さとり世代は何歳からの人を指すのでしょうか。
対象の年齢や特徴、ゆとり世代との違いをご紹介します。
ゆとり世代と同じく、○○世代と呼ばれるもので「さとり世代」という言葉があります。
さとり世代もゆとり世代同様、ある年齢や年代の人たちを指す言葉ですが、その意味を知らない人が意外と多いようです。
今回は、そんなさとり世代が対象となる年齢や特徴、ゆとり世代との違いについてご紹介していきます。
さとり世代は何歳から?
さとり世代という言葉のルーツは、「2ちゃんねる」からきているという説があります。
松田久一さんの著書『「嫌消費」世代の研究 経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち』や、山岡卓さんの著書「欲しがらない若者たち」について語るスレッド内で生まれたというのが有力なようです。
参考:Wikipedia「さとり世代」
ここで語られたさとり世代の特徴とは、ブランド物や車、マイホームなどを欲しがらず、旅行にも行かなくてもいい、交際相手もいらないなど、あらゆる欲求に対して消極的であるということです。
贅沢をしたがるわけでもなく、人間関係も広げたがらない、そして何よりも「安定」を望みます。
まるで悟ったかのように欲が少なく、堅実志向であることがこの言葉の由来となりました。
さとり世代は、1987年~2004年生まれ(現在15歳~32歳)の人たちを指すという見解が一般的ですが、明確な区切りはありません。
「1987年~1996年生まれ」、「ゆとり世代の次世代がさとり世代」など諸説あり、定義はあいまいです。
さとり世代とゆとり世代の違い
ゆとり世代とは、2002年~2010年にゆとり教育を受けた世代、つまり1987年~2004年生まれの人たちを指すというのが一般的な見解です。
つまり、ゆとり世代とさとり世代は全く同じ世代を指した言葉だということなのです。
ゆとり教育には、文部省が目指した「教育にゆとりを持たせ、自分で物事を考えられるようになるなど、生きる力を養うこと」という目的がありました。
ゆとり世代という言葉は、ゆとり教育に起因しており、教育の内容を示すものです。
一方で、さとり教育という概念はありません。
先ほども述べた通り、さとり世代という言葉は2ちゃんねるから発祥した言葉だといわれています。
つまり、2つの言葉の違いは、教育の内容(ゆとり教育)を示したものか、人々の考え方(さとり世代)を示したものかの違いであるといえます。
さとり世代の特徴9個
一概にさとり世代といっても様々な特徴があります。
ここでは、さとり世代の特徴を9個ご紹介していきます。
物事や恋愛に対する欲求や情熱が少ない
さとり世代をよく表している特徴として、物事に対する欲求が少ないことが挙げられます。
先に述べた通り、「ブランド物が欲しい」、「新しい車が欲しい」のような物欲に関することや、「旅行に行かなくてもいい」という気持ちもそうです。
そして、恋愛に対しても熱意や情熱を表に出さない人が多いです。
さとり世代には、自分の時間を好きに使いたいという人が多く、恋人がいることで自分の時間が減ることを懸念しているのかもしれません。
現実的で浪費はしない
さとり世代はとても現実的です。
「手が届かないものは、頑張ってまで手に入れたいと思わない」という特徴があり、ほどほどの生活で充分だと考える傾向にあります。
また財布の紐がかたく、あまり浪費しない人が多いです。
物欲がないことや旅行に行きたがらないのも、浪費につながると考えたのかもしれません。
さとり世代が生まれた時代は、バブル崩壊後だったため、その時代の経済観念が身に付いているという推測もされているようです。
家の中で過ごすことが好き
さとり世代はインドア派が多いといわれています。
外で過ごして人と関わるのであれば、家でのんびり好きなことをして過ごしたいと思う傾向があるようです。
興味のあることには突き進む
物事に対する欲求・情熱が少ないと書きましたが、その反面、自分が興味のあることは深く追求する傾向にあります。
これはゆとり教育の「多くの選択肢の中から興味のあるものを選んで追求する」という学習方針が関係しているといわれています。
仕事においても、本人が興味のあることを選ばせると良いかもしれませんね。
SNSやインターネットが好きで頭の回転が早い
幼い頃からインターネットに触れてきたさとり世代は、SNSやネット上のコンテンツを好む傾向にあり、ITリテラシーが高く、頭の回転も早い人が多いです。
