「逆求人」という採用手法をご存じでしょうか。
新卒採用では、求人サイトに求人を掲載して応募者を待ち、説明会、書類選考、面接…といった方法が一般的です。
しかし、学生優位の売り手市場が続く昨今、従来の採用手法では採用予定数を充足させるのが難しくなってきています。
そんな中、新しい採用手法として「逆求人」が注目を集めています。
今回は、逆求人についての解説と、メリット・デメリット、逆求人ができるサイトやイベントをご紹介していきますので、是非ご覧ください。
逆求人とは?注目されるようになった背景
逆求人とはその名の通り、学生の情報を企業が閲覧し、採用したい学生に対してオファーを送る新しい採用手法です。
通常の新卒採用は、企業側が情報を公開し、興味を持った学生が応募をするという流れです。
しかし、逆求人では、学生側が自分の情報を公開し興味を持った企業がオファーをするという、これまでと真逆の流れで行われる採用手法のことです。
逆求人の注目される背景
これまでとは逆の流れで行われる逆求人は、なぜ注目されるようになったのでしょうか。
その理由として挙げられるのが、「人手不足の深刻化による売り手市場」と「多様性が求められるようになったこと」です。
人手不足の深刻化による売り手市場
労使の需給バランスを表す有効求人倍率から、新卒の採用市場を見てみましょう。
リクルートワークス研究所大卒求人倍率調査では、2020年卒の大卒求人倍率は1.83倍です。
リーマンショックの影響を受けた2010年以降2番目の高さであり、依然として学生優位の「売り手市場」が継続しています。
1人の学生を約2社で取り合うような形になっているため、従来の応募を待つスタイルでは十分に応募者を確保できません。
また、学生優位の売り手市場になったことで、企業が学生を選ぶのではく、学生が企業を選ぶという風潮が強くなったため、逆求人を利用する学生が増加しているのです。
多様性が求められるようになった
近年、日本では「多様性を受け入れることで企業を成長させよう」という考え方が浸透しつつあります。
従来の方法では、“自社に興味のある”学生の中から採用を進めるため、毎年、同じような人材が集まり、新卒社員のタイプが偏りがちでした。
しかし、逆求人は企業側からアプローチをする手法であることから、これまで出会うことのなかったタイプの学生と接点が持てる可能性があり、注目されています。
逆求人のメリット
逆求人についての理解が深まったところで、逆求人は企業にとってどのようなメリットがあるのか気になりますよね。ここでは、逆求人のメリットをご紹介します。
欲しい人材に直接アプローチできる
逆求人は学生が企業からスカウトされるために、通常の求人サイトに登録するレジュメよりも詳細な情報を登録・公開しています。
企業はその情報を見て欲しい人材に直接アプローチできます。
高スペックで意欲的な学生を獲得できる可能性がある
逆求人サイトを利用するのは「自分の能力を評価してくれる企業に就職したい」「自分のスキルをいかしたい」という働く意欲や、スキル・能力の高い学生が多い傾向にあります。
リーダー候補となるような、高スペックで意欲的な学生を獲得できる可能性があります。
多様な学生にアプローチできる
新卒一括採用では、自社に応募してくる学生の中から採用を行うため、学生のスキルや特性が偏りがちでした。
逆求人では、企業が気になる学生に対して直接アプローチできるため、従来の方法では出会えなかった人材にも巡り合うことができます。
採用担当者の負担を軽減できる
新卒一括採用では、エントリーシート確認や複数回の面接によって内定者を絞り込んでいく流れが一般的です。
特に企業によっては何千人という応募者がいるため、採用担当者の負担や人件費が大きくなりがちです。
逆求人であれば企業が気になる学生にコンタクトを取るため、スクリーニングする手間が減り、採用担当者の負担軽減に繋がります。
逆求人のデメリット
逆求人には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
ここでは、逆求人のデメリットをご紹介します。
費用が高い
逆求人を利用する学生は、就職活動に意欲的な学生や高学歴な学生が多く、一般的に“優秀層”と言われる学生が中心です。
