社員教育において、先輩と共に業務を進めながら仕事を身につけるOJT(On the Job Training)が主流ではありますが、職場から離れて座学などで業務への理解を深めるOff-JT(Off the Job Training)にもOJTにはないメリットが多くあります。

 

本記事では、このOff-JTについて、またOJTとの使い分けについてご紹介します。

 

Off-JTのメリット・デメリット

具体的にOff-JTにはどのような特徴があるのでしょうか。

 

OJTと比較しながら、Off-JTのメリット・デメリットをご紹介します。

 

メリット

同時に複数名の受講が可能

OJTでは指導者によって、指導内容にバラつきがでたり、同時に入社した従業員のスキルに差がつきやすいのに対して、Off-JTでは指導者による内容のバラつきが生じることはありません。
また、受講者同士の交流の場になることも大きなメリットです。

 

広域的な知識を習得できる

目の前の業務に対して知識・技術を学ぶOJTに対して、その仕事の全体像、経営動向、技術動向など体系的な学習ができます。

 

学習に専念できる

業務・学習を同時に行うOJTに対して、学習に専念できるOff-JTでは、より早く知識を身に付けることができます。

 

デメリット

調整に手間がかかる

研修内容、日程、講師など準備することが多く、結果的にOJTよりも時間、コストがかかってしまう場合があります。

 

実務との誤差が生じやすい

経営方針や理念など、体系的な内容に特化してしまうと、実際の現場で何も役に立たなかったということも懸念されます。

 

そのためOff-JTにおいては、体系的な内容、実践的な内容、この2つの割合をしっかりと見極めて行う必要があります。

 

どんな種類のOff-JTがあるか

Off-JTは大きく分けて3つの種類に分類できます。

 

座学・講義型

講師が持っている知識を、参加者に説明するスタイル。
あくまで、やりとりは質問として、いち参加者と講師の間で行われるため、複数名が参加している講義でも、”個人学習”と言えます。

 

対話・体験型

それに対してこちらは、参加者同士の意見交換や、ロールプレイングを中心として、講師は進行役を担うスタイル。

講師と参加者、または参加者同士の対話を重視した”集団学習”と言えます。

 

遠隔型

パソコンやスマートフォンなどの端末で受講する”eラーニング”が挙げられます。

Off-JTのデメリットの1つである、日程、講師調整などの準備が省けることから、近年、導入する企業が増えています。

 

近年では、2つ目の『対話・体験型』研修を実施する企業が特に増えてきています。

従業員同士が繋がるキッカケとなり、双方の意見交換をもとに”自身の課題”を見つける手助けになるなどの理由が挙げられます。

 

 

もちろん上記の3つは、職種、仕事内容によって向き、不向きがあると言えます。
1つの方法に捉われずに、それぞれを取り入れての研修を検討すると良いでしょう。

 

Off-JTの研修例

前項では、研修の種類をご紹介しましたが、どのような研修内容のOff-JTがあるのでしょうか。

研修を区別すると、「階層別研修」「職種別研修」「テーマ別研修」の3つに分かれます。

 

階層別研修

新入社員や管理職など、特定の役職や年齢層に向けた研修。

 

職種別研修

営業、販売スタッフなど、職種ごとに必要な能力を習得するための研修。

 

テーマ別研修

全従業員を対象にし、様々なテーマを題材にした研修。

 

リーダーシップ研修、マネジメント研修、グローバル人材育成、ロジカルシンキング研修、コミュニケーションスキル研修、個人情報保護に関する研修、パワハラ・セクハラ研修など、テーマによっては受講が義務付けられているものや、従業員の希望に応じて選択的に受講できる場合も多いのが特徴です。

 

この「テーマ別研修」ですが、会社の魅力ともなることから、近年多様化が進んでいます。

 

また、会社の特色に合わせて、独自の、面白い研修を行っている企業もあります。

 

『ドラマジック研修』…多様な表現方法を身に付けるために、物語を受講者が演じる研修。

 

『ウォーキング研修』…長距離をひたすら歩く研修。仲間と共に同じゴールを目指し、助け合いながら団結力の強化を図る。

 

それぞれの特性を理解して使い分けると効果的

上記で取り上げたように、OJT、Off-JTにはそれぞれにデメリットがあります。

 

しかし、OJTのデメリットは、Off-JTでのメリットであり、その逆も同様です。

 

ですので、双方を取り入れた教育が理想的と言えるでしょう。

 

しかし気を付けなければいけないのは、職種によっては必ずしも双方の導入が最善策ではない場合もあることです。

 

教育の計画を立てるにあたって、その職種の仕事内容をしっかりと把握し、OJTの割合や、Off-JTを行うタイミングを工夫する必要があります。

 

例えば、常に真新しい技術や知識が必要な技術職や士業などにおいては、基本をOJTとし、最新の情報が出た段階でOff-JTを行って情報を共有するなど、業種、職種に応じて双方を柔軟に使い分けると良いでしょう。

 

まとめ

従業員にとって、OJTだけでは身に付ける機会のない知識や技術を学ぶことができるOff-JT。

 

厚生労働省の平成29年度「能力開発基本調査」では、Off-JTの受講者は年々増加傾向にあり、そして受講者の9割以上がOff-JTに対して肯定的な意見を持っているという結果が出ました。

 

OJT主体で教育を行っていた会社もOff-JTの機会を増やし、社員のスキルやモチベーション向上に繋げてみてはいかがでしょうか。

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