漢字で表記する単語をひらがなやカタカナにしたり、ローマ字表記にしたりすることで人目を引くことができます。
例えば、
- オッサンも変わる。ニッポンも変わる。(森下仁丹株式会社)
- グローバルSAMURAI、結集セヨ。(日清ホールディングス株式会社)
- アソビきれない毎日を。(株式会社バンダイナムコエンターテインメント)
など、同じ言葉でも表記を変えるだけで印象が大きく変わります。
人気企業のキャッチコピー例
キャッチコピーの作成手順やポイントが分かったところで、実際の採用サイトで使われているキャッチコピーを見ていきましょう。
伊藤忠商事株式会社:『アオい情熱を待っている』
未来を担う学生に対する、メッセージ性の強いキャッチコピーです。
また、コンセプトで
「縛られない人に出会いたい。」
「夢を語れる人と出会いたい。」
と伝えており、求める人物像が明確になっています。
トゥモローゲート株式会社:『ようこそ、ブラックな企業へ。』
あえて“ブラックな企業”を前面に打ち出すことで、求職者の興味を引くキャッチコピーになっています。
「世界一変わった会社で 世界一変わった社員と 世界一変わった仕事創る。」を掲げており、採用サイトにも遊び心が溢れています。
株式会社電通:『電通を、つかえ。』
キャッチコピーや採用サイト全体の作りから、成長意欲の高い人材を求めていることが見て取れます。
非常に短いですが、句読点を効果的に用いており、求職者の印象に残るキャッチコピーです。
株式会社角川グループホールディングス:『“好きすぎる”は、才能。』
“好きになること”を一つの才能と認め、「この会社なら本好きが活かせるかも」と思わせるキャッチコピーです。
採用ターゲットに共感を抱かせると同時に、期待感を抱かせるシンプルでメッセージ性の強いコピーになっています。
スズキ株式会社:『小さいって、つよい』
スズキのものづくりの基本である「小軽短美(より小さく、少なく、軽く、短く、美しく)」を端的に表したキャッチコピーです。
大和ライフネクスト株式会社:「 」、ツケテいこうぜ。
大和ライフネクストでは、あえてクイズのようなキャッチコピーにすることで、興味を引き付ける仕様になっています。
一瞬意味が分かりませんが、声に出すと「かっこつけていこうぜ」と分かる面白いキャッチコピーです。
インパクトだけでなく、「自分を演出する」という意味や、セリフに「」を使うことを逆手に取って、「声に出して主張しよう」という意味が込められています。
株式会社講談社:『さあ、ものがたりをはじめよう。』
仕事を通して新たな「ものがたり」を作ること、そしてその「ものがたり」が読者の人生に影響を与えることを伝えるキャッチコピーです。
多様な職種の社員インタビューも掲載されており、講談社への理解が促進される作りになっています。
株式会社Cygames:『最高のコンテンツを作る会社』
ゲーム制作会社のCygamesでは、「最高に面白いエンターテインメントを提供したい」という理念を打ち出したキャッチコピーになっています。
コンテンツ作りへの強い信念を持った人材をターゲットとしていることが伺えます。
株式会社リクルートホールディングス:『KEEP YOU WEIRD』
直訳すると「変人であれ」です。
人と違うことをネガティブに捉えず、違う視点で物事を見られる人を求めていることが分かります。
没個性に反発心を抱く若者の心を掴み「もっと詳しく知りたい」と思わせる、キャッチコピーです。
株式会社オリエンタルランド:『感動の創造に挑戦し続ける』
レジャー施設を運営しているオリエンタルランドのキャッチコピーは、「いつまでもゲストの驚きと感動を作り続ける」という熱い思いが感じられます。
キャスト一人ひとりに、挑戦し続ける姿勢を求めていることが伝わってきます。
丸紅株式会社:『とがった丸になれ、丸紅。』
ソリューションを創出できる企業であるために、既成概念を覆す柔軟な発想とチャレンジ精神旺盛な人材を求めていることが分かるキャッチコピーです。
株式会社集英社:『はじめは、まっしろ』
「まっしろな1ページを彩り、1冊にして読者の手に届ける」仕事だからこそ、情熱をもって取り組んでもらいたいという思いが伝わってくるキャッチコピーです。
社会人になる学生に期待感を与えると同時に、積極性を求めていることが伝わってきます。
株式会社NTTドコモ:「経験を助走に。ドコモで踏み切れ。」
ドコモのキャリア採用のキャッチコピーです。
これまで積んできた経験を活かして、ドコモで革新を起こしてほしいというメッセージが伝わってきます。
株式会社バンダイ/株式会社BANDAI SPIRITS:『夢・クリエイションー夢をカタチに。ワクワクする未来を一緒に創ろう!―』
「子どもの頃に体感したようなワクワクを、一緒に創っていきましょう」というメッセージが込められたキャッチコピーです。
職種紹介や社員インタビューも掲載されており、“夢・創造”の裏側を知ることができる作りになっています。
株式会社バンダイ/株式会社BANDAI SPIRITSのHP
森下仁丹株式会社:『オッサンも変わる。ニッポンも変わる。』
森下仁丹では、社会人経験のある人を中途採用ではなく「第四新卒」と名付け、採用を行っています。
仕事への情熱を持ち、チャレンジ精神のある人材を求めていることが伝わってくるキャッチコピーです。