疑問に思ったことを検索すれば、すぐに答えにたどり着くことができ、自己解決できます。
プライベートばかりでなく、就職活動においても同様で、気になる会社の評判をSNSのコメントやインターネット上の口コミを通して、情報収集します。
このようなITリテラシーの高さや情報収集能力は仕事においても重要な部分であり、さとり世代だからこそ自然に身に付いている能力でしょう。
目立つことが苦手
さとり世代は人前で目立つことを好みません。
何かをアピールすることに対してのメリットよりも、目立つことで人間関係が複雑になるなどのデメリットを優先して考えがちです。
ゆえにリーダーシップを発揮するのが苦手な傾向にあります。
他人にはさほど興味がなく、誰かのことを考えて行動するよりも、まずは自分が大事という保守的な思考に寄っているのかもしれません。
コミュニケーションが希薄
これまでに挙げてきた特徴にも通じますが、コミュニケーションが希薄なことが多いです。
先に触れましたが、SNSやインターネットの利用が当たり前の世代であり、昔の世代よりも直接対話することが減っていることが要因と考えられます。
テレビやネットニュースでも、辞職する意向をメールやLINEで伝えた問題が取り上げられましたが、これはまさにさとり世代を表している出来事といえます。
直接伝えなくてはいけないとわかっていても、慣れた手法を選んでしまっているのでしょう。
無理に頑張らない
さとり世代は無理に頑張ることをしない傾向にあります。
不況の世の中で育ち、就職難を目の当たりにしている彼らからすれば、どのような大学に行ったとしても自分の望む会社に就職できるわけではないというイメージがあるのかもしれません。
さとり世代は現実的だという話をしましたが、手に入らないのであれば無理に頑張っても無駄だと考えてしまうようです。
ストレスに対する耐性がない
ストレスに対する耐性がないのも、さとり世代の特徴的な部分です。
ちょっとしたことで苛立ちを感じたり、やりたくない仕事だとストレスを感じたり、物事が長続きしにくい傾向にあります。
50代や60代の人たちからすれば、少しのことで弱音を吐くことに対してイライラするかもしれませんが、さとり世代の人たちからすれば上の世代の「我々の時代は○○だった…」と決めつける言い回しに不快感を覚えるケースも多いようです。
さとり世代への接し方
「さとり世代の特徴9個」のパートでは、ネガティブな部分が目立った印象ですが、もちろんポジティブな部分もたくさんあります。
先に述べた通り、幼少期からパソコンやスマートフォンが存在していた彼らは、ITリテラシーが高く、頭の回転はとても早いです。
また、物事に対する欲求が少なく、目立つことが苦手といった消極的な面はあるものの、興味があることはとことん追求するという部分も持っています。
まずは、自分が取り組むべき仕事に興味が持てるよう、明確な目標を定めましょう。
目標が達成されたときは、それが喜びに変わり、さらなる仕事への興味につながります。
また、さとり世代は「納得と理解」が大切です。その仕事をする意味がわからないままだと行動できません。業務の意図は、できるだけ細かく丁寧に伝えることがポイントです。
そして、比較的個人主義の傾向にあるさとり世代は、もともと「組織のために頑張る」という帰属意識が薄いのが特徴です。
しかし、一方では人から嫌われたり、否定されたりすることを苦手とし、人当たりはよいことが多いのもさとり世代の特徴。
チーム全体での役割をはっきりと意識させ、チームの一員であることを自覚させることで、協調性が生まれてきます。
飲み会など、会社外でのコミュニケーションも効果的ですが、参加・不参加について無理強いしてしまうと逆効果です。
あくまでも自然に仲を深めていくことを意識してみてください。
さとり世代の特徴を理解してよりよい人間関係を築きましょう
どの世代の人も、かつては上の世代に叱られて育ってきました。エジプトの壁画にも「最近の若者は…」という言葉が残されているのは有名な話ですよね。
物事の考え方における世代間ギャップは、いつの時代でも生まれる普遍的なものです。
自身の価値観を押し付けるのではなく、しっかりと相手を理解しようと接することが大切なのだと思います。
この記事を通して、周りのさとり世代の方々との接し方を改めて考えてみてはいかがでしょうか。