「求人広告を掲載してもなかなか応募者が集まらない」という企業も多いのではないでしょうか。
売り手市場が続いている影響で、従来の採用手法では人材を充足させることが難しくなっています。
そんな中、新しい採用手法として「ダイレクトリクルーティング」が注目されています。
ダイレクトリクルーティングはその名の通り、求職者に直接アプローチをする“攻めの採用手法”です。
欲しい人材にピンポイントでアプローチできることから、導入する企業も増えています。
今回は、注目のダイレクトリクルーティングについて、従来の採用手法との違いを交えながら詳しく説明していきます。
メリット・デメリットや、ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント、おすすめのサービスもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングとは、近年注目されている新しい採用手法で、採用サイト、SNSなどを活用し、企業側から求職者に対してアプローチする採用手法のことを指します。
これまでの採用活動は、応募者側がアクションをおこし、企業は待っているだけということが多かった中、企業側が積極的に動きアプローチしていくダイレクトリクルーティングは「攻めの採用」と例えられることがあります。
ダイレクトリクルーティングはなぜ普及したのか
ダイレクトリクルーティングを活用する企業が増えた背景には、「労働人口減少による売り手市場」「人材の流動化」「ビジネスモデルの短命化」があります。
労働人口減少による売り手市場
少子高齢化などの影響で労働人口は減少し続けており、従来のように求職者からの応募を待つだけでは、十分な母集団形成が難しくなっています。
労使の需給バランスをあらわす有効求人倍率は現在、1.63倍(2019年4月分)です。
バブル期のピークが1.46倍であったことを考えると、空前の「売り手市場」であることが分かりますね。
売り手市場が続いている現在、求職者からの応募を待つだけでは、十分な候補者を集めることができないため企業が積極的に動く必要があるのです。
人材の流動化
以前は「一度就職したらその会社で定年まで働く」終身雇用が主流でしたが、多様な働き方が認められるようになった現在では就職後、複数回転職する人も珍しくありません。
転職が特別なことではなくなり人材の流動性が高まったことで、これまでのように新卒を採用し企業内で育成するだけではなく、経験者を積極的に採用し、戦力強化をしていかなければ企業は生き残っていくことができなくなってきています。
こういった、人材の流動化による企業の人材戦略の変化もダイレクトリクルーティングが注目されている背景の一つになっています。
ビジネスモデルの短命化
インターネットの普及などにより、瞬く間に情報が広まるようになったため、ビジネスモデルが短命化しています。
常に新しいビジネスアイディアを生みだすためには、組織内の人材に多様性があった方が有利です。
そのため、今まで出会うことのなかったタイプの人材にもアプローチできる、ダイレクトリクルーティングが注目されているのです。
従来の採用手法と何が違うの?
求人広告のように応募者からのアクションを待つ従来の手法は「守りの採用」と言われ、反対に企業側から積極的にアプローチをしていくダイレクトリクルーティングは「攻めの採用」と言われています。
ここでは、従来の採用手法とダイレクトリクルーティングの違いについて解説します。
ダイレクトリクルーティングと、従来の方法の最大の違いは、「求める人材にピンポイントで出会える」という点です。
従来の待ちの採用スタイルでは、企業文化やイメージ、先入観などがありますので、どれだけ工夫をしても応募者の属性(年齢、性格、経験、学歴など)は偏りがちです。
しかし、ダイレクトリクルーティングなら、待っているだけでは出会うことがなかったようなターゲットに対しても直接アプローチすることが可能ですので、これまでと全く違うタイプの人材を採用することができるようになるかもしれません。
ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット
ダイレクトリクルーティングの理解が深まったところで、どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
メリット
ダイレクトリクルーティングのメリットをご紹介します。
転職潜在層にもアプローチできる
求人広告や人材紹介サービスは、転職したいというニーズが顕在化している方しかほとんど利用していません。
しかし、ダイレクトリクルーティングなら「転職には興味があるけど、具体的にはまだ考えていない」、「いい会社があれば転職も考える」といった転職潜在層に対してもアプローチすることができます。
このことによって、通常なら採用市場に出てこなかった優秀な人材を獲得することができるようになるかもしれません。
採用力を底上げできる
