採用のミスマッチ防止や採用コストの削減が期待される「リファラル採用」という手法をご存じでしょうか。

 

売り手市場により採用難易度が上がっている近年、なかなか応募者が集まらないとお悩みの企業も多いと思います。

 

そんな中、「リファラル採用」は求める人材へ効果的にアプローチできる方法として、注目を集めている採用手法です。

 

今回は、リファラル採用とは何か、メリット・デメリット、成功させるコツや注意点に至るまで詳しく解説していきます。

 

リファラル採用とは?

リファラル(referral)は、「紹介」や「推薦」といった意味を持っており、リファラル採用とは、既存社員からの友人・知人紹介によって選考を行う採用手法を指します。

 

リファラルリクルーティングや社員紹介採用と呼ばれることもあります。

 

社員の人脈を使うことで、多くのメリットがあると近年注目されている採用手法です。

 

リファラル採用と縁故採用の違い

紹介による採用と聞くと、縁故(コネ)採用をイメージする方も多いと思います。

 

どちらも従業員からの紹介によるものですが、この二つはそれぞれ下記のような採用手法になります。

 

リファラル採用

自社で活躍できそうな知人や友人を紹介し、選考を行う

 

縁故採用

能力や適性に関係なく、紹介された社員の身内を優先的に採用する

 

リファラル採用は紹介をしてもらう過程はあれども、しっかりと選考を行う「能力重視」であるのに対し、縁故採用は能力や適性よりも社員の身内を優先的に採用する「血縁重視」であるため、同じ紹介型の採用手法でも性質は異なるのです。

 

リファラル採用が注目される理由

日本でもリファラル採用を行う企業が増加しており、2017年に行われたエンジャパンの「リファラル(社員紹介)採用」に関するアンケート調査によると、「リファラルによる中途採用を実施している」と回答した企業は全体の62%にも上っています。

 

多くの企業で実施されているリファラル採用ですが、ここまで注目されている理由として下記が挙げられます。

 

・採用市場の激化

・高い離職率

 

採用市場の激化

少子高齢化による人口減少が原因で、日本の労働力人口は減少し続けています。

 

労働者の需給バランスの目安となる有効求人倍率※も、1.63倍と高水準になっており、採用市場の激化がうかがえます。

 

※有効求人倍率:公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者数に対し、企業からの求人数の割合を示す経済指標のこと。1を超えていると求職者よりも求人数が多い状態。

 

引用:厚生労働省「一般職業紹介状況(平成31年4月分)について

 

現在は、求職者よりも求人数の方が多い「売り手市場」のため、一人の求職者を複数の会社が取り合う状態になっており、採用市場が激化していることがわかります。

 

このような状況から、求人広告のような従来の採用手法だけでは応募者を集めるのが難しくなっているため、リファラル採用のような新しい層からの応募を集められる手法が必要になるのです。

 

さらに、リファラル採用は社員からの紹介のため、まだ転職を検討していない転職潜在層にもアプローチも可能になります。

 

高い離職率

近年、せっかく採用できても離職してしまう人が多く、中小企業庁の調査によると「中途社員の3年以内の離職率は3割、新卒社員では4割を超える」という結果も出ています。

 

早期離職の大きな理由としては、採用要件とのミスマッチや入社前後のギャップが挙げられます。

 

入社前の面接だけではその人の適性まで判断するのが難しいことや、会社の雰囲気なども伝えきれないことからこのような事態が起こってしまっているのが現状です。

 

しかし、既存社員が知人・友人を紹介するリファラル採用は、事前にその人の適性やスキルを把握しやすいため、ミスマッチ採用を防止することができます。

 

さらに、自社の雰囲気や仕事内容も本人に伝えやすいので、入社前後のギャップも少なくなるのです。

 

つまり、採用市場が厳しい今だからこそ新しい層へのアプローチや人材の定着を意識した採用ができるリファラル採用は注目されているのです。

 

リファラル採用のメリット・デメリット

採用市場が厳しくなっている現在、自社にマッチする人材確保に有効とされるリファラル採用ですが、導入する前にどのようなメリット・デメリットがあるのか把握しておきましょう。

 

メリット

転職潜在層にもアプローチ可能

先述したように、現在の意採用市場は厳しく、従来の方法では十分な応募者数を確保するのが難しい状況です。

 

