リクルートパンフレットは、会社説明会などで配られる採用ツールの1つです。
自社のことを知ってもらい、応募や入社を促す目的で作成されていますが、最大限の効果を引き出すには、どういった情報を掲載したら良いのでしょうか。
この記事では、リクルートパンフレットの概要やメリット、構成・内容についてご紹介いたします。
また、リクルートパンフレットの作り方やポイント、活用方法についてもまとめていますので、ぜひご覧ください。
リクルートパンフレットとは?
リクルートパンフレット(採用パンフレット)とは、会社の事業や特徴などが書かれたパンフレットで、求職者へ配布する紙媒体の採用ツールです。
企業説明会や合同説明会などで、参加している求職者へ配られることが多いですが、インターネット上からPDFで閲覧できる企業も増えています。
主なリクルートパンフレットの種類は、
リーフレット型…1枚ペラのチラシタイプで、両面・片面によって料金が変わる
冊子型…A4サイズで作成されることが多く、多くの情報を掲載できる
などがあります。
近年では、単なるパンフレットタイプではなく、自社で取り扱う商品などをモチーフにした特殊な形状のものや、より簡単にメッセージを伝えるためオリジナルのマンガを掲載したものなど、他社との差別化を図るために様々な工夫が凝らされています。
ちなみに、リクルートパンフレットと混同されることの多い「会社案内」は、取引先に自社を売り込むために作成される営業ツールです。
会社案内をリクルートパンフレットとして利用している企業もありますが、利用目的が違うため、分けて作成した方が高い効果を得られます。
リクルートパンフレットの目的
リクルートパンフレットを作成する主な目的は、「企業の魅力を伝えること」と「求職者が抱えている不安や疑問を解消すること」です。
企業の魅力を伝えること
専門用語が頻出する会社案内と違い、リクルートパンフレットは、業界知識のない人にも理解できるよう簡潔に書かれているため、自社の魅力が伝わりやすいです。
また、手元に残るリクルートパンフレットを配布すれば、イベント終了後も自社のことを思い出してもらえるでしょう。
求職者が抱えている不安や疑問を解決すること
多くの求職者は、就職するにあたって、職場の雰囲気や待遇、仕事内容についてなど、様々な不安や疑問を抱えています。
リクルートパンフレットは、求職者の求めている情報を提供することで、不安や疑問を解消し、応募や入社を促す役割があります。
リクルートパンフレットのメリット
リクルートパンフレットを作成すると、どういうメリットがあるのでしょうか。
ここでは、企業側・学生側双方のリクルートパンフレットのメリットをご紹介いたします。
企業側のメリット
まずは企業側のメリットを見ていきましょう。
求職者の志望意欲が高まる
企業選びに必要な情報や魅力が書かれたリクルートパンフレットは、会社説明会や合同説明会で配られることが多いです。
プレゼンを聞いて、自社に興味を持った求職者に有益な情報を届けられるため、志望意欲を高めることができます。
志望意欲が高まれば、応募への移行率向上や選考・面接辞退の低下にもつながるでしょう。
従業員の定着率向上につながる
せっかく採用できてもすぐに退職されては、これまでの手間やコストがすべて無駄になってしまいます。
早期離職の大きな要因はミスマッチのため、採用活動の段階で求職者の企業理解を深め、納得して入社してもらうことが重要です。
リクルートパンフレットでマイナス面も含めた正確な情報を提供すると、入社後に感じるギャップを軽減できます。
納得感のある就職・転職が実現するため、定着率向上につながります。
リマインド効果がある
企業のホームページや採用ページといったWeb媒体での情報発信は、全国の求職者に情報を届けられる一方、求職者自身が検索しない限り閲覧してもらえません。
紙媒体のリクルートパンフレットは、部屋に置いてあるだけで目につきますし、気軽にパラパラと閲覧できるため、繰り返し思い出してもらえます。
学生側のメリット
つづいて、学生側のメリットをご紹介いたします。
