社員のモチベーションアップのために「インセンティブ制度」を導入している企業も多いかと思います。
働くための動機付けとして大切ですが、効果的に機能しているか見直す機会は少ないのではないでしょうか。
今回は、「インセンティブ制度」に関して改めて説明していきたいと思います。
インセンティブ・歩合制・ボーナスの違い
企業が成長していくために社員の仕事に対する意欲を高めることは大切です。
「仕事の成績や成果に対して支払われる報酬」のことをインセンティブと言います。
ボーナスや歩合制と似ている部分もあるので、改めて違いを明らかにし、インセンティブに対する理解を深めていきましょう。
歩合制との違い
歩合制は、個人の業績や成果によって給料が決まる成果報酬型の給与モデル。
インセンティブとの大きな違いは、インセンティブは“報酬”であることに対して、歩合は“給与の一部”であるということ。
具体的には、「目標を達成した社員に+αの報酬を支払う」のがインセンティブ。
「目標を超えた売り上げ7%を歩合にする」といった形で、個人の成果に対して一定の割合で給与が増えていくのが歩合制となります。
同じ成果報酬でも歩合制は給与全体を左右するので安定性に少し欠けますが、インセンティブは給与を安定させ+αで報酬を支払うこともできるので、設定の仕方次第では社員が安定して働くモチベーションにもなります。
ボーナスとの違い
ボーナスは、通常の給与とは別に企業が従業員に支給する報酬のこと。
企業により様々ですが年2回(夏と冬)支給されるのが一般的です。
業績によって変動するのでインセンティブと似ている部分もありますが、ボーナスは “会社の業績や目標の達成具合”に対して“全社員”に支払われるのが大きな違いです。
インセンティブは、“個人の頑張り”に対して“個人”に支払われます。
インセンティブ制度の種類
インセンティブは決して目標達成した時に支払われる報奨金だけではありません。
社員のモチベーション向上に繋がるものは、全てインセンティブです。
では、どんな種類があるのか紹介していきます。
変動賞与制度
営業職などで一般的に導入されているのが変動賞与制度です。
仕事の成果に対してインセンティブが支払われます。
表彰制度
営業は達成目標という明確な指標によりインセンティブが支給されていますが、数字以外の見えない部分は評価しにくく、そもそも数字による評価が難しい職種もあります。
そこで、評価しにくい「プロセス」や「スキル」を評価基準にし、表彰制度を導入している企業もあります。
例えば、「接客マナー」や「サービスの質」、「技術力」、「技術を学ぼうとする姿勢」などを評価。
それを、報奨金や報酬旅行、勤続手当、希望職種へのキャリアチェンジなどといった形で還元し、組織の活性化に繋げています。
リーダー昇格制度
年功序列の評価制度ではなく、成績に応じて役職に就く制度。
これも、インセンティブの一種です。
年齢や性別、経歴に関係なく、努力や実力次第で平等にリーダーになれるチャンスがあります。
導入するメリット
モチベーションの向上
自分を磨き、お客様から信頼され、契約や売り上げの分だけインセンティブとして給与に反映される。
分かりやすい評価基準ではありますが、社員の頑張りをしっかり還元することは社内の活性化になります。
良い意味での競争が生まれる
成果・実力を評価するので、従業員同士が切磋琢磨し合い競争が生まれます。
個人が成長することで、組織力をより高めることができるでしょう。
優秀な人材の確保
成果をしっかり還元することは、優秀な社員に長く働いてもらうために欠かせません。
また、人材を集める時も評価制度をアピールすることで意欲の高い優秀な社員を集めやすくなります。
導入する際のポイント
メリットばかりに見えるインセンティブ制度ですが、気を付けなければいけないポイントもあります。
組織全体に対する配慮
組織で常に高いパフォーマンスを発揮してくれる方は全体の2割と言われています。
「努力しているけど成果が上がらない」、「目標は達成するかしないかくらいの安定した結果を常に出している」など、今後の活躍が期待される従業員のモチベーションが下がらないように配慮をしないといけません。
そういった従業員のために「プロセス」や「過去の活躍」と比較して評価することも組織力の底上げには欠かせない要素です。
給与の安定性
インセンティブを設定すると給与が安定しなくなるため、従業員の人生設計に影響が出ます。
結果が出ているときは良いですが、結果が出ないときは不平・不満が出てしまう可能性もあります。
基本給を高めに設定してインセンティブの比率を少なくするのか、基本給を少し下げてインセンティブの比率を高くするのか。
個人の価値観による部分も大きいですが、そういった面も配慮して設定していきましょう。
適用できる職種が限られる
インセンティブは、営業職のように仕事の成果が数字で分かりやすく評価できる部門で運用されることが多いです。
事務や技術が必要とされる職種では運用しにくいという一面もあります。
社内全体が満足できるような体制を整えていくことが大切です。
まとめ
インセンティブは頑張っている社員のモチベーションを上げるためには最適ですが、導入の仕方次第で社内で不満が出る恐れもあります。
組織を強くしていくためにも社内の評価基準や従業員への還元は大切な要素になってくるので、改めて理解して適切に運用していきましょう。