新たなアイディアを出し合おうと会議の場を設けても、なかなか意見が出ず、沈黙が続いてしまうことはありませんか?
そのようなときに役に立つのが「ブレインストーミング」です。
近年、注目を浴びている手法のひとつであるため、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、ブレインストーミングとは何かを簡単にわかりやすく解説しながら、導入の目的やメリットまでも細かく紹介します。
ぜひ、社内会議やミーティング、打ち合わせなどにお役立てください。
ブレインストーミングとは?
ビジネスシーンで使われるブレインストーミングとは、企業が抱える問題の解決策やアイデアを発見するために会議で使用される「集団発想法」のことです。
複数人で会議を行い、短時間で新しいアイデアを抽出することを目的としています。
日本語で「ブレストする」といった具合に、省略されるケースが多いです。
ブレストするといわれたら、ひとつのテーマに対して複数人がアイデアを出す会議のことを指していると覚えておきましょう。
ブレインストーミングは1930年代後半に、アレックス・F・オズボーン氏がブレインストーミングという言葉を使い始めたのが注目されるきっかけとなりました。
アイデアが出ないと悩んだ結果、ブレインストーミングが新しいアイデアを発見できる方法だと発見したのです。
ディスカッションとブレインストーミングの違い
ブレインストーミングと間違えられやすいのが、ディスカッションです。
ディスカッションは組織の人同士が討論したり意見を正したりする会議手法を指しています。
一方ブレインストーミングは、意見を出し合い話を展開させていくことが目的なので、会議で出た意見を否定しないのが特徴です。
ディスカッションは出た意見を精査して、ときには否定するのに対して、ブレインストーミングは意見を否定することがありません。
このように、会議の目的や進め方に違いがあります。
ブレインストーミングの目的
ブレインストーミングは、できるだけ多くのアイデアを抽出し、会議参加者と共有することが目的です。
新しいアイデアやソリューションを発見するための思考法で、自由な発想から多角的なアプローチがかけられます。
より多くのアイデアを出すことで、取り組んでいる問題を解決するための方法を複数検討することが可能です。
決まったやり方はないので、柔軟な発想からさまざまな提案をすることができます。
ブレインストーミングのメリット
企業がブレインストーミングを行うメリットとは、どのようなことが考えられるでしょう。
主にさまざまな考えが生まれることや、社員のスキルアップにつながるなどがあります。
具体的なブレインストーミングのメリットとしては、下記の通りです。
・さまざまな考えが生まれる
・個人のスキルアップができる
・信頼関係が生まれる
・チームワークが生まれる
ブレインストーミングのメリットについて、詳しく解説します。
さまざまな考えが生まれる
ブレインストーミングは、ひとつのテーマに対して複数の人が意見や提案を出し合うため、さまざまな考えが生まれます。
意見交換を行うことで、1人では出せないアイデアやソリューションを生み出せる可能性が高いでしょう。
自由な発想からアイデアを出し合うことで、新しい事業や企画が誕生するかもしれません。
個人のスキルアップができる
ブレインストーミングは複数の人が意見やアイデアを出し合います。
さまざまな話を聞くことで、参加者それぞれが刺激を受け、新しい発想が生まれるきっかけになるかもしれません。
知識やノウハウを培うことが出来るので、個人のスキルアップを図る場としても期待できます。
信頼関係が生まれる
ひとつのテーマに向かって複数人が自由に意見やアイデアを出し合うのが、ブレインストーミングの特徴です。
それぞれの意見やアイデアを尊重しながら話し合いを進めていくので、お互いが自由に発言できます。
参加者が何を考えているのか理解を深めるきっかけになるので、コミュニケーションを図る場としても活用できるでしょう。
意見を通じてお互いの信頼関係が育つきっかけになるので、良い職場環境を作り上げることができます。
チームワークが生まれる
ひとつのテーマに向かって話を進めることから、チームとしてまとまりのある関係が築きやすくなります。
自分の意見が発信しやすいブレインストーミングなら、良いチームワークが生まれやすくなるでしょう。
個々の考えが尊重されやすいブレインストーミングだからこそ、チームのつながりが強くなるきっかけになるはずです。
ブレインストーミングの4つの原則
ブレインストーミングは4つの原則から成り立っています。
原則を把握しておくことで、ブレインストーミングとして有意義な意見の交換が可能になるでしょう。