いつでも気軽に確認できる
リクルートパンフレットには、企業や仕事、採用に関する詳細な情報がまとめて掲載されています。
Webサイトのように検索する必要はないですし、何度もスクロールしたり、必要な情報が書かれているページに飛んだりする必要もありません。
一覧性も高いため、手元に置いておけば、いつでも気軽に企業情報を確認することができます。
不安や疑問が解消される
就職情報サイトや説明会で入手できなかった情報を確認できるため、企業理解が深まり、不安や疑問が解消されます。
志望動機の作成や面接対策にも役立てられるでしょう。
リクルートパンフレットの構成・内容
リクルートパンフレットには、求職者の不安や疑問を解消できる情報や、知っておいて欲しいことを掲載します。
とはいえ、作成経験のない企業には、具体的にどんな情報を掲載すれば良いか分からないでしょう。
ここでは、リクルートパンフレットで掲載されることの多い構成・内容をご紹介いたします。
企業情報
まずは、自社について理解を深めてもらう必要があるため、企業情報は欠かせません。
具体的には、
- 代表者のあいさつ
- 企業理念・ビジョン
- バリュー
- 行動指針
- 会社概要
- 組織図
- 事業内容
といった情報を掲載します。
企業理念やビジョンは、“説明”に終始するよりも、経営者自身の“言葉”で伝えた方が腹落ちしやすく、共感を呼び起こしやすいです。
社長インタビューの記事で企業理念を伝えるなど、ストーリー性を持たせるのも効果的です。
企業の沿革
企業の沿革は、会社のプロフィールのようなものです。
一般的には、
- いつ創業したか
- どんな事業を展開しているか
- 目玉商品(サービス)はいつ誕生したか
- 今後はどういった事業展開を予定しているのか
などを記載します。
企業への理解が深まるだけでなく、成長性のアピールにもつながります。
福利厚生・待遇
福利厚生や待遇面は、働きやすさをアピールできる重要な項目であり、求職者も注目しています。
会社独自の福利厚生や待遇を書くと、他社との差別化につながるため、積極的に記載しましょう。
「従業員がどのように活用しているのか」や「従業員の声」を記載すると、イメージを持ってもらいやすくなります。
また、「育休・産休取得率/復帰率」「月の残業平均時間」「福利厚生の利用率」のように、データを用いると納得感を与えられます。
数字だけで説明するとそっけない印象を与えるため、絵や図を用いて視覚的に表現しましょう。ななめ読みしていても直感的に理解してもらえます。
社員紹介・職種紹介
求職者は「どういう人が働いているのか」「どんな仕事をしているのか」様々な不安や疑問を感じているため、社員紹介のコンテンツを組み込むのがおすすめです。
社員インタビューや1日の流れを入れると、業務内容や仕事のやりがいを伝えることができます。
社員紹介は、社員の人柄が伝わるように、会話形式や具体的なエピソードを盛り込むのがポイントです。
社外活動
懇親会や忘年会・新年会、BBQ大会などの様子を掲載すると、雰囲気の良さをアピールすることができます。
募集要項・選考フロー
募集要項や選考フローに関する情報も明記しておくと親切です。
募集要項には、正確な情報を記載するのはもちろん、働き方をイメージできるような情報を記載しましょう。
例えば、営業なら商材や顧客(個人・法人)営業手段などが詳細に書かれていると、入社後のギャップを低減できます。
リクルートパンフレットの作り方
ここでは、リクルートパンフレットを作成する手順をご紹介いたします。
STEP1.目的を明確にする
まずは、リクルートパンフレットの目的を明確にさせましょう。
リクルートパンフレットは、
- 合同説明会
- 単独説明会
- 内定者フォロー
といった場面で配られており、それぞれ目的が異なります。
例えば、合同説明会参加者など、自社への関心が低い段階の求職者に対して、ボリューム感のあるパンフレットを渡しても読み込んでもらえないでしょう。
反対に、内定者に対して採用活動の初期段階で伝えるような情報を伝えても、内定辞退の抑止にはなりません。
