地震や台風などの災害が起きた時、「働ける時間が短くなり、社員も疲れ果てて生産性が落ちた」なんて経験はありませんか。
近年、働き方改革の推進によって、自宅やサテライトオフィスなどで仕事をする『テレワーク』導入企業が増加しています。
今回は、なぜテレワークを導入する企業が増加しているのか、その理由について解説していきます。
働き方改革でテレワークを推奨している
そもそもテレワークとは下記のような働き方を指します。
“情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方”
参考:東京都「テレワークを活用して介護と仕事の両立を!」
つまり、ネット環境を活用して自宅やカフェ、サテライトオフィス(本社から離れた場所に設置されたオフィス)で仕事ができるため、ライフ・ワーク・バランスを実現できる働き方と言えますね。
テレワークは働き方改革でも推奨されていますが、その主な理由は、『少子高齢化』のためです。
参考:総務省「第1部 特集 データ主導経済と社会変革」
上記の図は日本の人口推移です。
これを見ると、出生率の低下から人口が年々減少しているため、それに伴い労働力不足も深刻化していくことが分かります。
この危機的状況への対応策として、若者や女性、家庭に要介護者のいる人、障がい者などの社会的マイノリティが働きやすい環境を作るために、『テレワーク』を推奨しているのです。
厚生労働省では、テレワーク運用のガイドライン策定や、テレワーク相談センターも用意しており、テレワークの普及に意欲的であることが伺えます。
また、通勤不要なテレワークは、満員電車によって生じるストレスや体力消費を緩和でき、通勤時間も節約できます。
労働者にとって働きやすい環境づくりは、モチベーションアップにつながるため、生産性の向上にも期待されているのです。
テレワークと同義のリモートワークについては、最近よく耳にする「リモートワーク」とはでご紹介しています。
オフィスコストを下げることができる
あなたの会社では、自分のデスクが決められていますか?
もしそうなら、フリーアドレス制にしてテレワークを導入すれば、オフィスの稼働率を上げることができます。
自席が決められていると、従業員の分だけデスクが必要となり、それに合わせたフロア面積も必要です。
そのため、従業員が多いほどデスクやイス、PCなどの備品が必要となり、それを収容する賃料が掛かってしまいます。
しかし、オフィスを見渡した時、「デスクがすべて埋まっている」という状態は少ないのではないでしょうか。
例えば、営業などの職種は外回りが多く、自席にいないことも多いと思います。
せっかく全員分の席を用意しても、空席が多い状態では、もったいないですよね。
フリーアドレスで自席をなくし、テレワークによって働く場所を分散させれば、空いている席で仕事ができるため、オフィスの稼働率が上がるのです。
それに伴い、オフィススペースが縮小されると、『賃料』や『備品購入費』『従業員の定期代』なども見直すことができます。
また、テレワークによる労働場所の分散は、移動時間の削減やワーク・ライフ・バランス、生産性の向上、災害時のリスクヘッジにもなるため、多くの企業で注目されています。
災害時に公共交通機関の影響を受けない
2019年9月9日に首都圏を直撃した台風15号の影響で、公共交通機関は運休・遅延によって大混乱したことは記憶に新しいでしょう。
この記事を読んでいる人の中にも、日常の通勤電車とは比較にならないほどの満員電車に揺られ、何時間もかけて出社したという人も多いのではないでしょうか。
テレワークが注目されている理由に地震や大雨、台風などの自然災害が発生した時のリスクを分散できるという点が挙げられます。
オフィスへの出勤が義務付けられている場合、災害発生時、交通機関の乱れなどにより、大幅に業務スケジュールがずれることが予想されます。
また、そういった状況下で無理して出勤しても、通勤で疲弊して「仕事の効率が上がらない」という事態に陥りますし、企業としても健全な姿とは言えません。
実際、こういった非常時にテレワークで在宅勤務や、サテライトオフィスを利用した従業員たちは、通常通り仕事をすることができたため、公共交通機関の乱れによる業務への影響を最小限に止めることができたのです。
公共交通機関がマヒしても影響を受けにくいというのは、テレワークの大きな強みですね。
子育てや親の介護など制約がある優秀な人材の確保
『子育て中の女性』『家庭に要介護者がいる人』『障害を抱える人』など、何らかの制限によって、やむを得ず仕事を辞める人がいます。
しかし、そんな人たちの中には優秀な人材がたくさんいるのです。
知識や技術を十分持ち、本来なら一流企業に就職できるような人材でも、“1日8時間のオフィス勤務”を義務付けている会社だと、彼らは採用候補者にはなりません。
つまり、在宅勤務や自宅近辺のサテライトオフィスで仕事ができるテレワークを導入することによって、通常では巡り合えなかった優秀な人材に出会える可能性があるのです。
また、多様化する労働者の環境に対応できるテレワークは、従業員のモチベーションアップや生産性向上にもつながり、離職抑止の効果が期待できます。
さらに、テレワーク導入はワーク・ライフ・バランスを重視する傾向にある若者から、他社と比較検討された際、選ばれやすくなるでしょう。
人材確保が難しくなる今後、多様化する労働者ニーズに対応できる環境を整えている企業が、選ばれるようになることは間違いありません。
もちろん、テレワークはすべての職種に適応できるわけではないですが、働きたくても働けなかった優秀な人材を確保する有効な手段のひとつと言えますね。
まとめ
今回は、テレワークについてご紹介してきました。
今後、ますます労働力人口の減少が予想される日本において、テレワークなどの働きやすい環境を整えることが重要視されていることから、さらに普及すると考えられます。
また、2020年には東京オリンピックが控えており、多くの観光客が押し寄せることで首都圏の公共交通機関は非常に混乱するでしょう。
東京オリンピックを目前に控えた今、導入に向けてテレワークを試験的に運用してみてはいかがでしょうか。