社員想いの福利厚生や休暇制度を取り入れているのに、社員のモチベーション維持に繋がらず、業績が上がらないといった悩みを抱えていませんか。

 

それは、社員と企業の価値観が合っていない状態、つまり『従業員エンゲージメント』が低いせいかもしれません。

 

今回は企業成長と密に関係するエンゲージメントについて考えていきましょう。

 

従業員満足度と従業員エンゲージメントの違いとは?

社員と企業の関係を測る考え方には、従業員満足度と従業員エンゲージメントがあります。

 

この2つはよく似ていますが、「同じではない」ということをしっかり理解しなければなりません。

 

早速、各々の考え方を見てみましょう。

 

従業員満足度[Employee Satisfaction]

これは社員が組織で働く上での居心地の良さや環境の充実度などを測定することを表します。

 

つまり、福利厚生や職場・仕事の満足度といった経済的な安定を指しています。

 

これでは「熱意を持って仕事に取り組みたい」という気持ちには繋がらず、業務に対するモチベーションは上がりません。

 

従業員エンゲージメント[Employee Engagement]

簡単に言うと、社員が会社に対してどのくらいの愛着を持っているかを測定します。

 

つまり、社員一人ひとりが当事者としての意識を高く持ち、成長のために努できるかを示すのです。

 

意欲的に働ける環境を用意すれば、結果としてパフォーマンスを向上していけるという流れを作ることができるのです。

 

「安定性」を大切に考える従業員満足度と、「愛着心」が成長を促す従業員エンゲージメント。

 

一見大きな差がないように思える2つの要因に、決定的な違いがあることをご理解いただけたでしょうか?

 

従業員エンゲージメント導入によるメリット

離職率の改善

アメリカのCEB社(Corporate Executive Board)が作成した「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」では、従業員エンゲージメントの高い企業の離職率は1.2%に留まったのに対し、従業員エンゲージメントの低い企業の離職率は9.2%と高い数値を示しています。

 

この結果から、優秀な人材を社内に留まらせる施策として、従業員エンゲージメントの向上が効果的ということがわかります。

 

サービスの向上

社員全員が当事者意識を持ち、自発的な努力を行える企業へと成長すれば、自ずとサービス・品質・安全性が高まるという研究結果が報告されています。

 

とある企業で行った製品100万個あたりの品質不良数を求める実験では、従業員エンゲージメントの低い工場で5,658件の不良品があったのに対して、従業員エンゲージメントの高い工場では僅か52件のみ、約5,000件もの差があったそうです。

 

上記の例から従業員エンゲージメントが向上すれば、社員の意識が変化し、会社成長に大きな影響を与えるということがわかってきました。

 

次項では、どのようにすればエンゲージメントを高められるのかというポイントを確認していきましょう。

 

従業員エンゲージメントを高めるポイント

エンゲージメントを高めるためには、経営者や現場を指揮する上司が重要な役割を担っています。

 

どのような点に気を付けるべきか、3つの要点を紹介します。

 

部下から信頼される上司・リーダーになる

自分の部下に対して強い関心を持ち、職場・プライベート双方に気配りができる管理職であれば、良いチームを作っていくことができるでしょう。

 

部下との強い絆が従業員エンゲージメントの高まりへ繋がっていくからです。

 

部下に権限を与える

職務満足度を高く維持するため、部下自らがコントロールできるプロジェクトを与えてみましょう。

 

より強い責任感の中で仕事をしていくことで、業務に対するプライドや昇進・昇格を意識するようになり、自ら成長していく姿勢を見せてくれるはずです。

 

前向きに仕事と向き合える環境を作る

仕事自体を楽しむためには、安心して業務に取り掛かれる環境を提供することも大切です。

 

部下の健康管理に注意するのはもちろん、プライベートな時間を確保してあげることも義務と言えます。

 

ワーク・ライフ・バランスの取れた環境はやる気に繋がり、クオリティの高い仕事が生まれるのです。

 

従業員エンゲージメントを維持する3つの『E』

最後に、エンゲージメントを維持し生産性の高い現場を維持するために必要な3つの『E』を見てみましょう。

 

これは、エンゲージメントコンサルタントのエイドリアン・ゴスティック氏とチェスター・エルトン氏が、共著「ALL IN : How the Best Managers Create a Culture of Belief and Drive Big Results」の中で必要だと示している要素です。

 

Engaged[自発的に企業へ貢献する意欲]

社員が自分の仕事や企業の方針をきちんと理解し、組織の成功のために求められる内容以上のことを進んで行おうとすることと定義されています。

 

Enabled[生産性を高められる職場環境]

業務遂行に必要な材料や道具を揃えていることはもちろん、状況に応じた権限の委譲や業務量のバランスを調整するなど、企業が社員に対して仕事に集中できる環境を整えることを指しています。

 

Energized[健康な状態で仕事に専念できる勤労状況]

社員が効果的な仕事を行うために必要な2つの意味を持っています。

 

1つ目は柔軟な働き方(フレックス制度や裁量性など)を表す肉体面。

 

そして2つ目がプレッシャーの有無や業務における達成感を示す精神面です。

 

社員と企業の関係は従属ではありません。

 

互いに尊重し合い共に成長していける環境が、結果を残せる社員と企業を作り上げるのです。

 

まとめ

会社業績だけでなく、社員の離職率やサービス・品質の向上にも大きな影響を与えると考えられている従業員エンゲージメントは、職場における成功基盤として一層重要性を増していくでしょう。

 

物質的な待遇を充実させることも大切ですが、それよりも社員を気にかけてくれる管理職の存在やより良い仕事をしやすい環境、携わった仕事への達成感といった要素が満たされることが、エンゲージメントの向上に繋がっていきます。

 

とはいえ、いきなり企業全体でエンゲージメント強化に乗り出すのは難しいと思います。まずはあなた自身が「部下から信頼される上司・リーダーになる」というところから始めてみてはいかがでしょうか。

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