成長意欲のある学生がほしいという採用活動の最前線において、インターンシップを実践する企業が急増しています。
実は就活中の学生だけでなく、企業にとっても大きな価値のあるインターンシップについて解説し、その魅力や実施する際の注意点をお話ししていきます。
そもそもインターンシップとは
端的にご説明すると、インターンシップとは「企業の中で学生が働くこと」を指します。
大手企業では「1DAYインターンシップ」と銘打って短期のインターンを開催するケースも増えてきましたが、これらは厳密に言うと「ワークショップ」であり、学生が長期間、一般の社員と同じような仕事にあたるインターンシップとは一線を画します。
元々は広い意味でのキャリア教育のひとつであり、さまざまな業界、仕事、企業を知ってもらう機会を提供するためにスタートしました。
現在は、限られた本採用の期間内に優秀な学生を集める採用活動のひとつとして注目を集めており、インターンシップを選考の一環として行う企業も現れ始めました。
インターンシップの仲介を行う企業も登場しており、企業・学生双方の中で日々存在感を大きくしています。
インターンシップのメリット
インターンシップのメリットをまとめると、以下の3点に集約されます。
成長意欲の高い学生を採用できる
インターンシップに応募する時点で、成長意欲を持ち、早い段階から実務経験を積みたいという学生の志向が読み取れます。
実際に、未経験からプログラミングを学び、Webサイトやスマホアプリをリリースする優秀な学生もおり、そうした高いスキルを持つ学生を、実務経験を通して見極められるのは大きな魅力です。
ポテンシャル重視で幅広く採用できる
インターンシップに応募する学生の多くは業界や仕事内容に関する知識が乏しい状態で仕事を始めます。
その分伸びしろは大きく、いろいろな場面で活躍してくれる可能性があります。
インターンの期間中にいろいろな仕事を経験してもらい、伸びしろがありそうな学生と数多く接することができるのです。
企業側と学生側双方がお互いの情報を得られる
企業にとっては学生たちのことを知る機会となり、学生にとっては企業の雰囲気や仕事内容を知る機会になるのがインターンシップです。
多くの時間とコストをかけて面接や適性検査を繰り返すよりも、互いを知る上で効率的な手段と言えるでしょう。
インターンシップのデメリット
学生の予定に左右される面がある
当然ですが、学生の本分は勉強であり、授業を受けなければなりません。
大学3~4年生であれば単位の取得がほぼ済んでいることもありますが、1~2年生は必修科目も多く、週2日程度の勤務に限定されることも少なくありません。
インターンシップが盛んになることで就活の早期化が進み、「就活のために大学に通っている」と語る学生の声も聞こえています。
こうした現状に文部科学省も懸念を示しているため、今後の就活環境の変化には常に目を配る必要があるでしょう。
見られたくないところも見えてしまう
良くも悪くも、インターンの現場で就活生が目にするのは企業の「ありのまま」です。
現場の雰囲気に接する中で合わないと感じれば、インターン終了と同時にフェードアウト、ということも充分に考えられます。
ただし、仕事内容や企業の風土が合わない学生を事前に選別できるという点ではメリットとも言えるでしょう。
とはいえ、インターン中のみ体面を取り繕うようなことがないように、常にフラットな環境を形作った上で学生を迎えたいものですね。
インターンシップを成功させるポイント
インターンシップを行う際に、注意すべき点を押さえていきましょう。
状況に応じてターゲットを絞り込む
さまざまな学生を対象にするのもひとつの方法ですが、語学力のある学生に参加してほしいならTOEICの点数を指定するなど、採用したいと強く思える学生が集まるようにターゲットの絞り込みを行いましょう。
アシスタントのように扱わない
インターンシップを行う学生は社員と同等の立場にいるものとして扱い、アシスタントのように扱ってはいけません。
淡々と仕事をこなしてもらうだけでなく、短期・長期の目標を立てて仕事をあてがい、スキルアップ・キャリアアップの道筋を示してあげることが重要です。
学生の志向や適性を活かす
事前の面談の内容などに応じて、向き不向きを考えた配置をするのも企業側の配慮として必要でしょう。
幅広い経験をさせることも重要ですが、明らかに不向きな業務をあてがって苦手意識を持たれるのは避けたいところです。
まとめ
「他社もやってるからうちも」といって、なんとなくインターンシップを行ってはいけません。
これまでお話ししてきたメリット、デメリットを踏まえて明確な目標を立て、どういう学生に来てほしいのかを定め、募集要項を精査し、集客に時間とコストを割く覚悟が必須です。
採用活動の決まりが年ごとに変化する中で、インターンシップについては今後も様々な企画が立ち上げられることが予想されます。
そうした状況に負けず、他社の企画を上回るアイディアを打ち出したり、地道な集客活動を続けたりすることで、深刻化する若手人材不足に立ち向かっていきましょう。