Part1の内容では、人事評価制度を導入する上で『何(What)』を評価の対象にすべきかについて述べてきました。
今回はその評価の対象を『どのようにして評価を行うべきか(How)』について、以下で見ていきましょう。
前回申し上げた7つの視点のうち【④人事評価・査定】に該当します。
人事評価・査定の基本
評価の対象に入れるものは『対象者が仕事上で生み出した結果や、それにまつわる行動』の範疇でなければなりません。
勤務外で起きた出来事に関しては評価の対象外です。
そしてそれは、実際に確認が取れたものである必要があります。
誰かから風のウワサで聞いたことに関しては、評価の対象にはなりません。
もう1点、評価する上で留意しておくべきポイントがあります。
人は感情を持った生き物であるということです。
つまり100%ロジカルに相手を評価するのは困難を伴います。
意図しないまでも自分の好き嫌いによって、無意識のうちに評価対象者を歪んだ視点から評価してしまう危険性があるのです。
そういった危険性があることを踏まえ、個人の主観に左右される要素は極力排除しなければなりません。
数値以外の、客観的に判断できない要素は、複数のメンバーで評価し合うのが良いでしょう。
また、その評価自体は「ある日の1日を切り取って行った」なんてことにはならないはずです。
一定の期間を定めて評価することを考慮すると、計画性が大事になってきます。
(おそらく1年単位で設定する方が多いかと思いますが)『いつ~いつまでの期間で評価をするのか』を明確にしておかなければなりません。
そして、その評価を『いつ・どのタイミングで1人ひとりの社員にフィードバックするのか』もあわせて計画しておきましょう。
上手なフィードバックの方法
先ほど、フィードバックという言葉が出てきました。
「フィードバックの適切な方法がよく分からない」という方もいるでしょう。
基本は『直属の上司と部下、1対1で行なう』のが理想です。評価を受ける側に過度なプレッシャーを与えないためです。
また、フィードバックの頻度も大事なポイントです。
「1年に何回行えば良い」という明確なルールはありませんが、頻度は多すぎない方が良いでしょう。
必要以上にそういった場を設けてしまうと、1回の内容が薄くなります。
それはお互いの貴重な時間を浪費し合うことにも繋がります。
フィードバックを行う上で最も重要なことは、評価対象者が納得のいくカタチでフィードバックを終えることです。
そのためには、評価の結果だけを淡々と伝えるのではなく『どの部分をどのように評価をしたのか』。
さらに、今後評価を高めていくためには『どういった行動が求められるか』について言及してあげる必要があります。
その際、ただ一方的に意見を述べるのではなく、相手の主張や疑問点を受け止めることも忘れないようにしましょう。
評価者の教育・訓練の必要性
評価者のレベルが伴わないことには、評価制度を適切に運用していくことができません。
だからこそ、評価をする側に対しての『教育・訓練』が大事になってきます。
制度そのものの基本的な理解を深められる場(例:研修)があると親切です。
その際、1人の先生と複数の参加者といった講義形式だけでなく、参加者同士で行えるディスカッション形式の研修もあると良いでしょう。
参加者自身が主体性を持って考えたり、自分ひとりでは気付けなかった新たな発見があったりします。
必要に応じてテストを実施することで、理解度のチェックも行うことができます。
制度の基本的な内容を理解した上で、フィードバックの質も高めていかなければなりません。
ただこれは、座って話を聞いているだけでは中々身に付いていかないものです。
実際の現場で学んでいくのが最も有効な手段ではありますが、それだけ、というのもいささか乱暴かもしれません。
例えば『模擬トレーニング』を行い、実践に近い状態で経験を積むのも一つの手です。
自社でそのようなリソースをまかなえない場合は、外部の研修に参加するのが適切な手段と言えるでしょう。
まとめ
今回の記事の中でいくつか具体的な『評価の方法論』を述べてきました。
ですがそれ以前に『評価者として陥りやすい問題』があることを、しっかり踏まえておきましょう。
それを理解しているか否かによって、適正な評価が行われるかどうかが大きく左右されます。
次回では評価した内容を実際に『どういったものに反映していくか』について、押さえておくべきポイントを説明していきたいと思います。