ワーケーションという制度をご存知でしょうか。
休暇中にも仕事を認める新しい働き方で、生産性の向上など一定の効果がみられることから、注目を集めています。
「休暇中くらい仕事を忘れたい!」 「旅先での仕事がOKになったら長期休暇が取れる!」など、様々な意見があります。
注目のワーケーションについて、メリット・デメリットを含めてご紹介します。
ワーケーションとは
ワーケーションとは、『ワーク(働く)』と『バケーション(休暇)』を合わせた造語で、旅先などのリゾート地でリモートワークを行う新しい働き方です。
近年、アメリカでは休暇中も仕事の連絡をする方が増え、有給休暇取得率も低下傾向にあることから、ワーケーション制度が生まれました。
「休暇中も仕事をしてしまうなら、“休暇中に仕事をする制度”を作ってしまえば良い!」という考えですね。
日本はアメリカ以上にこの傾向が顕著で、世界19ヶ国で最も有給休暇取得率の低い50%となっています。
※エクスペディア・ジャパン調査(2018年9月)
現在、政府主導で様々な働き方改革の導入が推進されていますが、休暇中も稼働日を設定することで長期休暇を取得しやすくなり、従業員の働きやすさが向上すると考えられています。
ワーケーションの導入企業事例
新しい働き方であるワーケーションの導入事例を見ていきましょう。
日本航空(JAL)
JALではすでに在宅勤務のテレワーク制度を導入していましたが、「在宅に限らず、旅先や帰省先もテレワークの対象にしてほしい」という要望から、2017年ワーケーションを導入しました。
旅行中でも勤務時間を設定した業務が正式に認められ、リフレッシュしながら仕事にも集中できると好評です。
現場でしかできないお仕事の方は、適用が難しいなどの課題はありますが、新しい働き方として注目を集めています。
和歌山県白浜町
三菱地所と業務提携し、白浜町にワーケーション用のIT環境を整備したオフィスを開設するなど、積極的に企業誘致に取り組んでいます。
美しい海や温泉など、旅先でのレジャーも楽しめる観光資源があるため、モチベーションアップなどを図る狙いがあります。
自治体としても、企業を誘致することによる地域活性化が期待されています。
ワーケーションの登場により、新たなビジネスモデルが登場するなど、日本でも徐々に普及する兆しが見て取れますね。
ワーケーションのメリット
長期休暇を取りやすい
先述しているように、日本の有給休暇取得率は世界的に見ても非常に低いのが現状です。
仕事の都合などで長期休暇を諦めていた方でも、休暇中も業務に取り組める制度が導入されれば、有給休暇取得率が向上するきっかけとなります。
労働意欲と生産性の向上
ワーク・ライフ・バランスを重視する方が増えたことにより、休暇を取りやすい環境を整えることで、社員のモチベーションアップに繋がります。
リフレッシュしながら業務に取り組めるため、アメリカでは“生産性が向上する”という一定の効果が認められています。
企業の強みになる
働きやすい環境を整えることで、離職率の低下が期待できます。
働き方改革に繋がる新しい取り組みとして評価され、厳しい採用市場でも求職者にアピールできる強みになります。
視野が広がる
オフィスのような閉鎖空間ではなく、自然豊かな場所でリラックスして取り組むことにより、新しいアイディアが生まれる効果もあります。
ワーケーションのデメリット
休まらない
旅行していても仕事のことが頭から離れず、「休んだ気がしない」という結果を招くことも。
“時間を区切る”“仕事が終わったらPCを開かない”などオンとオフの切り替えをしっかり行わないと、プライベートの時間が取れなくなる可能性があります。
労働管理の複雑化
ワーケーションは旅先で業務をするため、労働時間の客観的な把握が難しいという点が挙げられます。
テレワークなどのオフィスに縛られない働き方も同様ですが、勤怠管理システムや就業規則の見直しといった環境整備が必要です。
セキュリティ面の問題
企業がPC機器類などを用意して、旅先で業務できるよう環境整備することになります。
貸与したPCなどデバイスの盗難や紛失、情報漏えいなどのリスクが考えられます。
このようなセキュリティ面のリスクから考えると、ワーケーション時の業務に制限を設けるなど、何らかの対策が必要となります。
ワーケーションで生産性向上!
旅先でも仕事ができるワーケーションは、新しいアイディアの創出や生産性の向上が期待できるというメリットもあり、注目が集まっています。
しかし、“仕事をすることが目的”になってしまうと、ワーケーションをする意味がなくなってしまいます。
ワーケーションの導入には環境整備やセキュリティ対策、従業員がワーケーションに対して理解することが重要と考えられます。
仕事内容によっては、ワーケーションが適さないこともあるため、導入は慎重に検討する必要があります。