ブレインストーミングの4つの原則としては、下記の通りです。
・アイデアの否定や評価はしない
・自由にアイデアを生み出す
・質より量を重要視する
・アイデアをまとめる
ブレインストーミングの4つの原則について、詳しく解説します。
アイデアの否定や評価はしない
ブレインストーミングの原則として大切なのが、複数人から出たアイデアや意見を否定しないことです。
多くの意見やアイデアを集めるためにも、批判はせずに話をまとめておく必要があります。
また、意見やアイデアを評価するのも厳禁です。
評価してしまうと、周りの反応を意識してしまい、柔軟な発想が生まれなくなる可能性があります。
ブレインストーミングを行うなら、アイデアの否定や評価はせず、誰でも話しやすい環境をつくることが大切です。
自由にアイデアを生み出す
ブレインストーミングは自由に意見やアイデアを出せる雰囲気をつくり出すことが大切です。
一般的な会議のように、緊張感がある会議では柔軟な発想が生まれにくくなります。
誰でも気軽に意見が出せるように、話しやすい空気感を会議参加者でつくり出せるようにしましょう。
あら削りに感じられる意見やアイデアでも、話を組み合わせれば意味のある発想が生まれるかもしれません。
質より量を重要視する
会議では量よりも質が優先されるケースがありますが、ブレインストーミングは量が肝心です。
発言内容を意識すると、徐々に消極的な話になるため、自由な発想が生まれにくくなります。
良いアイデアよりも、できるだけ多くの意見やアイデアを出すことがブレインストーミングでは重要です。
たくさんの意見やアイデアを出していくことで、徐々に質の向上につながっていきます。
アイデアをまとめる
会議で出た全員の意見やアイデアを最後にまとめて、発展させていく必要があります。
1人のアイデアに固執することなく、全員の話をまとめ上げれば、組織一丸となって行動するきっかけになるでしょう。
複数のアイデアをまとめることで、ブレインストーミングの参加者全員が当事者となって話を進めることができます。
チームワークを育むきっかけとなるので、コミュニケーション向上にもつながるでしょう。
【失敗しない】ブレインストーミングの進め方
ブレインストーミングを導入する際には、基本的な進め方を把握しておく必要があります。
進め方を理解すれば、会議を失敗させることなく、有意義な意見交換の場として活用できるでしょう。
基本的なブレインストーミングの進め方としては、下記の通りです。
・参加者を集める
・課題と時間を確認する
・現状を把握する
・アイデアを出しあう
・アクションプランを設定する
失敗しないブレインストーミングの進め方について、詳しく解説します。
参加者を集める
まずブレインストーミングに参加する人を集める必要があります。
複数人の意見やアイデアを出していく会議手法なので、できるだけ多くの人に参加してもらうことが大切です。
参加する人は年齢、性別、役職など、さまざまな特徴を持った人を集めたほうが自由な発想が生まれやすくなります。
異なった背景の人を集め、それぞれの意見やアイデアをまとめることで、今までにない発想や経験を培うきっかけになるでしょう。
課題と時間を確認する
ブレインストーミングを行う前に、議論する課題(テーマ)は明確にしておく必要があります。
課題が曖昧な場合は、意見やアイデアにまとまりがなくなり、正しい話が展開できなくなる恐れがあるでしょう。
明確に、企業が展開している事業の売上や知名度を向上するためにはどうするかなど、詳しいテーマ
であるほど、議論の意味が出てきます。
ほかにも、時間も明確に決めておき、何時までに会議を終わらせるのか、はっきりさせておくことが大切です。
時間を決めていないと、関係のない話に脱線して意味のない会議になる可能性があります。
予め会議時間を決めておき、メリハリのある話し合いを求めておくことが大切です。
現状を把握する
ブレインストーミングを始める前に、話し合う課題の現状を把握しておきましょう。
売上向上が課題なら、現状の売上金額はいくらで、販売数はどれくらいなのか数値を明確にしておけば、具体的な話し合いが進められます。
定量的な課題を出しておくことで、話し合いがブレずにテーマの本質を捉えて会議することが可能です。
アイデアを出しあう
効果的なブレインストーミングを行うためには、より多くの意見やアイデアを出す必要があります。
アイデア出しのステップがうまくいけば、会議の方向性も決めやすく、話が展開しやすくなるでしょう。
アイデアを出すときの工夫としては、下記の通りです。
・意見やアイデアを出しやすい環境をつくる
・結論を急がない
・拡散と収束の過程をわける
・質よりも量を求める
・意見を見える化する
