少子高齢化による労働力人口が減少したことで、深刻な人手不足に悩む企業が増加している現在、労働力を確保するため、女性の社会進出や外国人雇用など、多様な価値観に応じた働き方改革が推進されています。

 

そんな中、今年5月に高年齢雇用安定法の改正を政府が発表したことも話題となり、シニア層への注目が集まっています。

 

この記事では、高年齢者雇用安定法についてや、シニア人材を雇用した際のメリット・デメリット、雇用事情などをご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

”高年齢者雇用安定法”70歳雇用時代へ

2019年5月15日開催の未来投資会議にて、高年齢者雇用安定法改正案が発表されました。

 

現行の高年齢者雇用安定法では、定年延長や再雇用など希望者全員を65歳まで雇用することが義務付けられています。

 

今回の改正案では70歳までの就労機会を確保するため、就労希望者に対する下記7項目を、努力義務として企業に求める方針です。

 

1.定年延長

2.定年廃止

3.契約社員などの再雇用

4.他企業への再就職支援

5.企業支援

6.フリーランス契約のための資金提供

7.NPOなど社会活動参加への資金提供

 

来年の通常国会で改正法案を提出し、企業の取り組みを踏まえて、7項目の内のいずれかが義務化される予定です。

 

シニアの雇用促進におけるメリット・デメリット

メリット

即戦力になる

長年培ってきた経験や知識、スキル、ノウハウ、人脈を活用することで企業の競争力が上がり、事業発展を期待できます。

 

若手社員の育成

長年の経験から得た豊富なスキルやノウハウなどを若手に継承することで、社員の能力が向上します。

 

国から支援を受けられる

高年齢者雇用のために環境整備を行ったり、新たに雇い入れたりすることで、国から助成金や補助金が支給されます。

 

また、税制優遇措置の対象となることもあるため、大きなメリットです。

 

デメリット

マネジメント機能の低下

シニア層の部下を持つことで、遠慮して指示や注意など、意見を言えなくなる可能性もあります。

 

年上であっても上司と部下で受け持つ役割が違うことを認識し、明確な指示を出すことや、普段からコミュニケーションを取っておくことが重要です。?

 

パフォーマンス低下の可能性

シニア層は視力や体力が低下しているため、業務によっては同じようなパフォーマンスを発揮することが難しくなります。

 

個人の状態に合わせて、業務内容や労働時間を調整するなど、働きやすい環境づくりが重要です。

 

シニア層の雇用事情

下記は、内閣府が仕事をしている60歳以上の男女に行った就労調査です。

 

これを見ると『働けるうちはいつまでも』と回答した方は42%と最も多く、65歳以降の就労希望者と合わせると、約80%が高い就労意欲を見せていることが分かります。

 

 

引用:内閣府「 平成29年版高齢社会白書(全体版)高齢者の就業

 

 

続いて、シニア層の雇用事情を見てみましょう。

 

65歳まで高年齢者雇用確保措置のある企業は99.8%と、ほとんどの企業で法改正の対応を済ませています。

 

 

引用:厚生労働省「平成30年高年齢者の雇用状況集計結果

 

 

また、雇用確保措置の内訳を見てみると、定年後に再雇用している企業が約8割を占めています。

 

 

引用:厚生労働省「平成30年高年齢者の雇用状況集計結果

 

 

属託や契約社員など雇用形態が変わると、求められる成果や責任が低下するとともに、賃金も低下すると考えられます。

 

今まで現役で働いてきたシニア層からすると、定年前と後のギャップに戸惑いを感じ、モチベーションが低下する可能性もあります。

 

これを回避するには、仕事の成果や貢献などを評価し、給与に反映させたり、肩書きや権限を与えたりするなど、働きやすい環境作りが重要です。

 

また、長年積み重ねてきた経験やスキルに応じて、特定の業務を専任してもらうなども検討しましょう。

 

雇用延長に向けてサービス・制度の導入が広がる!取り組み事例をご紹介

ハウス食品

2013年から希望者全員を65歳まで再雇用しています。

 

専門分野などで創造性を発揮し、貢献する『シニアプロスタッフ』と、業務効率化や品質向上に貢献する『シニアエキスパートスタッフ』を設置。

 

また、雇用延長を希望しない社員は、再就職あっせんや、田舎暮らしの支援もあります。

 

個人のニーズに合わせた支援をしているため、ライフスタイルの確立に役立っています。

 

サントリー

2013年から65歳定年制を導入。

 

60歳到達時の本人の能力に合わせて、新設された3つの資格(エキスパート資格・メンバー資格・サポート資格)のうち、いずれかを担います。

 

“業務の貢献度”“次世代を育成するための貢献度”と成果を合わせて評価しているため、モチベーション低下防止に繋がると考えられます。

 

その他にも、年代に合わせたセミナーなども定期的に開催しています。

 

まとめ

人手不足が深刻になっている現在、シニア層は日本社会を支える重要な人材です。

 

経験豊富なシニア層に活躍してもらうためには、モチベーションの向上が必須と言えます。

 

今後は更なる高齢化社会が予想されることから、教育制度や人事評価制度の見直し、労働環境の整備などが必要となります。

 

また、従業員の働きやすい環境を整えることで企業アピールとなり、若手や優秀な人材を確保することにも繋がります。

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