経団連が定める就職活動のスケジュールや開始時期が毎年のように変動する中、採用市場を勝ち抜くためにはスケジュールを正確に把握し、効率よく動くことが重要です。

 

ここでは、新卒採用の年間スケジュールを改めて見直し、新卒採用に活かせる情報をお届けします。

 

定期採用を行う理由と経団連の指標

新卒一括採用とも呼ばれる「定期採用」の歴史は古く、明治時代までさかのぼります。

 

当時の管理職・事務職の採用方法として一部企業で導入されたのが始まりと言われており、第一次大戦までは在学中に入社選考と採用を行う慣例が広まっていました。

 

その後、世界恐慌などに伴う学生の就職難が社会問題となり、在学中の採用を行わない協定が結ばれることになりました。

 

その慣例は今も新卒一括採用として残っています。

 

経団連は、「企業は学生の学習を妨げないこと」を採用選考指針として掲げ、採用スケジュールの試行錯誤を続けてきました。

 

2015年度に実施された「12月広報活動開始、4月選考開始」は就職活動の早期化によって、学生の本分である学習機会が損なわれるという批判を受けました。

 

2016年度には「3月広報活動開始、8月選考開始」に変更されたものの、一気に選考解禁が4ヶ月後ろに倒れたことで、特に理系学生の研究活動に支障が生じました。

 

さらには非経団連加盟企業が後ろ倒しに対応するため、こぞって早期採用に動き出し、かえって就職活動の長期化を招きました。

 

学生の就職活動スケジュール

2017、18年度の新卒採用は広報活動開始が3月1日以降、選考開始が6月1日以降となっており、2019年度も同様のスケジュールで行われることが決まっています。

 

それを踏まえて、学生の就職活動スケジュールを見てみましょう。

 

企業へのエントリーが集中して行われるのは3~5月ですが、早めに動き始める学生はすでにインターンシップへの参加や業界・企業研究をスタートさせています。

 

早ければ5月には適性検査や面接を済ませ、内定をもらう学生も現れます。

 

企業へのエントリー→個別説明会への出席→選考参加を繰り返し、5月には1クール目の選考が終了。

 

6~7月に2クール目がスタートし、そこでも内定を得られなかった学生は8~9月の3クール目で内定獲得を目指します。

 

企業側は就職活動における学生の動きだけでなく、大学の定期試験の時期にも目を配りましょう。

 

情報解禁前からセミナー参加などを積極的に行っても、1月頃では後期試験と重なって参加者が見込めないということが考えられるためです。

 

企業の採用活動スケジュール

では、学生たちの動向を踏まえて企業はどのようにスケジュールを立てればいいのでしょうか。

 

早ければ選考解禁の一年前から次年度の採用を見据えた準備を始めるのがベストです。

 

そこから広報活動開始までに、下記の情報をまとめておきましょう。

 

・採用計画

・求める人物像の作成

・採用職種の決定

・学生向け企業情報の作成

・募集情報の作成

・説明会および選考方法の検討

・各採用活動の人員手配

 

など

 

3月の情報解禁後、就活サイトに求人情報を公開し、事前に決めておいた段取りに沿って説明会、選考試験、面接を行います。

 

マイナビの調べによると、2017年卒採用で3月上旬にエントリー受付を開始する企業は全体の8割以上にのぼっています。

 

その後、6月までに8割を超える企業が学生へ内々定を出すことも調査でわかっており、採用の早期化が見受けられます。

 

ただし、「採用活動は7月以降も継続する」という企業が全体の約3分の2を占めているというアンケート結果もあります。

 

「より良い学生を採用したい」「採用人数を確保したい」という企業側の希望から、企業の採用活動スケジュールは早期化とともに長期化も進んでいます。

 

採用活動の早期化における注意点

「企業は学生の学習を妨げないこと」という経団連の指標がありますが、それをかい潜るために内定制度が生み出されました。

 

「採用ではなく、あくまで内定だから卒業前でも問題ない」というのが協定をかわすロジックであり、卒業後の定期採用が始まった1920年代から現代まで続いています。

 

さらには内定出しを約束する「内々定」まで生まれたことで、採用の前倒しを行う傾向は年々強まっています。

 

特に経団連に加盟していない企業は、3月の中頃から内定を出し始めており、経団連加盟企業以上に採用を前倒しにしています。

 

前倒し採用の増加、採用活動の長期化は同時に、内定辞退を増やす要因にもなっています。

 

学生が長い間就職活動を続け、内定をもらった後もよりよい企業を探せる期間が延びたためです。

 

こうした状況を反映して、「オワハラ」と呼ばれる学生の囲い込みが社会問題になっています。

 

学生もそうした企業の対応に不安や不信感を抱えているため、採用スケジュールの管理を適切に行い、採用を前倒しする場合のフォローアップ方法を事前に決めておくことで、安心して入社してもらえるようにしましょう。

 

まとめ

2017~19年度の3年間、採用活動スケジュールに変動はありませんが、今後経済状況や雇用情勢の変化に応じて再びスケジュールが変わる可能性は充分あります。

 

「前年度はこの方法で採用が成功したから」といって、翌年も同じスケジュールで成功できるとは限りません。

 

その年の情報解禁時期を把握した上で採用活動開始前にじっくり準備を進め、情報解禁に合わせて迅速に動くことが採用成功のカギになるでしょう。

 

学生・企業双方がWin-Winの関係で結ばれるような採用活動の成功をお祈りしています。

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