面接は、1時間程度の間に応募者を見極め、自社を選んでもらえるよう魅力付けまで行う必要があり、意外にも技術が必要な業務です。

 

人材採用に関わる方の中にも、応募者の見極めや魅力づけに課題を感じている方も多いと思います。

 

本記事では「面接で応募者を見極めるコツ」や「面接時の注意点」についてご紹介していきます。

 

面接の事前準備や優秀な人材を見極める質問例、魅力づけのやり方などについてもまとめていますので、是非ご覧ください.。

 

面接を行う前に面接官が準備すること

面接は、限られた時間内で自社に合う人材を見極める必要があります。

 

そのため、有意義な面接を行うには

  1. 事前に応募書類を確認する
  2. 採用選考時に配慮すべき事項に目を通す
  3. 身だしなみを整える

ことが重要です。

 

事前に応募書類を確認する

面接官は面接開始前に、応募者の履歴書や職務経歴書を必ず確認しましょう。

 

履歴書や職務経歴書に記載されている内容を質問すると、応募者に「きちんと見ていないのだろうか?」「自分に興味がないのかな?」と思われてしまいます。

 

また、書面の情報だけでは応募者の行動特性や志向といった、内面的な部分までは分かりません。

 

事前に応募書類を読み込み深堀する質問を考えておけば、聞き漏れを防止できますし、応募者への理解も深めることができるため、精度の高い採用活動をスムーズに行えます。

 

採用選考時に配慮すべき事項に目を通す

採用選考は基本的人権を尊重し、適性・能力のみを基準として行わなくてはなりません。

 

これらに抵触すると、応募者の緊張を解きほぐすために行った質問であっても、就職差別として問題になることもあります。

 

無用なトラブルを回避するためにも、厚生労働省の定める「公正な採用選考の基本」に明示されている「採用選考時に配慮すべき事項」を事前に確認しておきましょう。

 

身だしなみを整える

社会人にとって身だしなみは最低限のマナーです。

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社風を伝えるためにカジュアルな服装で面接に臨んでも問題ありませんが、清潔感に欠けていると応募者に不快感や不信感を与えてしまうため、選考・内定辞退のリスクが高まります。

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面接官は応募者から「企業の代表」として見られていることを意識し、髪やメイク、服装などの身だしなみを整えてから面接に臨みましょう。

 

面接で優秀な人材を見極めるコツ

優秀な人材を見極めるには、目の前の応募者から合否の判断ができるような情報を引き出さなくてはなりません。

 

見極めを行うには、応募者の回答内容以外にも注目し、総合的に判断するのがコツです。

 

立ち居振る舞いや話し方を確認

優秀な人材は、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルといった、基礎が身についています。

  1. 相手に不快感を与えない身だしなみや立ち居振る舞いはできているか
  2. 聞き取りやすい声のトーンやボリューム、スピードで話せているか
  3. 視線を合わせ、内容に応じた表情ができているか
  4. 質問の意図を理解した上で、分かりやすく回答できているか

をチェックしましょう。

 

能力や行動特性を把握する

職務経歴や過去の経験について深堀していき、業務に必要なスキル・知識を保有しているか確認しましょう。

 

結果や実績だけでなく、意思決定を下した理由を聞くと、応募者の行動特性を把握できるため、社内のハイパフォーマーと比較することも可能です。

 

 

キャリアプランを確認する

優秀な人材ほど明確なキャリアを持って、就職・転職活動を行います。

 

そのため、面接では応募者がどのようなキャリアを目指しているのかを確認しましょう。

 

また、キャリアプランを聞き出すことで、自社とのマッチ度を測ることも可能です。

 

面接で優秀な人材を見極める質問例

では、優秀な人材を見極めるには、どのような質問を行えば良いのでしょう。

 

コミュニケーションスキルを見極める質問例

「○分以内で自己紹介してください。」

⇒限られた時間内で簡潔に説明できる力があるかを確認できます。

 

「職場の人たちとコミュニケーションをする上で、最も重要だと思っていることは何ですか?」

⇒価値観が分かるため、自社との相性を測ることができます。

 

