社会のあらゆるシーンで女性の活躍が目立つようになってきました。

 

仕事で活躍したいという希望を持つすべての女性が、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために、政府が提示したのが「女性活躍推進法」です。

 

聞いたことはあるけど実際にどんな流れでどんな取り組みがされているのか、ここでは概要や取り組み事例について触れたいと思います。

 

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法は、2015年9月に施工された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」です。

 

もう少しわかりやすく言うと、「女性が仕事で活躍できる環境を整えることを、事業主(国・地方自治体・民間企業)に対して義務化した」ということになります。

 

さらに2016年4月には、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主に対し、下記を義務づけました。
(従業員300人以下の事業主は努力義務)

 

(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
(2)状況把握、課題分析を踏まえた行動計画の策定、社内周知、公表、都道府県労働局への届出
(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表

 

また、届出が済んでいる企業は、「女性の活躍推進企業データベース」にて公開されているので誰でも閲覧できるようになっています。

 

女性活躍推進法が企業に与えるメリット

女性活躍推進法は、労働側だけにメリットがあるわけではありません。

 

もちろん事業者にとってもさまざまなメリットがあります。

 

公共調達における優遇措置

国の各府省において行う公共調達では、女性活躍推進企業であることで加点評価されます。

 

さらに厚生労働大臣が定める「えるぼし認定」企業にはなるとより高く加点されます。

 

両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)

自社で女性活躍の数値目標の設定と達成に向けた行動計画を策定し、目標を達成した事業主には両立支援助成金が支給されます。

 

企業イメージの向上、人材の確保

女性が働きやすくやりがいが持てる職場環境をつくることは、職場全体の環境改善につながり、その結果男性も含めたすべての従業員にとって「働きやすい環境」を提供することになります。

 

また、「えるぼし」認定マークを付けることでで女性活躍推進事業主であることをPRできますし、企業のイメージアップにもなるでしょう。

 

業務改善、企業文化の改革

事業やサービス展開の観点からすると、たとえば女性社員を主要な役割・管理職に登用することで、男性主体で物事を進めていた時には気づかなかった問題に気づいたり、女性目線でのサービス開発が生まれることも大いに期待できます。

 

また、女性は上下関係を超えたコミュニケーションが得意とされており、縦割り組織ではなく会社全体のコミュニケーションを活性化させることで企業文化そのものの改革につながるかもしれません。

 

企業がやるべきこと

では実際に、女性活躍推進法に則って具体的にどう進めればいいのでしょうか。

 

自社の状況を把握し、課題を分析

女性社員の比率・勤続年数の男女差・労働時間・管理職に占める女性の比率などを調べ、現状を把握します。

 

分析結果に基づいて、行動計画を策定

課題解決に向けた目標を設定し、達成のための具体的な取り組みを行動計画に落とし込みます。

 

目標は1つ以上、数値で定めないといけません。

 

行動計画を社内に周知し、外部に公表

自社のWebサイトなどで求職者が簡単に閲覧できる形で行動計画や実績を公表し、年に一度データを更新します。

(直近データは少なくとも更新時点が該当する事業年度の前々年度まで)

 

行動計画を策定して、都道府県労働局へ届出

所定の様式にまとめて書類を提出します。

 

行動計画に沿って取り組みを実施、定期的に効果測定

定期的に達成状況や取り組みの進捗をチェックし、評価内容を踏まえてその後の計画と取り組みに反映。

 

PDCAサイクルを確立させていきます。

 

 

実際に成果が出た取り組み事例

ここで、女性活躍の推進に取り組んだことで成果を出した例をいくつかご紹介します。

 

情報通信業の例

課題

約7割の女性社員が30代前半までに離職。

その原因として、会社全体に長時間労働の体質があったため、出産・子育てをきっかけとした離職が多かったとことが判明。

男性社員にも疲弊感が強く、男女関係なく健康的な労働環境への改善が必要。

 

対応

女性社員向けに将来への不安を解消するためのセミナー開催や先輩女性社員との交流を実施。

社員の出向先企業には、長時間労働是正への理解を求めるために管理職が訪問し説明。

 

成果

女性社員の30代前半までの離職数が大幅に減少、入社10年後離職率も約7割から約3割に。

心身の健康が維持できることで従業員全体の意欲が向上し、残業約25%減、有休取得日数約5割増にもかかわらず利益が約6割増に大幅アップしました。

 

大手銀行の例

課題

2005年、社内にダイバーシティ推進室を設置し、女性社員が妊娠・出産を経ても働き続けられる環境を整備。

より多くの女性社員が復職後もキャリアアップできるよう、さらなる働き方の見直しや改革が必要。

 

対応

(1)学生と現役女性社員が語り合える「女子学生向けセミナー」を開催
(2)担当業務や専門分野を超えて女性向け研修プログラムを実施
(3)一般職を「ビジネスキャリア職」として、管理職も目指せる職種に再編
(4)育児繁忙期にビジネスキャリア職に転換した社員も、その後総合職に復帰できる制度を導入
(5)管理職登用への不安を持つ社員に対し、苦手意識を払拭する研修を実施
(6)結婚・出産・育児・介護・配偶者転勤による退職の場合、5年以内の期限付きで面接合格を条件とした再雇用制度を設置

 

成果

2015年度の新卒採用の総合職に占める女性の割合が32.5%に上昇。

女性管理職の比率は2006年の1.9%から、2014年10月末時点で12%に。

職種転換も毎年数十人が実現しており、再雇用制度の利用も増えています。

 

まとめ

女性活躍推進法は、女性が仕事で活躍できる場や、キャリアアップし続けられる可能性を拡大することが目的ではありますが、期待される恩恵は女性だけではなく男性を含む会社全体にももたらされることがわかります。

 

企業価値が向上すれば優秀な人材も集まり、さらなる業績アップにつながるでしょう。

 

それだけではなく社員のモチベーションや意欲の向上・維持にもつながります。

 

そういった企業にとってのメリットを十分に踏まえた上でぜひ積極的に取り組んでいくことをおすすめします。

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