最近、マインドフルネスというワードをよく耳にするようになりましたが、皆さんはご存じでしょうか。
「マインドフルネスって何か怪しい」「そもそもよく分かっていない」という人も多いと思います。
今回は、集中力アップや生産性向上が期待できるマインドフルネスついて、メリットや実践法、注意点をご紹介します。
マインドフルネスとは
マインドフルネスのとらえ方には2種類あります。
瞑想によって意識の向きを「今この瞬間」に向けて集中している状態、または、集中力を高め、感情のコントロールができるよう心を鍛えることです。
多くの人は、今やるべき物事に取り組んでいても、過去の失敗や未来の不安要素などに捉われて、目の前のことに集中できていません。
『今この瞬間』に集中できないと、本来のパフォーマンスを発揮できず、判断ミスや生産性の低下につながってしまいます。
例えば、寝る時も仕事のことが頭から離れなかったり、仕事中も別のことを考えてしまったりなど、心と体が一致していない状態は、誰しも経験があるのではないでしょうか。
マインドフルネスは、瞑想によって心と体を一体化させて集中力を高めることから、フェイスブックやインテルを始めとする世界的企業やスポーツ業界でも取り入れられています。
余計なことを考えず、目の前の物事に全力で取り組められたら、高いパフォーマンスが発揮できますからね。
マインドフルネスのメリットとその効果
マインドフルネスを実施するメリットと、その効果についてご紹介します。
脳構造が変化する
マインドフルネスに懐疑的な人も多いかと思いますが、実は、マインドフルネスによって脳構造が変化することが、ある研究によって明らかになっています。
2010年ハーバード大学医学部等の研究結果によると、8週間のマインドフルネスを実施した被験者は記憶や学習、感情の制御を司る“海馬の体積が5%増加”したというのです。
海馬の体積は加齢やストレスによって減少してしまうと言われていますが、逆に海馬の体積が増加すると、海馬の機能を向上させることができます。
つまり、脳科学の観点からもマインドフルネスの実施が脳の構造を変化させ、いい影響をもたらすということが証明されているのですね。
集中力・記憶力の向上
瞑想をベースとしたマインドフルネスは、心を落ち着かせる効果があります。
過去や未来の不要な情報をシャットアウトして、目の前のことに意識を向けられるようになるため、集中力や記憶力が向上します。
意思決定能力が向上する
2014年、ブリティッシュコロンビア大学などの科学者グループが発表した研究によると、自己制御能力に関わる前帯状皮質という脳の一部がマインドフルネスにより活発化されるということがわかっています。
この前帯状皮質の働きとして、最適な意思決定を下す能力にも関係があると言われています。
迅速な意思決定が求められる管理職や経営者にとっても、マインドフルネスの実施は有効と言えるでしょう。
生産性の向上
マインドフルネスによって、自分の注意を目の前の仕事に集中させると、高いパフォーマンスを発揮できるようになります。
また、集中力や記憶力の向上により、仕事の生産性も上げることができます。
慢性的な不調が改善される
マインドフルネスの実施は、自律神経のコントロールにも有益です。
自律神経の中には交感神経と副交感神経があり、交感神経は緊張状態ではたらく神経、副交感神経はリラックス時にはたらく神経のことを指します。
この交感神経と副交感神経が上手く切り替わらない状態が続くと、慢性的な不調やストレス、睡眠の質が低下する原因になります。
マインドフルネスで自律神経の働きを正常に戻すことで、慢性的な不調が改善されます。
ストレス軽減
マインドフルネスを行うと、適切に感情をコントロールにできるようになるため、精神が落ち着き、些細なことでイライラしなくなります。
また、自律神経が整う効果もあるので、副交感神経への切り替えがスムーズにでき、ストレスの軽減も期待できます。
マインドフルネスの実践方法
マインドフルネスの代表的な3種類の実践法をご紹介します。
静座瞑想法
静座瞑想法は椅子に座ったり、床にあぐらをかいたりする状態で行う瞑想法で、ストレス軽減に効果があります。
1.頭~背筋まで一直線になるよう姿勢を正して座る
2.腹部と呼吸に注意を向ける
※10分程度からスタートし、徐々に集中して座れる時間を延ばしていく
3.呼吸と心の一体感を意識し、それを体全体へ広げていく
4.音楽などの音を何も判断せず、ただ聞く
5.浮かんでくる思考に注意を向け、2~3分観察する
6.何にも注意を向けず、あるがままの意識を観察する
ボディスキャン
自分の身体に意識を向けて行う瞑想法で、身体があることの素晴らしさを知るためのものです。
1.仰向けに寝て、軽く目を閉じる
2.呼吸を利用して各部位の感覚に順番に注意を移動させていく
3.各部位の感覚を観察し、ありのままの身体の状態を認識する
歩行瞑想法
歩きながら、歩いていることに注意を向ける瞑想法です。
日常生活を無意識に過ごしていることも多いですが、歩行瞑想法を行うと、日常生活の中でも意識が集中できるようになります。
地面に着いた足の感覚や、体重が移動している感覚などに注意を向けて歩くため、普段よりもゆっくり歩きましょう。
マインドフルネスを実践する上での注意点
マインドフルネスを実践する上で注意しなくてはならない3点についてご紹介します。
目的を持つ
マインドフルネスは、瞑想によって脳や心をコントロールする訓練法です。
仕事とプライベートな時間に行う瞑想では、どのような状態になりたいのか異なります。
・リラックスしたい
・集中したい
・雑念を消したい
など、目的を明確にして実施することが重要です。
静かな環境で行う
騒がしい場所では集中しにくいため、できる限り静かな環境で、瞑想を行うようにしましょう。
出来る限り屋内で行うことをおすすめします。外だと「暑さ」「寒さ」「雑音」などが気になってしまうので、十分に集中できない可能性があります。
最近では、瞑想専用スタジオなんてものもあるみたいですよ。
幻想を抱きすぎない
マインドフルネスは、集中力が増して高いパフォーマンスを発揮するなど、プラスの効果をもたらします。
これは、意識を目の前の課題に集中させることで得られる効果なので、マインドフルネスを実施したからと言って、すべてが解決するわけではありません。
マインドフルネスの実施によって成功したという事例はもちろんありますが、それはあくまで結果論です。
成功までの一つの過程でしかないことはしっかりと認識しましょう。
まとめ
今回は、マインドフルネスについてご紹介してきました。
マインドフルネスの実施は、脳に影響をもたらすことが科学的に証明されています。
「集中力を高めたい」など、目的を明確にしてマインドフルネスを行えば、生産性向上も期待できます。
ストレス軽減効果もありますので、従業員のヘルスケアにもぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。