そのため、新卒採用関連のサービスの中では料金が高めになっていることがほとんどです。
プライドの高い学生が多い
逆求人サイトへ登録している学生は就活意欲が高い学生や、学歴の高い学生が中心でプライドの高い学生が多い傾向にあります。
そのため、扱いづらい学生が多かったり、なかなか内定を承諾しなかったりといったことも考えられます。
内定後の辞退率が高くなりがち
逆求人サイトでは、1人の学生に対して数社から数十社のオファーが入ります。
知名度の高い企業や、特徴がある企業でないと、学生からの反応がない可能性があります。
また、優秀な学生には内定が決まってからもオファーが送られ続けるため、内定後の辞退率が高くなりがちです。
逆求人を行う方法
逆求人のメリット・デメリットが分かりましたね。
続いては、逆求人を行う方法について見ていきましょう。
逆求人サイトを利用する
逆求人サイトは学生がサイト上に、大学で取り組んだことや、特技、実績といった自己アピールを掲載しています。
企業はサイトのデータベースを利用して、求める条件にマッチした学生へ直接オファーする仕組みです。
逆求人イベント
待機ブースにいる学生を企業の採用担当者が指名し、1対1や少人数で対話したり、グループワークの様子を観察してから気になる学生と対話したりする方法があります。
面談までの流れはイベントによって異なりますが、気になる学生と直接コミュケーションを取れるため、選考につなげやすくなります。
逆求人ができるサイト一覧
逆求人ができるサイトをご紹介しますので、ご覧ください。
Offer Box
就活生の約4人に1人が利用している、学生利用率NO.1の新卒オファー型就活サイトです。(2019年12月現在)
人工知能と適性検査の組み合わせで、自社で活躍している人材の特徴とマッチする学生を検索できます。
キミスカ
7万名以上の学生が登録、6割以上が国公立・MARCH出身者という高学歴者の多いサイトです。
学生の他社選考状況を確認できるため、プロフィールだけでは分からない学生のポテンシャルを知ることができます。
JOBRASS
約20万人の学生が登録(2017年1月現在)し、約4割がGMARCHなどの上位校生です。5,000社以上がジョブラスを利用して採用活動を行っています。
多彩な検索項目から、ピンポイントで欲しい人材を絞り込むことができ、気になる学生には直接オファーを送れます。
また、サイト内のオファー代行など、採用に関するコンサルティングもできるのが特徴です。
ニクリーチ
登録者数5万人以上、利用ユーザの上位3校がトップランク(早稲田、慶応、東大)という優秀層の多いメディアです。
ニクリーチは、企業が求める条件にマッチする学生へスカウトを送り、学生から返信があればマッチング成功となります。
後日、マッチングした相手とお肉を食べに行きます。学生と食事しながらコミュニケーションを取るので、通常よりも学生の本音を引き出しやすくなるでしょう。
逆求人ができるイベント一覧
「直接学生と会って話したい」という企業向けに逆求人イベントをご紹介します。
逆求人フェスティバル
GSTYLUSが運営する逆求人イベントで、学生がブースを構え、企業が訪問する方法です。
「ONLY ONE人材」にこだわらず、主体性や地頭の良さ、コミュニケーション能力などを精査した上で、大手にこだわらない学生を選抜しています。
職種ジャンルごとにイベントが開催されており、学生のエントリーシートと当日の顔合わせをもとに面談したい学生を選択、1対1で30分間直接話ができます。
キミスカLIVE
参加企業は4~5社、学生は30名程度の小規模開催の逆求人イベントです。
学生へ向けて行う企業説明の後、学生は気になる企業のグループワークへ参加し、ディスカッションを行います。
企業の担当者はグループワークを見て面談したい学生を選択し、当日中に個別面談もしくは座談会で直接、話ができます。
逆求人を有効活用して、優秀な人材を採用しましょう!
企業の求める人材に直接アプローチできる逆求人は、スペックの高い意欲的な学生に出会える可能性が高いです。
しかし、費用は高い傾向にあるため、通常の採用方法と併用しながらリーダー候補となるような人材を獲得する際に利用するなど、目的に合わせて使ってみてはいかがでしょうか。
有効活用して優秀な学生を獲得してください。