年功序列という社会の風潮が、日本のグローバル化と共に実力本位の人事制度へと変化している近年。
定年後の再雇用制度の導入、雇用形態の変化などの影響も含め「年下上司」と「年上部下」という関係性も多く見られるようになってきました。
今回はそんな人間関係について、心得やコツをご紹介します。
年上部下の現状
エン・ジャパン株式会社が今年秋にミドル世代のための転職サイト利用者35歳以上のユーザーを対象に「年下上司・女性上司」に関するアンケートを行いました。
対象者562名に対して「今まで上司が年下や女性だったことはありますか?」という質問をしたところ、「上司が年上だったという」という回答は全体の64%でした。
(どちらもある34%、年下上司29%、年下の女性上司1%)
「年下上司」「年上部下」という構図がさほど珍しくない時代になっていることが見てとれます。
年上部下とのよくあるトラブル
当たり前になりつつある年上部下。
もちろんトラブルなく円滑にコミュニケーションが取れるケースも多々ありますが、年齢や立場の問題から引き起こるトラブルは少なからず発生します。
年下上司と年上部下の間でありがちなトラブル3点を紹介します。
言葉遣いに関するトラブル
「年齢的には年上なのにタメ口で話しかけてきた」という年上部下目線の意見や「社内的には上司だが、年下だと分かった途端にタメ口で話してくる人は嫌だ」という年下上司目線の考えもあります。
コミュニケーションを取る以前の問題である、言葉遣いのトラブルは初期段階として最も起こりやすい問題です。
態度に関するトラブル
年上部下の多くが年齢も人生経験も上というプライドを持っています。
自身のプライドを大切にする人にとっては、なかなか素直になれないこともあります。
「年下に舐められたくない」という年上部下は横柄な態度を取りがちになってしまい、トラブルに発展しやすくなります。
仕事に関するトラブル
先にあげたような小さな溝が原因でコミュニケーションが円滑に行かず、業務に支障をきたす可能性も考えられます。
年下上司としては、「部下とは言え、年上だから依頼、注意などしづらい…」
年上部下としては、「上司とは言え、年下に指示されるのは…」
と、それぞれ思うところが少なからずあるようです。
年上部下を持ったときの心得
では年上部下を持った時はどんな接し方が必要なのでしょうか?
実際に年上部下を持った方からの意見を紹介します。
・年長者に対する尊敬の念を持つ
・1対1で話し合う場を設け、互いの要望を素直に伝え合う
・部下であっても呼び捨てはせず“さん”付けをする
・相手の経験や社内人脈を生かせるような仕事を割り振る
・仕事を頼む時も丁寧な言葉づかいを心掛ける
互いの気持ちや立場を考え、ちょっとした気配りを行うことが良い関係性の構築に必要な第一歩となります。
年上部下とうまく付き合うコツ
年上部下の傾向として「年下に指導されている姿は周りにどう見えるんだろう」と不安に思っている方も多く、そうした考えも関係性の崩壊に繋がります。
大切なことは年齢や職位の上下にかかわらず、お互いに人間として敬意をもって接するという事です。
職歴が長い、年齢が上という観点でのコミュニケーションをとるのではなく、同じ人間として、仕事上のパートナーとして接することがうまく付き合うコツと言えるでしょう。
まとめ
今まで年功序列が当たり前であった企業組織の中で年下上司や年上部下という組み合わせは、簡単に受け入れることは難しいものです。
ですが同じ目的・目標を持ち働くチームとして、良い関係を築くことは決してマイナスではありません。
今回紹介したようにお互いに歩み寄り、コミュニケーションを取ることが良い関係性への一歩となり、仕事にとってもプラスとなっていくでしょう。