大企業から中小企業まで、幅広い企業で取り入れられている「アクションラーニング」という学習方法をご存じでしょうか。

 

組織の現実的な課題をテーマとして、チームで解決法を考えて実践する学習方法で、リーダー育成や組織力を強化するための手法としてよく用いられています。

 

今回は、アクションラーニングの進め方や効果、事例についてご紹介していきます。

 

アクションラーニングとは?

アクションラーニングとは、「action(行動)」と「learning(学習)」を掛け合わせた言葉で、課題や問題へのアプローチをチームで考え、それを実践して学ぶことによって、個人や組織の成長を目指す手法です。

 

欧米では、人材育成に有効な方法の一つとして既に認知されており、日本でも多くの企業で取り入れられています。

 

アクションラーニングは、現状の問題や課題に対する解決策を数名のチームで考えるものですが、根本的に解決するためには、課題や問題への理解を深めなくてはなりません。

 

まずは、「今どのような問題があるのか」を把握するために、自身やメンバーが質問を投げかけることで課題が言語化され、客観的に捉えられるのです。

 

また、実践して得られた効果を分析・検証により振り返ることで、『気づきを得る』というのがアクションラーニングの特徴です。

 

なぜ今アクションラーニングが注目されているのか

日本経済を取り巻く環境はここ数年で大きく様変わりしました。

 

インターネットが浸透したことで経済のボーダーレス化が進み、ニーズは多様化、複雑化しています。

 

それに伴い、企業間の競争が激化したため、さまざまな課題や問題を主体的に解決できるリーダーや社員の育成が組織力強化には欠かせません。

 

つまり、分析・検証を行うことによって、論理的な課題解決能力を養えるアクションラーニングは、企業競争の激しい時代だからこそ、必要とされているのです。

 

アクションラーニングによって得られる効果とは?

アクションラーニングは、組織力強化のために重要な役割を果たすことが分かりましたね。

 

では、アクションラーニングの実践で得られる、効果とメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

アクションラーニングは、チームで課題・問題の解決に取り組むことで、課題を鮮明にし、より深く理解することができます

 

そして、チーム内で何度も検証することによって、下記のような効果を得られるのです。

 

得られる効果

・問題を深く理解することで、解決への『気づき』を得られる

・チームで課題解決の取り組みを行うことで、コミュニケーションが活発になる

・課題解決への過程を知ることで、学習能力や課題解決能力、モチベーションが向上する

・チームや個人のパフォーマンスが向上するため、組織力が強化される

・将来組織を担う人材を育成できる

 

アクションラーニングのメリット

勉強は知識を豊かにしてくれますが、それだけでは解決できない問題もたくさんあります。

 

アクションラーニングのメリットは、実際に行動することで、そういった問題の解決法を得られる点です。

 

また、解決に向けてアクションを起こす必要があるため、より深く考えるようになります。

 

さらに、経験豊かなメンバーを加えることで課題解決力が向上し、メンバーの育成も可能です。

 

アクションラーニングのデメリット

チームで行うアクションラーニングには、進行や調整を行うアクションラーニングコーチが必要です。

 

話し合いがスムーズに進行されないと、モチベーションが低下し、アクションラーニングの持続が難しくなる可能性があります。

 

コーチには豊富な経験を持ち、メンバーのモチベーションを引き出せるような人を選抜しましょう。

 

アクションラーニングの具体的な進め方

どのような問題でもアクションラーニングを行うには、一定の時間がかかります。

 

せっかく時間をかけて行うなら、最大限の効果を得たいですよね。

 

下記4段階ごとの進め方を見ていきましょう。

 

1.問題を認識し、共有する

メンバーや組織がどのような問題に直面しているのか、認識することから始まります。

 

それぞれが持つ疑問を質問として投げかけることで、問題を明らかにし、メンバー間で共有します。

 

2.目標を設定する

次に、共有した問題への解決策を考えましょう。

 

それぞれの目標が達成することで問題解決されるよう、各メンバーの行動とその目標を設定します。

 

3.アクションを起こす

目標が設定されたら、実行します。

 

アクションラーニングは、2週間程度の間隔で定期的に話し合いの場を設けることが重要です。

 

実際に得られた成果を確かめることで、メンバー一人ひとりが確実に行動し、回を重ねるごとに、より有意義な内容の話し合いができるようになります。

 

4.分析と検証(振り返り)

実行で得られた成果や進捗状況をチームで共有し、分析と検証を行います。

 

この段階は、新たな問題が浮かび上がることもあるため、それを新たな課題として設定し、解決方法を探っていきます。

 

話し合いや振り返りは、アクションラーニングの重要な要素です。

 

自身やメンバーの質問を言語化することで客観的に課題を把握し、振り返りを行うことでメンバーに『気づき』を促します。

 

この時、進捗管理や進行を行うアクションラーニングコーチが有意義な話し合いとなるよう刺激を与えるなど、サポートすることが重要です。

 

アクションラーニングの導入事例

アクションラーニングはさまざまな企業で取り入れられていますが、どのような目的で行われているのでしょう。

 

アクションラーニングの導入事例をご紹介します。

 

キャノン株式会社

キャノンでは、生産性向上を目的として「CKI活動」という組織の課題を解決する取り組みを行っている。

 

小規模のチームで課題の明確化を行うアクションラーニングは、CKI活動との相性が良いと判断されたことから導入が決定。

 

CKI活動は管理職経験者がコンサルタントを担っており、アクションラーニングの考え方やノウハウを取り入れることで、現場の人たちと指示的ではない関わり方を見つけるヒントを得られた。

 

また、質問や振り返りが重要なアクションラーニングを行うことで、「質問する力」が磨かれたそうです。

 

株式会社日立情報通信エンジニアリング

2013年、合併によりスタートを切った新会社だが、思うような結果を得られない状態が続いた。

 

そのため、新会社として一体感を醸成する目的で、事業部や職位が異なるもの同士が交流できるプログラムにアクションラーニングを取り入れました。

 

アクションラーニングを実施したことで、課題が共有され、さまざまな気づきを得ることができた。

 

多様な視点や価値観を共有することで、一体感の醸成につながったそうです。

 

アクションラーニングを使って効果的に組織・人材を育成しよう

アクションラーニングを効果的に実践すると、主体的かつ論理的に課題を解決できる優秀な人材を育成でき、組織力が強化されます。

 

また、チームで問題や課題を共有し、解決に向けて取り組むことでコミュニケーションの活性化や、パフォーマンス向上の効果もあります。

 

そのため、企業を取りまく環境が多様化、複雑化している今の時代において、アクションラーニングは重要な取り組みと言えるのではないでしょうか。

 

アクションラーニングの内容や進め方についてしっかりと理解した上で、導入を検討してみてください。

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