STEP2.求める人物像を明確にする
つぎに、求める人物像を明確化させましょう。
ターゲットが曖昧な状態では、どういった情報を伝えるべきか、どんなコンセプトにするかが決まりません。
伝えたいメッセージもぼやけてしまい、訴求効果の低いリクルートパンフレットになってしまいます。
求める人物像が明確になれば、採用基準の設定や求人原稿の作成にも役立てられるため、採用活動がスムーズに進みます。
企業理念や事業計画を考慮して、
- 性格
- 価値観
- 志向
- 能力
- 専攻
- 経験
- スキル
などを設定し、架空の人物像(ペルソナ)を設定しましょう。
自社で活躍している社員を参考にするのも有効です。
STEP3.自社の魅力・強みを洗い出す
つぎに、自社の魅力や強みを洗い出しましょう。
自社の魅力や強みを洗い出す際は、
- 業界(業界での立ち位置など)
- 会社(企業風土/安定性/成長性 他)
- 商品・サービス
- 仕事
- 待遇(給料/休日休暇/福利厚生)
- 勤務時間・体制
- 評価制度
- 労働環境
といった項目に沿って、洗い出してみてください。
新卒社員や社歴の浅い社員にヒアリングするのも良いでしょう。
出てきた魅力や強みの中から、求める人物像の共感を得そうな要素を抽出します。
STEP4.採用コンセプトを決める
採用コンセプトは指針です。
求める人物像を採用するために、どのようにブランディングしていくかを決めることで、一貫性のある情報やメッセージを発信できます。
例えば、「高収入を得るためなら、多少きつくてもOKな人」であれば、採用コンセプトは「実力主義の会社で高収入を目指せる」のように、考えられます。
そうすると、「評価制度」「キャリアプラン」「給料制度」「年収例」といったように、“稼げる”に焦点を当てて、伝えるべき情報が見えてくるはずです。
また、ターゲットの心を掴むキャッチコピーも考えやすくなります。
このように、コンセプトが明確になると、ターゲットへの訴求効果が高いパンフレットを制作できます。
STEP5.スケジュールを決める
ページ数によっても異なりますが、一般的にリクルートパンフレットの制作期間は、3ヶ月程度です。
そのため、リクルートパンフレットを利用するには、採用活動を始める3ヶ月~6ヶ月前から準備に取りかかる必要があります。
▼リクルートパンフレットのスケジュール例(就活ルールに則った場合)
現行の就活ルールは、
広報解禁:3年の3月~
選考解禁:4年の6月~
です。(2024年卒まで現行の就活ルールを継続する方針)
インターンシップや合同説明会は、大学3年の6月~7月くらいからスタートするため、遅くとも3月~4月には制作準備に取りかかる必要があります。
近年は、通年採用を行う企業も増えているため、自社の採用スケジュールに合わせて進めてください。
また、大半はインタビューや写真撮影を行うため、事前に関係者のスケジュールを調整しておきましょう。
STEP6.依頼先を選定する
「制作体制が整っていない」「リクルートパンフレットの制作ノウハウがない」企業は、外部にパンフレット制作を依頼するのがおすすめです。
リクルートパンフレットは、会社案内などの一般的なパンフレットとは仕様が違うため、採用に関する知識を持った制作会社に依頼しましょう。
ホームページに載っている制作実績から、リクルートパンフレットを手掛けているかどうか確認してください。
依頼先をピックアップしたら見積もりを出してもらい、サービス内容や料金などを比較検討して依頼先を決めましょう。
STEP7.制作スタート
依頼先が決定したら、いよいよリクルートパンフレットの制作です。制作会社との打ち合わせを入念に行い、認識をすり合わせましょう。
リクルートパンフレット作成のポイント
リクルートパンフレットを作る手順が分かったところで、押さえておきたいポイントをご紹介いたします。
ブランディング視点を持って作成する
リクルートパンフレットを作る際は、ブランディングの視点を持つことが重要です。
採用ターゲットへの訴求を高めるには、自社をどのように見せたいかを意識して、作成する必要があります。