ダイレクトリクルーティングは、スカウトから採用までの工程のほとんどを自社で行います。
そのため各工程を振り返りやすく、地道にPDCAを回せば採用に関する知見が蓄積され、自社の採用力を底上げすることができます。
採用コストを削減できる可能性がある
さまざまな人材サービスは、利用するためには当然費用がかかります。
また、求人広告などでは採用課金型(採用すればお金がかかる料金形態)ではなく、掲載課金型(採用の有無にかかわらずサービスの利用自体に料金がかかる料金形態)が中心です。
そのため、人材が獲得できていなくても料金だけが発生するということも珍しくありません。
しかし、ダイレクトリクルーティングなら、SNSなどを利用して自社だけで採用活動を行えば採用担当の人件費以外に費用はかかりません。
そのため、ダイレクトリクルーティングなら採用にかかる費用を大きく削減することができる可能性があります。
企業規模に関係なく良い人材にアプローチできる
ダイレクトリクルーティングでは、最初の接点はメールや、メッセージが中心となります。
そのため、書かれているメッセージの中身によっては、企業規模やイメージにとらわれずに、良い人材を振り向かせることができるかもしれません。
マッチ度の高い人材を採用できる
従来の採用手法では、転職に積極的な応募者、もしくは紹介された候補者の中から最も適した人を選ぶため、マッチ度が不十分でも採用するケースがありました。
しかし、ダイレクトリクルーティングは企業が欲しい人材にピンポイントでアプローチするので、マッチ度の高い人材を採用できます。
デメリット
続いて、ダイレクトリクルーティングのデメリットを見ていきましょう。
採用担当の負担が増える
ダイレクトリクルーティングは、企業が主体的に動いて求職者へアプローチする採用手法のため、下記のように母集団形成から入社までの全工程を企業が行います。
【ダイレクトリクルーティングの採用フロー】
・欲しい人材を人材データベースから探し出し、確定
・スカウト文作成、送信
・面接日程など候補者とのやり取り
・面接
・合否連絡
・入社意向を上げるためのフォロー
・内定承諾
ダイレクトリクルーティングはほとんどの採用フローを自社で行うため、採用担当の負担を増加させてしまう可能性があります。
成果を出すには経験を積む必要がある
ダイレクトリクルーティングで成果を出すためには、ダイレクトリクルーティングに関する知見、ノウハウが重要です。
そのため、導入直後はなかなか効果が出せないということもあります。
そのため、長期的な施策としてPDCAを回すことが重要です。
面接の前段階で軽めの面談を行うなど、工夫が必要です。
ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント
ダイレクトマーケティングのメリット・デメリットが分かったところで、成功させるポイントを見ていきましょう。
ターゲットを絞り込みすぎない
求職者の情報は人材データベースやSNSに掲載されている情報がすべてではありません。
「データ上でのマッチ度は低めだったが、実際に会ってみると求める人材に近かった」というケースもあるので、最初から要件を厳しくしすぎると、機会損失につながる可能性があります。
ターゲットの要件を考える際は、スキルや経験、能力が“絶対になくてはいけない”MUSTな要件なのか、“あれば尚良いが、なくても良い”というWANTなのかを整理し、最初からターゲットを絞り込みすぎないようにしましょう。
経営陣を巻き込む
ダイレクトリクルーティングで接触する求職者は、他の方法と比較して意向の低い人達ばかりです。
数ある企業の中から選んでもらうには、自社の魅力や今後のビジョンについて高い熱量で話せる人物が重要となります。
最も熱量高く語れるポジションと言えば、やはり社長などの経営陣です。
このような方が初回の面談から対応することができれば、応募者の意向を上げられやすくなります。
PDCAを回し、長期的な視点で運用する
ダイレクトリクルーティングは、転職潜在層へのアプローチ方法や口説き方、ツールの選定など、成果を出せるようになるまでPDCAを回す必要があり、即効性のある採用手法ではありません。
フェーズごとに結果を振り返り、効果的な施策を見極めることが重要です。
採用情報の一元管理
「どこのメディアでだれをスカウトしたか」「質の高い候補者がいるメディアはどこか」判断するために、採用情報を一元管理しましょう。
一元管理しておくと、求職者とのコミュニケーションや採用手法ごとの進捗情報などが可視化されるので、効率的に進められます。
中途採用に使えるダイレクトリクルーティングのサービス例
中途採用向けのダイレクトリクルーティングサービスをご紹介します。
キャリトレ
ポイント
・20代の若手に特化した人材データベースで52万人が登録(2019年12月時点)
・多媒体ではなかなか会えない優秀層に出会える
・専任コンサルタントのフォローを受けられる
内容
MARCH以上の学歴を持つ優秀なユーザーが多数登録しており、良質なデータベースを保有しています。