印象的なフレーズなので、求職者の興味を引くことができますし、製薬会社の堅いイメージも払しょくできるでしょう。
松竹株式会社:『あなたの仕事は文化になる。』
「仕事を通じて未来の文化づくりに携われる」というメッセージを打ち出しています。
また、文化は伝統だけでなく革新も必要としていることから、情熱やアグレッシブさのある人材を求めていることが伝わってきます。
株式会社シュゼット:『お菓子で世の中を変えていこう』
「お菓子で世の中を変えていこう」というシンプルな文言ながら、事業内容や企業の姿勢、求める人物像までイメージできてしまうキャッチコピーです。
明治ホールディングス株式会社:『もっと、しよう。』
「夢中になって取り組み、今までにない“もっと”をやっていこう」といったメッセージが詰まったキャッチコピーです。
非常に短くてシンプルなキャッチコピーですが、句読点を効果的に使うことで“もっと”が強調されています。
株式会社JTB:『あなたの知らないJTB』
旅行会社で有名なJTBですが、オリンピック・パラリンピックのサポートや国際交流促進など、様々な取り組みを行っています。
旅行部門の突出した知名度を逆手に取ることで、「他にはどういうことをやっているのだろう」と読み進めたくなるキャッチコピーです。
株式会社コーセー:『ひとりひとりの輝きで、世界にキレイと感動を。』
コーセーの高い技術力あってこそのキャッチコピーです。
化粧品を通じて、人々に感動を与える夢のある仕事に携われることアピールしています。
また、サイト内で採用パンフレットを閲覧できるため、企業や仕事への理解がより深められる仕様になっています。
株式会社ドリコム:『3歩先をつくろう』
ゲームアプリなどを提供しているドリコムでは、企業理念の「人々の期待を超える」とリンクさせたキャッチコピーになっています。
抽象的な“未来”ではなく“3歩先”にすることで現状に満足せず、常に努力して前に進める人材を求めていることが伝わってきます。
面白法人カヤック:『カヤックの就活はルールなし。』
カヤックの新卒採用は「既卒で未経験」「秋卒業」など対象者を幅広く設定しており、従来の新卒一括採用とは異なることを明確に表現しています。
また、いちゲー採用やエゴサーチ採用といったユニークな採用を行っていることからも、既存の枠に捉われない面白い企業であることがキャッチコピーから伝わってきます。
読売新聞グループ本社:『好奇心を、シゴトに』
好奇心を失わない人たちが集まった読売新聞社のキャッチコピーは、いつまでも面白い仕事をするために「好きなこと、興味のあることを磨いていこう」というメッセージが込められています。
句読点やカタカナでリズムを生み出しており、メッセージ自体も学生の好感や共感を得られるキャッチコピーです。
株式会社カネカ:『創造的楽観主義 そこにあったのは』
「創造的楽観主義そこにあったのは」とあえて文章の途中で切り、求職者の興味を引き付けるキャッチコピーです。
採用メッセージを読むと、トライ&エラーを繰り返し続けた創造性豊かな発想と、その挑戦を受け入れる会社の楽観的な懐の深さがあったからこそ、今日のカネカが存在することが分かります。
さらに、
たとえば30年後「創造的楽観主義」そこにあったのは、「時代を切り拓いた君たちの挑戦」だったと言えることを信じてやまない。
株式会社カネカ
と最後に答えを提示することで、カネカがどういう会社なのか、社員に何を求めているのかを理解できる仕掛けになっています。
株式会社USEN:『就活維新-RecruiTech for U.-』
エントリーシートの提出廃止など「常識に縛られない自由な就活をテクノロジーで便利に行おう」といった意味が込められています。
エントリーは「名前・生年月日・メールアドレス」のみで履歴書は必要なく、エントリーシート代わりに自己PR動画を投稿する形式です。
また、内定獲得までの選考のオンライン化や復活選考の実施など、自社の事業と上手く絡めた戦略的かつ革新的な採用を行っています。
株式会社大創産業:『暮らしを支える。世界に挑める。』
世界中に店舗を持つダイソーでは、店舗も商品も圧倒的なスピードで生まれ続けています。
「失敗を新たな挑戦の糧にし、成功に向けて進化し続けよう」という社風が伝わってくるキャッチコピーです。
“世界に挑める”とストレートに表現することで、「世界で活躍したい」と考えている学生の興味関心を引き付けることができるでしょう。
株式会社スタジオアリス:『笑顔の咲かせ方』
花を咲かせるように「最高の笑顔を咲かせるプロになろう。」というメッセージが込められたキャッチコピーです。
笑顔を花に見立てて「種まき⇒衣装選び」「水をあげる⇒おめかしタイム」のように、笑顔を咲かせるまでの工程が解説されており、仕事の様子が垣間見えます。
スタッフや子ども達の笑顔溢れるサイトで、人を笑顔にするのが好きな人をターゲットとしていることが分かります。
採用サイトのキャッチコピーで求職者の心を掴む
採用サイトのキャッチコピーは、求職者へ企業の想いを伝える重要な文言です。
キャッチコピーは、採用ターゲットの興味を引くことが大切なので、インパクト重視に傾きすぎないよう注意しましょう。
採用ターゲットを意識し「何をどのように伝えるべきか」をしっかりと考えた上で、キャッチコピーを作ることが重要です。