あなたは普段、部下を褒めていますか。
「なかなか上手にできない…」という方は多いのではないでしょうか。
とあるアンケートによると、「上司に褒められるとやる気がアップする」と答えた部下はなんと全体の8割以上に及ぶそうです。
「褒めること」は、まさに部下をやる気にさせる特効薬。
だから「褒め上手」であることはリーダーとして大切な要素なんです。
褒めることが苦手な人の心理
相手に関わらず「褒め下手」になりがちな日本人。
「照れくさい」「褒め方が分からない」「褒めるところが見つからない」など理由はさまざまあると思いますが、なかには「媚びを売ってるみたい」「お世辞みたいでわざとらしい」なんて否定的なイメージを持つ人も。
そういった苦手意識や思い込みが、脳の中の「褒め回路」を実は最も邪魔しているのです。
あなたはなぜ褒めることが苦手だと感じていますか?
それがわかれば対処法も見えていきます。
「何を褒めていいのかわからない」という人は、相手の長所が見つけられないということ。
であれば、長所が見えてくるようにすればいいのです。
たとえば「頑張ってるね」などの『褒め言葉』を1つ決めて人と接してみる。
そうすると自然と「頑張っている人」が見えるようになってきます。
また、自分が褒められる環境にいなかった人は「褒める=甘やかす」と勘違いしていることが多いです。
人は、褒められてつけあがることはありません。
むしろ褒めれば褒めるほど褒められた通りになっていくもの。
そしてほとんどの人は、たとえお世辞であっても『褒められることは嬉しいこと』と感じています。
人の言うことをいちいち疑ってかかる人はごくわずか。
そのことに気づくだけでも、だいぶ「褒めること」に対する苦手意識が薄れるはずです。
褒めることで起きる変化とメリット
次に、部下を褒めることで上司が得られるメリットについて考えてみましょう。
前述のように「褒めることは部下のやる気をアップさせる効果」がありますが、そのことによって生まれる”変化”が多くのメリットに繋がっていきます。
部下が成長することで、上司の仕事も楽になる
「褒められる=上司がちゃんと見てくれている」という喜びがモチベーションとなって成長に繋がっていきます。
部下が成長すれば上司の仕事も楽になり、全体がスムーズに進みます。
お互いの信頼が深まり、良い関係が築ける
信頼や尊敬が芽生えて、何でも相談しやすい関係で仕事ができれば、注意したり苦言を呈しなければいけない場合も、しっかり受け止めてもらえるようになります。
部下を理想の姿にリードしていくことができる
望ましいと感じる行動に対して褒めて、きちんと評価する。
それを続けていくと、部下が自分の望む姿に近づいてくれます。
「褒める」ことは、部下のやる気を引き出し、その成長を後押しするばかりでなく、お互いベストな関係を築くことに役立ちます。
そして、将来的には上司のあなた自身の仕事の成果を上げるためのキーポイントになるのです。
褒めるときの大切なポイント
褒めると言っても何でもかんでも褒めればいいというわけではありません。
間違った褒め方をしてしまうとあなたの印象もかえって悪くなり逆効果。
そうならないためにも大切なポイントは押さえておきましょう。
タイミングを見極める
褒めるには鮮度があります。
少なくとも褒める内容が相手の意識にある時期に行なうのがベスト。
さらに、報告時なのか、業務が落ち着いてからなのか…など、相手にとって「一番心に響くとき」を見極めましょう。
また、みんなの前で褒めることが一番良いのですが、内容や部下の立場などを踏まえて一対一のほうがいい場合もあります。
部下の実力や習熟度に合わせて褒め方を変える
たとえば実力のある人が当たり前にこなしていることに対して褒めても効果はありません。
でも、本人にとってハードルが高い仕事をやっとの思いでこなした場合は結果がすごく良くなくても褒めてあげることでモチベーションは上がります。
部下のレベルに合わせて褒める内容やポイントを変えましょう。
褒める内容を具体的に取り上げる
売上などの数字は分かりやすいですが「丁寧な対応でお客様に喜ばれた」「諦めずにトライした」など、姿勢や取り組みを具体的に評価することで、部下は「上司は自分のことをちゃんと見てくれている」と実感でき、安心感にも繋がります。
効果的な褒め方5つの鉄則
褒めるうえでの注意点や大切なポイントを踏まえた上で、上手な褒め方にはいくつかの鉄則があります。
プロセスを褒める
上司はつい数字や成果に注目しがちですが、部下が認めてほしいのは結果よりもそこに至るまでの行動や対策などのプロセスです。
具体的な内容とセットで褒める
「この書類のこのページがとても分かりやすくていいね」など「ここがすごい」という感想も添えて褒めましょう。
誰にでも公平に褒める
個人的な私情を挟むのは厳禁。
誰であろうと褒めるべきものは褒めるという公平さがあるからこそ、真実の言葉として部下に刺さります。
褒め言葉に小言を添えない
人は、褒め言葉より小言の方が強く印象に残ってしまいます。
どうしても難しい時は注意してから褒め言葉で締めくくりましょう。
たとえば…
「頑張って契約取れて良かったね。でもちょっと段取りが悪かったな」
ではなく
「ちょっと段取りに手間取ったけど、粘り強く頑張って契約取れて良かったね」
というように、「褒められた」という印象をしっかり与えることが大事です。
第三者の前で褒める
直接「きみはうちのエースだ」と言われるよりも、たとえば取引先の顧客に「彼は頼もしいうちのエースなんです」と伝えているのを聞かせたほうが部下のモチベーションは上がります。
まとめ
褒める側よりも、褒められた部下のほうがそのことをずっと覚えていたりするものです。
だからといって、何でもかんでも褒めればいいというものではありません。
より効果的に、より心に刺さる褒め方で部下のやる気を引き出し、信頼関係を築いていきましょう。
部下の最高のパフォーマンスを引き出すことはあなた自身の仕事の成果にも繋がります。
そのためには、まずは「褒める」ことへの抵抗感や照れくささを払拭すること。
褒めることで損することは何もありません。
ぜひ、部下を褒めるコツをつかんで「褒め上手」を目指してください!