「あなたの好きなことは何ですか?」

⇒漠然とした質問をした際の反応から、コミュニケーションスキルを確認できます。

 

例えば、コミュニケーションスキルの高い人は「業務は○○が、プライベートなら○○が好き」など、具体的に答えたり、質問の意図を確認したりします。

 

職務適性を見極める質問例

「あなたの強みと、それをどのように当社に活かせるか教えてください。」

⇒職務適性の有無を判断する材料となります。

 

「これまでの成功体験は何ですか?なぜそれは成功したと思いますか?」

⇒意思決定に至った理由から行動特性を把握できます。

 

 

志望度や成長意欲、向上心を見極める質問例

「当社にどういったイメージをお持ちか教えてください。」

⇒企業研究をしていれば応えられる質問をすることで、志望度の高さが分かります。

 

「日々取り組んでいることや、勉強していることはありますか?」

⇒向上心や学習意欲をチェックできます。

 

学習のペースや方法について具体的に聞くと、学習習慣の有無が判断できます。

 

「今後身につけたいスキルや、向上させたいスキルはありますか?」

⇒向上心や成長意欲を測れます。

 

キャリアプランに沿った内容になっているか、確認しましょう。

 

中途採用の面談での見極めのポイント

中途採用の面接では、応募者の過去の経験からキャリアを深堀し、

  1. ポジティブな話ができているか
  2. 伝達力はあるか

を確認するのが、優秀な人材を見極めるポイントです。

 

ポジティブな話ができているか

転職者は少なからず前職への不満を抱えているものですが、しかし、その不満を意図もなくストレートに表現する人は、優秀とは言えません。

 

例えば「前職の仕事で感じたやりがいを上手く志望動機につなげている」「キャリア実現を目的としている」など、ポジティブな話ができているかを確認しましょう。

 

異業種からの転職者の場合「なぜこの仕事・企業に興味を持ったのか」「過去のキャリアがどのように活かせるのか」説明できないと、入社後にギャップを感じて早期離職される可能性があります。

 

また、これまでの仕事での成功体験や、やりがいについて具体的なエピソードを聞くことで、応募者の行動特性や適性を判断することもできます。

 

伝達力はあるか

程度の差はありますが、どのような仕事も必ず人と関ります。

 

そのため、仕事を円滑に進めるにはコミュニケーションスキルが欠かせません。

 

特に、伝達力がないと「報・連・相が上手くいかない」「営業成績が振るわない」など、仕事に支障をきたす恐れがあります。

 

限られた時間内で面接官の心を掴む応募者は、伝達力のある優秀な人材であるため、入社後もスムーズに業務を進められるでしょう。

 

経歴やスキルだけでなく、説明の仕方や表情、話し方にも注目してみてください。

 

会社の魅力を理解してもらうためのトーク

応募者のほとんどは複数社の選考を受けているため、その中から自社を選んでもらう必要があります。

 

自社を選んでもらうには、

  1. 応募者に自社の魅力を語ってもらう
  2. 具体的なエピソードで魅力を伝える
  3. 入社後の懸念点を伝える

によって、魅力づけを行いましょう。

 

応募者に自社の魅力を語ってもらう

「当社で働く意義はどういったものだと思いますか?」など、自社の魅力に関する質問をすると、応募者の価値観に基づいた企業の魅力を引き出すことができます。

 

面接官がもっともらしく語るよりも、自分の頭で考えて口にした魅力の方が納得できますし、記憶にも残りやすいです。

 

具体的なエピソードで魅力を伝える

面接の終盤は「自分がなぜこの会社に入ろうと思ったのか」「どういう社員が活躍しているのか」といった、働いている社員だからこそ伝えられるリアルな情報を話しましょう。

 

面接官自身の入社エピソードや、応募者の同僚となる社員について語ることで、企業の魅力や特徴、風土が伝わり、入社後の姿をイメージしやすくなります。

 

入社後の懸念点を伝える

ポジティブな内容しか伝えないと、入社後にギャップを感じて早期離職されてしまう可能性があります。

 

面接では「当社は△△の傾向があるので、その点を○○さんがどのように感じるか懸念しています。」のように、あえてネガティブな情報も伝えましょう。

 