この5つの工夫を意識しておけば、効率よく意見やアイデアを出し合うことができます。
アクションプランを設定する
会議で出た意見やアイデアをまとめた後は、行動に移す必要があります。
アイデアを実現するためのアクションプランを設定し、適切な行動をとっていきましょう。
アクションプランの効果や実効しやすさなど、評価軸をもとに検討していけば選定しやすくなります。
意見やアイデアのなかで、行動に移しやすいものから、どんどんアクションを起こしていきましょう。
ブレインストーミングを成功させるポイント
ブレインストーミングはやみくもに実践しても、成果が得られない可能性があります。
成功させるポイントを押さえておき、効率の良い会議を行うことが大切です。
ブレインストーミングを成功させるポイントとしては、下記の通りになります。
・心理的に安心できる環境を作り出す
・結論を急いで出さない
・意見を見えるように工夫する
・とにかくたくさんの意見を出す
ブレインストーミングを成功させるポイントについて、詳しく解説します。
心理的に安心できる環境を作り出す
ブレインストーミングは複数人から意見やアイデアが出ないと、話をまとめることができません。
そのため、会議の参加者が心理的に安心できる雰囲気に整え、気軽に意見やアイデアが出せる環境を作り出す必要があります。
意見やアイデアを出しにくい環境では、発言に緊張感が生まれ、自由な発想が出にくくなるでしょう。
参加者全員が意見やアイデアを肯定しつつ、笑顔で朗らかな雰囲気を演出することが肝心です。
結論を急いで出さない
意見やアイデアが出たときに、結論を急がないようにしましょう。
結論を出してしまうと、ほかの意見やアイデアが出にくくなり、話の進み方が狭くなってしまうかもしれません。
自由な発想を生み出すためにも、結論は最後に残しておきましょう。
それまでは進行役を設けておき、急いで結論が出ないよう調整しておくことをおすすめします。
意見を見えるように工夫する
会議で出た意見やアイデアは、見えるように工夫しておくことが大切です。
ブレインフレーミング中は、意見やアイデアを出すことに集中しているため、発言内容を覚えていないことがあります。
事前に見える化できる方法として、紙やホワイトボードに書き出しておくやり方がおすすめです。
全員で共有して確認できるクラウド上の議事録があれば、リアルタイムで情報が確認できます。
そのやり方でも見える化はできるでしょう。
意見やアイデアを見えるようにしておけば、個々が発言するときの参考にできます。
とにかくたくさんの意見を出す
ブレインストーミングを行うなら、質よりもとにかくたくさんの意見やアイデアを出すことを意識してください。
会議を行ううえで質は大切ですが、ブレインストーミングはより多くの意見やアイデアを出すことが先決です。
質に関しては、後から話をまとめるときに考えれば良いので、会議中はとにかく発言が重要になってきます。
ブレインストーミングをする際に役に立つツール
ブレインストーミングを行うときに、役立つツールがいくつかあります。
ツールを有効活用すれば、より有意義な会議に仕上げることが可能です。
ブレインストーミングを行ううえで役に立つツールとしては、下記の通りになります。
・マインドマップ
・KJ法
ブレインストーミングをする際に役立つツールについて、詳しく解説します。
マインドマップ
ブレインストーミングに役立つツールとして、マインドマップがあります。
マインドマップとは思考や情報を整理する方法で、紙やホワイトボードに意見やアイデアを書き込むのが特徴です。
テーマを中心に書いていき、意見やアイデアをテーマの周囲に書き込んで関連付けしていきます。
文章ではなく、単語でつながりを示していくことで、効率よく関係性を表現していくことが可能です。
ひと目で関係性がわかるので、ブレインストーミングをまとめるときにやりやすくなります。
KJ法
KJ法とは、アイデアをグループ化して論理的にまとめていく方法です。
付箋や小さめの紙に意見やアイデアを書き込んで会議を進めていき、グループごとに分けていきましょう。
論理的に課題が明確になるので、話をまとめるときに便利です。
まとめ
ブレインストーミングは、企業の組織間で意見やアイデアを抽出したいときに便利な会議方法となります。
さまざまな考えが生まれるだけでなく、組織間のコミュニケーション向上にも大きな期待がもてるでしょう。
質よりも量を重視するところが、他の会議法とは異なり、テーマを明確にしておくことが重要になってきます。
結論を急いだり否定的な言葉を使ったりすると、ブレインストーミングがうまくいかない可能性があるので注意してください。
今回紹介したブレインストーミングの方法を参考に、社内で実践してみましょう。