新規登録会員の73%が20代のため、次世代リーダー候補の獲得を検討している企業におすすめです。
職務経歴書や行動データから、マッチ度の高い求職者をレコメンドする機能や、専任コンサルタントからのフォローを受けられます。
提供企業
株式会社ビズリーチ
https://bizreach.biz/service/careertrek/
ビズリーチ
ポイント
・会員登録数94万人以上(2019年12月時点)
・キャリトレよりもユーザーの年齢層は高め
・専任コンサルタントのフォローを受けられる
内容
マネジメント経験や英語力のある優秀な人材が多数登録しています。
キャリトレよりも年齢層は高めの30代以上が多く、即戦力採用やキャリア重視型の企業におすすめです。
求める人材をビズリーチのデータベースから自分で直接検索できるため、求める人材を採用できる可能性が高まります。
提供企業
株式会社ビズリーチ
https://bizreach.biz/service/bizreach/
Wantedly Admin
ポイント
・会員登録者数100万人以上(2019年12月時点)
・約7割が20代~30代の若手層
・継続課金のみで成功報酬はかからないため、低コスト
内容
ビジネスSNSのWantedlyに登録しているユーザーへスカウトを送ることができるサービスです。
Wantedlyは募集や採用ブランディングのためのブログ機能もあり、ユーザーへのアピールができます。
また、スカウトの返信率は他のサービスと比べ高いことから、意欲的なユーザーが多く登録していることが分かります。
提供企業
ウォンテッドリー株式会社
ミイダス
ポイント
・コンピテンシー診断検索とフィッティング人材分析ができる
・定額プランで追加費用は掛からない
・自動オファー機能で選考作業を省ける
内容
書類では分からなかったユーザーの内面的な部分から検索できる(コンピテンシー診断検索)機能や、自社社員のコンピテンシー分析から同じ傾向を持つ人材へオファーを送れる(フィッティング人材分析)機能が利用できるため、ミスマッチ防止に効果的です。
また、書類選考合格の条件を登録しておけば、自動でスクリーニングされる機能も付いています。
提供企業
パーソルキャリア株式会社
LiBzCAREER
ポイント
・キャリア女性特化型
・活躍人材を見分けられるシステムを搭載
・PDCAサイクルを可視化できる
内容
キャリア女性に特化したダイレクトリクルーティングサービスです。
自社の活躍社員とパーソナリティを比較できるシステムが搭載されているため、自社にマッチした人材と出会える確率が上がります。
採用活の状況を可視化されているため、PDCAを回しやすいという特徴があります。
提供企業
株式会社リブ
Green
ポイント
・会員登録54万人、約8割が20代~30代の若手層(2019年12月時点)
・成功報酬型(30~90万円)
・掲載期間・掲載数求人・スカウト数の制限なし
内容
エンジニア、クリエイティブ経験者が過半数以上を占めている、若手のIT・Web系経験者採用に強い成功報酬型求人メディアです。
掲載期間や掲載数に制限はなく、必要に応じて編集や追加ができるため、ローコストな運用が可能です。
提供企業
株式会社アトラエ
https://www2.green-japan.com/classic
doda Recruiters
ポイント
・174万人規模のデータベースにアクセス可能(2019年12月時点)
・最短1日のスピード面接設定が可能
・専任担当のサポートあり
内容
dodaスカウト会員データベースから職種やスキル、資格など自社の求める条件に合う転職希望者を検索してピンポイントで検索して、スカウトメールを送ることができます。
提供企業
パーソルキャリア株式会社
https://www.saiyo-doda.jp/service/recruiters
Daijob.com
ポイント
・累計約54万人のバイリンガル即戦力人材が登録
・スカウトメールの返信率20%以上
・登録者の74%以上がビジネスレベルの英語力
内容
グローバル人材登録者数NO.1のデータベースを保有している転職サイトです。
3人に1人が最終年収500万円以上、約7割がビジネスレベル以上の英語力を持つため、即戦力となるグローバル人材が豊富に登録しています。
求人情報の掲載や作成、履歴書を公開している求職者の中から、ピンポイントでスカウトメールを送ることができます。
提供企業
ヒューマングローバルタレント株式会社
https://www.daijob.com/services/daijob
LinkdIn
ポイント
・世界最大規模のビジネス特化型SNS
・全世界で約4億人が登録
・転職潜在層へもアプローチできる
内容
LinkdInは4億人のユーザーが登録している世界最大のビジネス特化型SNSで、求人広告も掲載可能です。
海外のビジネスパーソンは当たり前のように使われており、日本でも徐々に普及してきています。
