少子高齢化による労働人口の減少と近年の景気回復傾向による影響で、売り手市場が続いている近年。

 

厚生労働省が昨年9月に発表した有効求人倍率は1.52倍という結果となっており、今後も長期的な採用難が続くと想定されています。

 

そんな時代を乗り越えるため、さまざまな企業が力を入れているのが『プレイングマネージャーの確保』です。

 

プレイングマネージャーとは?

現場の最前線で売上・利益向上に貢献する「プレーヤーとしての能力」と、部下の育成や指導を行う「マネージャーとしての能力」。

 

この双方を合わせ持つ人物を、プレイングマネージャーと呼びます。

 

野球などのスポーツにおける、選手兼監督がイメージしやすいかと思います。

 

もともとは、バブル崩壊後の人件費削減やリーマンショックによる管理職ポストの減少によって、実務とマネジメントを一手に行える人材が求められたことから作られたポジションでした。

 

しかし近年では、現場の状況を把握しやすい特性に加え、組織内で最適な指示・指導が行えることから、「成果を上げやすい新たなリーダーポジション」として注目されており、優秀なプレイングマネージャーを必要とする声が高まっています。

 

プレイングマネージャーの役割

では、ビジネスにおけるプレイングマネージャーには一体どのような働きが求められるのでしょうか。

 

ここでは代表的な3つの役割をご紹介します。

 

次世代プレイングマネージャーの育成

一般的に数人~10人程の少人数チームを託す企業が多いようです。

 

プレイングマネージャー自身が現場経験で積み上げてきたノウハウや成功体験をチームメンバーへ共有することで、同じように活躍できる人材を育成していけるでしょう。

 

目標を達成できるチームの形成

チームで目標を達成するためには、スケジュール管理や仕事の割り振りといった細かな管理業務が発生します。

 

これらを上手にコントロールできれば、チームメンバー全員が意欲的に業務と向き合ってくれるはずです。

 

プレーヤーとしての目標達成

管理能力だけでなく、同時にプレーヤーとしての成果にも期待されています。

 

プレイングマネージャー自らが模範となって業務に取り組むことは、チームメンバーからの信頼獲得につながり、モチベーションの高いチームを作ることに直結します。

 

 

プレイングマネージャーに必要な能力とは?

これまで「プレーヤーとしての能力」と「マネージャーとしての能力」の双方が不可欠だと説明してきましたが、具体的には下記のようなスキルが求められるでしょう。

 

プレーヤーとしての能力

チームの手本となる存在でなければ、部下は誰一人付いてきません。

 

誰よりも多くの情報や知識を学び、実務経験を重ねることは言うまでもなく大切です。

 

さらに培ってきた成功体験をどのように共有していくかによって、チーム全体のモチベーションや生産性は大きく変動します。

 

またチームを牽引するためには、メンバーとの密なコミュニケーションも重要です。

 

一人ひとりの能力や特性を把握し、どのように力を発揮させるかがプレイングマネージャーの力量にかかっています。

 

マネージャーとしての能力

プレーヤーだったころと比較すると圧倒的に業務量が増えるため、効率的に仕事をさばく必要があります。

 

プレーヤーとしての実務とマネージャーとしての管理、どちらに比重をかけるのかはチームの人数によって変動しますが、限られた時間内で対処できるスピード力がないと、プレイングマネージャーとして活躍していくことは難しいでしょう。

 

プレイングマネージャーが気を付けるべきこと

プレイングマネージャーの多くは、優秀なプレーヤーだった方が大半だと思います。

 

そんな方が陥りがちな注意点を、最後に確認していきましょう。

 

プレーヤーだった自分との比較

高い能力を持っている人が無意識のうちに行ってしまうことの1つが、プレーヤーとして働いていたころの自分とチームメンバーの働きぶりの比較です。

 

目標を達成するためにチームとしての成長を求めることは間違いではありませんが、部下に対して辛辣な感情を持ってしまうとマネジメントへの姿勢が消極的になってしまいます。

 

チームとして結果を残すためにはどのような工夫をすべきか、物事を俯瞰で捉える力が必要となるでしょう。

 

プレーヤーの感覚を捨てられない

プレーヤーとして活躍していたころは、一人で幅広い業務に取り組んできたという方が多いと思います。

 

その経験から、本来チームで取り組むべき目標を一人で達成しようとして、マネジメント業務を疎かにしてしまったという失敗談が後を絶ちません。

 

プレーヤーとしての成果ももちろん大切ですが、チームメンバーの成長に力を入れることもプレイングマネージャーとしての重大な職務です。

 

まとめ

今回は、『プレイングマネージャー』の役割や持っておくべき能力についてご紹介しました。

 

今後も長期的な採用難が続く日本では、効率的な組織運営をしていくためにも優秀なプレイングマネージャーを確保しておくことが重要になりそうです。

 

また、プレイングマネージャーを育成するにあたって企業に真っ先に取り組んで欲しいのは、どのようなプレイングマネージャーを求めているのかという「あり方」を明確にすることです。

 

ただ業務を押し付けるだけでは、一般社員と変わりません。プレイングマネージャーの必要性や重要性をしっかり説明し、人材がやりがいを感じながら成長していける環境を構築してあげることも大切です。

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