優秀な人材はなかなかすぐには見つからないですよね。
そんな中で、以前に定員の関係で内定を出さなかったものの今ならぜひ採用したいと思うようなことはありませんか。
今考えればあの人も優秀だったかもしれないという後悔は少なからず経験があると思います。
そんなときに活用していただきたいのがタレントプールです。
優秀な人材を蓄えておくタレントプールを活用することで、優秀な人材を逃すことなく、また必要な時期に採用ができるかもしれません。
今回は、タレントプールについて解説していきます。
タレントプールとは?
タレントプールという言葉をご存知でしょうか?
タレントプールとは、アメリカの大手コンサルティング会社が実施した人材の獲得・育成に関する調査「The War for Talent(人材育成競争)」で提唱された概念です。
タレント(talent)=「才能」、プール(pool)=「蓄える」。
つまり自社の採用候補となりうる優秀な人材を蓄えるという意味を持っています。
一般的には経験や実績といった点でのポテンシャルを持っている「将来的には採用したい」「逃したくない」人材のデータベースのことを指します。
採用活動の中で
・経験年数の不足や、当時は空きポジションがなかったという理由で不採用にした人材
・不採用にしてしまったが実は必要だった人材
・内定辞退してしまった人材
といった人々に対して、いつか巡ってくるであろう採用のタイミングを見越してコンタクトを取り、繋がりを継続しておくための自社採用候補者のデータベースとして活用し、タイミングのズレによる機会損失を防ぐ役割を担っています。
「採用しておけばよかった」という後悔をしないために、採用しなかった優秀な人材をいつか採用できるように囲っておくための手段ということですね。
売り手市場でなかなか採用がうまくいかないこの時期だからこそ、取り入れる価値のある手段だと言えます。
タレントプールによって得られる効果とは
タレントプールはうまく活用することで採用にプラスの効果を期待できます。
ではどのような効果があるのかを見ていきましょう。
機会損失を防ぐ
タレントプールの一番のメリットは採用するタイミングのずれによる機会損失を防ぐことができる点です。
今、必要な人材ではないが、いずれ必要になるであろう人材をそのまま逃してしまうのは大きな損失となります。
今回の採用要件には当てはまらなかったものの、自社にとっては必要な人材であるという場合に大いに役に立つ手法でしょう。
採用人材の質の向上
そもそも優秀な人材を集めたデータベースのため、質が良いのはもちろんですが、その中でも今回の採用要件により適した人材を複数の候補者から適性を比較して選ぶことができるため、より適切な人材を採用することができます。
また採用機会まで、お互いの要望についてじっくりと話し合いの時間を設けることで採用の際にミスマッチが起きにくく、早期退職を防ぐことができます。
マネジメント力のアピール
すでにタレントプールという考え方が広まっているアメリカでは、タレントプールを導入・活用していることで、長期的な視野や急な人材不足に備える「リスク管理」、将来の経営を見据えた「安定した成長計画」に取り組んでいるとして、高いマネジメント能力を持った会社と評価されることがあります。
採用だけでなく、自社のブランディングにもつながる可能性があるということです。
タレントプールの問題点・課題
タレントプールはうまく活用すると採用に大きなプラスの効果が生まれますが、その反面、買うよう方法を間違えると失敗してしまうケースもあります。
ここでは、タレントプールを活用する上での問題点や課題についてご紹介します。
データベースの更新に手間がかかる
人材のデータベースはかなりの頻度で更新が必要になります。
実際にアプローチしようとしても、住んでいる場所が変わっていたり、希望する仕事内容が変わっていたりするとデータベースとして意味を成さなくなってしまいます。
人材との密なコミュニケーションや情報収集が必要になるため、更新にはある程度労力を要するということは認識しておく必要があるでしょう。
人材へのアプローチのタイミングが難しい
タレントプールの人材には定期的にコミュニケーションを取る必要があります。
その中で採用したいタイミングでアプローチをしますが、もちろん同じタイミングで入社したいと思っているとは限りません。
採用したいタイミングで入社してくれる人を探すのは非常に難しいのです。
運用管理が大変
タレントプールの定期的な人材へのコミュニケーションやタイミングのいいアプローチにはそれらの運用を管理する役割が必要になります。
これが上手くいかないと、そもそもデータベースが意味のないものになってしまったり、アプローチのタイミングがわからず採用につながらないといったことにもつながってしまいます。
しっかりとノウハウを溜めて、効果的な運用管理ができるよう進めていく必要がありますね。
タレントプールの活用方法
では実際にタレントプールの運用方法をご紹介します。
まずは内定を辞退した人、タイミングが合わず採用とならなかった人を人材データベースに追加していきます。
他、マッチングサービスや転職サービスなどを利用している場合は、そこで候補となりそうな人も確保していきます。
それ以外にも企業FacebookなどのSNSを活用し、自社に合いそうな方に対して積極的にメッセージを送るなどのアプローチも有効です。
中には自社の求める人材が興味を持ちそうなイベントや勉強会、交流会を定期的に実施して、多くの方々と繋がる機会を積極的に作っている企業もあります。
こうして集めた自社に合いそうな人材のデータベースを作成していきます。
自社に合いそうな人材のデータベースが完成したら、SNSなどでイベント情報やニュース・トピックなどの自社情報の発信を行い「今度のイベントに参加しませんか」と定期的に連絡をとっていきます。
そして、採用ポジションに空きが出たときに最適な候補者に対して採用に関する情報を提供し、より密なコンタクトを行います。
採用確度が高い人材に対しては「タイミングさえあえばいつでも歓迎する」といったようなラブコールを送ってしまうのも効果的です。
タレントプールの導入事例
ここまでタレントプールのメリットや活用方法についてご説明してきましたが、やはり海外に比べると日本ではタレントプールの認知度は低く、そんな方法で上手くいくの?と思う方も多いでしょう。
しかし、日本でもタレントプールを実際に導入して採用を成功させている企業があります。
ここでは実際に導入している企業の事例を見てみましょう。
ミシュラン
有名なタイヤメーカーであり、美食ガイドとしてのイメージも強いミシュランでは、基本的な情報発信はFacebook、TwitterなどのSNSで行い、データベースの作成には、同社の採用ページの「Join our talent pool」というページから登録を促しています。
登録することでアカウントが発行され、自身のプロフィールやスキルなどの情報を登録できるようになっているという流れです。
同社はこの登録内容をもとに採用ポジションに空きが出た際に条件にマッチした候補者にコンタクトをとっています。
ITベンチャーA社
もちろん、会社の規模やネームバリューに関係なく成功している企業もあります。
A社では自社と接点を持った優秀な人材を「見込み顧客」と考えてやりとりをデータベース化しています。
接触や求職者の動きなど、細かな変化もデータを更新していきます。
こうして優秀な人材の動向をマークし、タイミングを見計らって情報交換をしたり、転職を誘うことで優秀な人材を獲得しています。
タレントプールをうまく活用して人材不足を解決しよう!
タレントプールは多少手間がかかるものの、うまく活用すれば人材不足の問題からも抜け出せるかもしれません。
しかし、準備を怠ってしまうとせっかく作ったデータベースも無駄になってしまうかもしれません。
この記事を参考にして、有効なタレントプールの活用をぜひ実践してみてください。