人脈を利用したリファラル採用では、機会があれば転職したいと思っている「転職潜在層」へ直接アプローチできます。

 

求人広告のような人材獲得競争を避けて優秀な人材を確保できるのは大きなメリットと言えますね。

 

採用要件にフィットした人材を獲得できる

従来の採用手法では早期離職や期待していた活躍が見られないといったミスマッチ採用のリスクがあります。

 

しかし、リファラル採用は既存社員が自社に合った人を紹介するため、採用要件にフィットした人材を獲得しやすいというメリットがあります。

 

人材定着に繋がる

自社や仕事内容を理解した人から紹介されるため、公募情報では伝わりづらい雰囲気や社風を理解しやすいです。

 

そのため入社前とのギャップも防止でき、人材定着にも繋がります。

 

採用コストが削減できる

求人広告や人材紹介サービスなどを利用すると、広告費用や成功報酬といった「外部コスト」が発生します。

 

また、書類選考や面接といった採用活動に掛かる担当者の人件費など「内部コスト」も発生するため、採用コストは高くなることが多いです。

 

リファラル採用であれば基本的に外部コストはほとんど掛からず、内部コストも紹介者へのインセンティブを支払いが発生する程度なので、通常よりも採用コストを大幅に削減することが可能です。

 

ちなみに、エンジャパンの調査によるとリファラル採用のインセンティブ支給額は、3万円~10万円が約半数を占めているため、広告費や人材紹介の成功報酬と比較するとだいぶ安く済むことがわかります。

参考:エンジャパン「リファラル(社員紹介)採用」に関するアンケート調査

 

採用コストについては「採用にかかる費用・コストはどのくらい?採用単価の平均から削減方法まで」で詳しく解説しています。

 

デメリット

多様性が失われる可能性がある

既存社員から人材を紹介してもらうリファラル採用の場合、紹介者と似たタイプの人材になる傾向があります。

 

同じ特性の人が増えれば一体感が出て組織力が高まることもありますが、多様性が失われるため、企業の発展に影響を与える可能性があることを理解しておきましょう。

 

急募には向かない

「紹介したい人がいつでも必ずいる」とは限らないので、急な欠員による人員補充などのケースはリファラル採用に向きません。

 

どんなケースにも対応できるものではないので、従来の方法と組み合わせながら行いましょう。

 

人間関係の配慮が必要

既存社員による紹介であるリファラル採用は、紹介者と候補者への配慮が普段以上に必要です。

 

紹介された候補者が入社した後、どちらかが先に退職してしまった場合、もう一方の人物も退職する可能性が考えられます。

 

また、二人の人間関係が悪化した場合もどちらかが退職する可能性もあるため、採用後の人間関係に注意が必要です。

 

リファラル採用を成功させるコツと注意点

リファラル採用のメリット・デメリットをご紹介してきました。

 

リファラル採用の効果を最大限発揮するためにも、しっかりとコツや注意点を把握しておきましょう。

 

企業理念や求める人物像を周知させる

人材を紹介されても自社の採用要件にフィットしていなければ意味がありませんよね。

 

自社の企業理念や求める人物像を明確にし、それを社員に周知させましょう。

 

会社がどういった人物を求めているのか理解することで、採用要件にフィットした人材を紹介してもらいやすくなりますよ。

 

人事だけではなく会社全体で取り組む

リファラル採用を成功させるには社員の協力は欠かせません。

 

当然、より多くの社員が人材を紹介してくれた方が求める人材に出会える可能性も高くなります。

 

リファラル採用を導入する場合は、必ず会社全体で取り組むようにしましょう。

 

社員の積極的な協力を促すためにも、なぜリファラル採用の重要性や求める人物像、社員のメリットをしっかりと説明することが大切です。

 

さらに、紹介時のタスクを簡略化したり、紹介の場を懇親会やランチ会などのカジュアルな場にするなど、紹介への心理的ハードルを下げてあげると、より積極的な参加が見込めますよ。

 

職場の環境を整える

リファラル採用は自分の知人に声を掛けるため、当然「紹介したい」と思えるような会社や労働環境でないと浸透しません。

 

まずは、既存社員に自社の魅力やマイナス面を聞いてみましょう。

 