ビジネス用SNSという特性により、ユーザーの登録内容が随時アップロードされるため、情報鮮度の高い状態で転職潜在層へアプローチできます。
提供企業
転職ドラフト
ポイント
・ITエンジニアの採用に強い成功報酬型
・実力あるエンジニアのみが登録
・スカウト返信率80%以上、面談承諾率40%
内容
ITエンジニアに特化したダイレクトリクルーティングサービス。
月1回のマッチングイベント開催、指名やメッセージをやり取りできる期間が限定されており、短期採用が可能です。
エンジニアのスキルや思考性が分かる独自のレジュメを確認し、気になる人材を直接スカウトできます。
また、転職ドラフトによってスキルや経験などを審査されるため、質の高いエンジニアのみが登録しています。
スカウト返信率80%以上、面談承諾率40%以上と高確率でエンジニアと出会えるのも特徴です。
提供企業
株式会社リブセンス
https://job-draft.jp/company_service_inquiry
新卒採用に使えるダイレクトリクルーティングのサービス例
新卒採用のダイレクトリクルーティングサービスをご紹介します。
JOBRASS新卒
ポイント
・約20万人の学生が登録(2017年1月現在)
・MARCHなどの上位校生が約40%
・多彩な検索項目でピンポイントに探せる
内容
新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスで、約20万人が登録しています。
MARCHなどの上位校生が約40%を占める優秀層が多く、スキルや経験、社会人基礎力診断など検索項目もバラエティに富んでいます。
また、大学1年生から登録している学生もいるため、早期の接点づくりも可能です。
提供企業
株式会社アイデム
OfferBox
ポイント
・登録学生12万人以上
・活動分析ができる
・サポート機能付きで採用担当者の負担を軽減
内容
気になる学生に直接オファーを送れるダイレクトリクルーティングサービスで、学生の4人に1人が登録しています。
人工知能と適性検査を取り入れた学生検索で、より自社にマッチする人材の検索ができる機能や、採用活動の進捗・達成状況といった活動分析ができるのが特徴です。
また、選考状況をフェーズで管理できる機能もついており、採用担当者の負担を軽減するサポートが充実しています。
提供企業
株式会社i-plug
キミスカ
ポイント
・7万人以上の学生をスカウト可能
・6割以上が国公立、MARCH以上の上位校生
・学生の他社選考状況が見える
内容
キミスカでは、採用の本気度に応じて3種類のスカウトメールを送り分けできます。
最も本気度の高いプラチナスカウトの場合、メール開封率は79%と非常に学生の反応が良いため、ピンポイント採用に最適です。
登録学生の60%以上が国公立、MARCH以上の上位校生が占めており、リーダー候補となるような優秀層の獲得に期待できます。
また、学生の他社選考状況が見えるため選考の指標にもなります。
提供企業
株式会社グローアップ
https://kimisuka.com/contents/LP/alp2/
Iroots
ポイント
・登録学生の70%以上はMARCH以上の上位校生
・スカウト開封率80%以上
・変革人材の出現率が2倍
内容
Irootsの選定軸によって参画企業が決定されるため、学生に優良企業というイメージを与えやすく、スカウト開封率が高いという特徴があります。
登録学生の70%以上はMARCH以上が占めており、変革できる要素を持つ人材の出現率は通常マーケットの2倍と優秀な学生へピンポイントでアプローチできます。
提供企業
エン・ジャパン株式会社
ニクリーチ
ポイント
・登録学生5万人以上、トップランクの学生が多い
・スカウト返信率50%以上
・食事で学生と密なコミュニケーションを取れる
内容
優秀層が多く登録しているデータベースから直接検索し、気になった学生にスカウトを送ることができます。
ニクリーチは学生から、スカウトの返信が来るとマッチング成立となり、システム上でお互いの連絡先が公開されます。
その後、当事者間で日程を調整し、後日マッチングした学生と一緒にお肉を食べにいくという流れです。
「お肉が食べられる」という特典から、自社に興味のない学生とも会う機会を作りやすく、認知度の低い企業でも幅広い学生とコミュニケーションをとることができます。
提供企業
株式会社ビズリーチ
これからは攻めの採用手法で優秀な人材を獲得!
空前の売り手市場によって、従来の「待ちの採用」では、応募者の獲得に苦戦する企業が多いです。
ダイレクトリクルーティングは、アクティブに転職活動をしていない潜在層にも、いち早くアプローチできるため、通常では出会えなかった優秀な人材と巡り合える可能性があります。
採用市場が厳しい今だからこそ、欲しい人材にピンポイントでアプローチできる「攻めの採用」が重要と言えるでしょう。
ご紹介したポイントをもとに、ダイレクトリクルーティングを試してみてはいかがでしょうか。