ターゲットが魅力を感じるようなパンフレットを作成できれば、志望度向上だけでなく、ミスマッチ防止にもつながるでしょう。
活用のタイミングを事前に決めておく
リクルートパンフレットの制作には、通常3ヶ月~6ヶ月程度かかるため「来月の合同説明会に配るパンフレットが欲しい」となっても、対応は難しいでしょう。
たとえ、パンフレットが間に合っても十分な時間を確保できなければ、クオリティ低下を招く恐れがあります。
また、用途によって目的も変わってくるため、掲載する情報も異なります。
そのため、パンフレットを配る時期や目的を事前に決めておくことが重要です。
デザインにこだわる
人は言葉だけでなく、画像や色彩、感触といった非言語的な要素からも多くの情報を読み取っています。
デザインによって相手に与える印象が大きく変わるため、見やすさはもちろん、求める人物像や自社のイメージ、コンセプトを考慮したデザインにすることが重要です。
また、表紙はパンフレットの「顔」となるため、自社の商材やコンセプトとリンクしたインパクトあるデザインにしましょう。
写真を多用する
文字やイラストだけでは、社風や職場の雰囲気は伝わりません。
写真を用いることで直感的に理解できますし、働く姿をイメージしやすくなるため、積極的に使用しましょう。
ただし、写真は人の印象に強く残るため、「画質が粗い」「暗い」「デスクが散らかっている」などの写真を用いると、印象を悪くする可能性があります。
写真撮影は、画質や被写体、背景といった細部にまでこだわって行う必要があるため、プロのカメラマンに依頼しましょう。
キャッチコピーを作る
キャッチコピーは、採用ターゲットの心をつかむ重要なフレーズです。
コンセプトに沿って、採用ターゲットに伝わるようなキーワードを組み立てて、キャッチコピーを作りましょう。
キャッチコピーを作る際は、できる限り分かりやすい言葉で、短くまとめるのがポイントです。
厳密に「〇文字まで」と決まっているわけではないですが、一目で理解できる13文字程度が望ましいでしょう。
リクルートパンフレットの効果的な活用方法は?
リクルートパンフレットが配られる場面は様々です。
ここでは、各場面での効果的な活用方法についてご紹介いたします。
合同説明会
合同説明会の主な目的は「より多くの求職者(企業)と接点を持つこと」です。
よって、合同説明会では「自社に興味を持ってもらうこと」を重視して、説明会での内容や自社の魅力をまとめた、簡易的なパンフレットを作成する必要があります。
また、チラシ形式のリクルートパンフレットを配布しながら声がけすると、自社ブースへの集客につながります。
興味を持った求職者が採用サイトへアクセスできるよう、QRコードを載せておくのもおすすめです。
単独説明会
企業単独で開く会社説明会に参加する求職者は、ある程度企業研究を済ませた、志望度の高い人がほとんどです。
そのため、企業や仕事、採用に関する詳細な情報が掲載されたパンフレットを作成する必要があります。
説明会の振り返りになるだけでなく、企業・仕事内容への理解が促進されるため、選考参加率や内定辞退率の改善に役立ちます。
内定者フォロー
内定者の抱えている不安や疑問を解消できる情報を載せることが重要です。
近年は、親から反対されて辞退する「親ブロック」も増えているため、内定者フォロー用のパンフレットがあると、学生から親への説明もしやすくなるでしょう。
また、パンフレット内に「内定者へのメッセージ」や「内定出しした理由」などを手書きで書くと、特別感を感じてもらえます。
リクルートパンフレットで採用を成功
リクルートパンフレットは、応募や入社を促すための採用ツールであると同時に、学生にとっても企業理解を深める重要なツールです。
活用目的によってどういった構成にするかは大きく変わってきます。
そのため、リクルートパンフレットの効果を最大限に引き出すには、目的を明確にした上でターゲットやコンセプトを決めることが重要です。
リクルートパンフレットを作成して採用活動を成功させましょう。