福利厚生や労務環境などを見直すことでリファラル採用の促進だけではなく、職場の環境が改善し、従業員満足度が向上も見込めます。

 

さらに、従業員満足度の向上は定着率にもつながりますよ。

 

他の採用手段も組み合わせる

リファラル採用は急募に対応できませんし、人材の特性が偏りがちです。

 

また、リファラル採用だけで計画通りの人数を確保することは難しいでしょう。

 

リファラル採用は足りない部分を補うための手法とし、既存の採用手法と組み合わせて採用計画を運用してみてください。

 

リファラル採用におすすめのツール

社員のネットワークを利用したリファラル採用は、社員への呼びかけ以外にも下記のようなツールを使うことで効率よく実施することができます。

 

MyRefer

SNSやメールからワンクリックで紹介できるページが用意されていたり、活動状況がリアルタイムで可視化されていたりするため、リファラル採用が効率良く行えるシステムになっています。

 

【特徴】

・社員へリアルタイムで求人情報の告知ができる

・リファラル採用の活動状況を可視化

・候補者や推薦者の管理、インセンティブの管理が簡単にできる

・転職潜在層をプールできるので、中長期的なアプローチが可能

・リファラル採用の一連のフローをコンサルティングしてもらえる

 

URL: https://i-myrefer.jp/

 

Refcome

課題克服と改善案の提案、専任のアドバイザーによる支援でリファラル採用が定着しやすい仕組みになっています。

 

【特徴】

・制度の周知状況や部署・社員ごとの活動量を可視化することで、改善案を導く

・メールやアプリに届く専用ページを転送するだけで紹介できる

・社員の心理的要因やエンゲージメントを把握し、最適なリファラル設計が可能

・アドバイザーの支援がある

 

URL:https://jp.refcome.com/

 

GLOVER Refer

システムの初期設定はリクルートが行うため、担当者の負担を軽減できます。

また、既存社員が紹介しやすいような仕組みや、アドバイザーによるサポートもあります。

 

【特徴】

・紹介を依頼するメールが一斉送信できる

・テンプレートメッセージの送信で簡単に紹介できる

・通知機能付きで応募の対応漏れを防止

・リファラル採用の進捗率が可視化されている

・アドバイザーの支援がある

 

URL: https://gloverhr.com/service.html

 

リファラル採用の成功事例

リファラル採用で成功している企業はどのような工夫をしているのか気になりますよね。

 

ここでは、実際にリファラル採用で成功した「メルカリ」の事例をご紹介します。 

 

メルカリ

大手フリマアプリを運営するメルカリは2013年に創業し、現在では1800人を超える多様なバックボーン持つ人たちが働いています。

 

急成長を遂げるメルカリですが、社員のおよそ5~6割がリファラル採用によって採用されているのです。

 

では、メルカリでのリファラル採用成功の秘訣を見ていきましょう。

 

「1つのミッションと3つのバリュー」の徹底的な意識統一

・ミッション

新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る

 

・バリュー

Go Bold-大胆にやろう

All for One-全ては成功のために

Be a Pro-プロフェッショナルであれ

引用:メルカリ「ミッション&バリュー

 

メルカリではこれを社内に浸透させるため、下記のような工夫を行っています。

 

・会議室の名称をミッション&バリューから取って名付ける

・バリューの書かれたTシャツを作る

・ミッション&バリューを行動判断の基準にする

 

ミッション&バリューが身近になり、社員の意識が統一化されたことによって、メルカリにふさわしい人物像がブレなくなったのです。

 

また、メルカリでは経営陣が率先してリファラル採用を行ってきたことも活性化した理由として挙げられるでしょう。

 

そして、リファラル採用によって入社した人が、同じように声がけを行うようになり、徐々に一般社員へも広がっていったのです。

 

採用難の今こそリファラル採用で優秀な人材を獲得しよう!

採用コスト削減や採用要件にフィットした人材の確保など、リファラル採用には多くのメリットがありますが、リファラル採用を活発化させるには、社員へお願いするだけでは不十分です。

 

企業理念や求める人物像の明確化をし、働きやすい職場環境を整えた上で会社全体として取り組んでみましょう。

 

この記事で紹介したコツや注意点を活かして、ぜひ採用成功へと役立ててくださいね。

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