自社の情報を飾らずありのまま伝えると、誠実な印象を与えられますし、入社後のギャップ低減にもつながります。

 

面接官が面接時に注意するべきポイント

企業の代表である面接官は、言動や行動に細心の注意を払わなくてはなりません。

 

ここでは、タブーな質問や印象を悪化させる行動について、ご紹介いたします。

 

タブーな質問

採用選考では「応募者の基本的人権を尊重すること」「応募者の適性・能力のみを基準として行うこと」が基本です。

 

この考えに則った下記11項目に関する質問は、就職差別につながる恐れがあります。

 

【採用選考時に配慮すべき事項】

 

<a.本人に責任のない事項の把握>

  • 本籍・出生地に関すること

(注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)

  • 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)

(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)

  • 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
  • 生活環境・家庭環境などに関すること

 

<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>

  • 宗教に関すること
  • 支持政党に関すること
  • 人生観、生活信条に関すること
  • 尊敬する人物に関すること
  • 思想に関すること
  • 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
  • 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

引用:厚生労働省「公正な採用選考の基本

 

出身地や家族のことなど、アイスブレイクで聞いてしまいそうな項目も含まれているため、うっかり聞いてトラブルにならないよう注意しましょう。

 

印象を悪化させる態度

応募者はこちらが思った以上に面接官を観察しています。

 

準備不足(面接が始まってから応募書類を読みだす など)

⇒「自分への関心が低い」と思い、志望度が下がります。

 面接実施前によく読み込んでおきましょう。

 

対話がない(無反応、質疑応答の時間がない など)

⇒一方的な質問や回答の深堀がないなど、消極的な姿勢は応募者の印象を悪化させます。

 対等な立場であることを認識し、コミュニケーションを取りましょう。

 

評価の基準が不明(無機質な対応で何を評価されたのか分からない など)

⇒企業が「なぜ当社を希望するのか」を知りたいのと同様、応募者も「何を評価されたのか」知りたいものです。

 「○○なところは、うちでも重視しているんですよ」など評価したポイントを伝えましょう。

 

募集背景や面接官の情報が開示されない(何の説明もなく、いきなり面接が始まった など)

⇒有意義な面接にするには、十分な情報を開示する必要があります。

 自社や面接官の情報、募集背景についてしっかりと説明しましょう。

 

入社後をイメージできない(詳細な仕事内容を説明してもらえない など)

⇒その企業で働く姿をイメージできなければ「入社したい」とは思わないでしょう。

 応募者が入社後の様子をイメージできるような情報提供を心掛けることが重要です。

 

オンライン面接での注意点

近年、オンライン面接を実施する企業が増えてきましたが、オンライン面接は見える範囲が限られているため、対面よりも見極めが難しいです。

 

オンライン面接を行う際は、

  1. アイスブレイクを長めに行う
  2. カメラにも視線を向ける
  3. リアクションは大きめにする

ように注意しましょう。

 

アイスブレイクを長めに行う

対面式の面接は、面接開始前に周囲の状況を確認したり、気持ちを落ち着かせたりする時間がとれます。

 

しかし、オンライン面接はインターネットに接続すれば、すぐに面接官と顔を合わせることになります。

 

本音を引き出せるよう、対面時よりも長めにアイスブレイクの時間を取り、応募者の緊張を解きほぐしましょう。

 

カメラにも視線を向ける

オンライン面接では、画面に映る応募者に視線がいきがちですが、画面を見ていても目は合いません。

 

もちろん、応募者の観察は大切ですが、時折カメラにも視線を向けてください。

 

目が合うようになるため、会話しやすくなります。

 

リアクションは大きめにする

画面越しだと表情や仕草が見えにくくなります。

 

反応が薄いと応募者は不安を感じやすくなるため、普段よりも大きめのリアクションをするよう心掛けましょう。

 

面接はお互いを見極める場!誠実な対応が肝要

面接は、企業が応募者を見極めるだけの場ではありません。

 

優秀な人材を見極めようとするあまり、不適切な言動・対応を行わないよう注意しましょう。

 

選ばれる立場でもあることを理解した上で面接に臨み、誠実に対応するよう心掛けることが重要です。

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