2020年卒の就活の準備は万端ですか。
20年卒は就活ルールに変化がありませんが、これまでと同じ採用フロー&スケジュール、選考基準、ターゲットでいいのでしょうか。
2019年卒の採用のトレンドはどうだったのか、そして20卒シーズンに向けてどんな変化が考えられるのか。
19年卒を振り返りながら、今後の対策についても取り上げたいと思います。
2019年卒学生の就活振り返り
まずは、2019年卒の就活の傾向を簡単に振り返りましょう。
特徴として大きく3つにまとめてみました。
予想以上に動きが早期化
2018年卒シーズンに比べて、採用広報開始前(プレ期)のインターンシップ実施企業が増えました。
2月は例年通り多いですが、その前の1月・12月に実施する企業が増えたことで学生の動きも早くなり、夏季休暇中の8月開催も増加したので、結果的に1月・2月と夏前で大きく2極化しています。
短期決戦
採用広報開始日である3月1日~10日の10日間で前年の総プレエントリー人数の約6割が一気にプレエントリーしていました。
6月上旬時点の累計は昨年減なので、学生はプレエントリ-時点では既に志望する業界・企業を見極め、絞り込んでいたとも言えます。
企業側では、2018年卒シーズンにも見られた「一次面接~最終面接の期間の短縮化」がさらに進み、平均17.4日。
大手・人気企業では平均12.2日と言われているので、2週間以内に決着がついていることになります。
実際に7月時点で学生1人あたりのエントリー社数は平均30.7社。
前年同月と比べて8.9社減少しています。
AIの活用
「AI採用元年」とも言われた2019年卒シーズン。
当初はAIによるエントリーシート選考の活用事例がほとんどでしたが、最近はさらに戦略的になり、マッチング施策にも活用例が増えています。
企業側も模索中だと思いますが、成功事例が増えていけば今後もさらに拡大していくとみられます。
2020年卒 就活スケジュールをチェック!
2020年卒の就活スケジュールについて昨年からの変更はありませんでした。
経団連加盟企業を中心に「3月に採用情報公開(エントリー受付開始)」「6月に面接などの選考開始」ですが、すべての企業にあてはまるものではないため早期から動く学生はこれより前から準備しています。
そして優秀な学生を早く確保したい企業も早期に採用活動を始めますので、全体的に早期化傾向は強まっていると言えます。
実際に経団連に加盟していない企業(外資系、IT系、中堅・中小企業など)の多くの企業は、かなり早い時期から選考&内定出し(内々定を含む)を行っているのが実態です。
株式会社ディスコによる「2019年卒 新卒採用活動に関する企業調査(2018年2月)」では、
●6月より前に選考(面接)を開始する予定…86.3%
●6月より前に内定(内々定含む)出しをする予定…68.8%
という回答を得ています。経団連のスケジュールに捉われずに早期から準備をはじめ、積極的に動いていく必要があるでしょう。
2021年はどうなる?
経団連は、来年2021年卒のスケジュールについて抜本的な見直しを検討すると発表しました。
現在の案は、以下の4つ。
・広報解禁と選考解禁とを一体化
・ルールの緩和
・採用解禁の前倒し
・ルール自体を廃止
2021年卒シーズンは東京五輪開催と被るため、特に関東圏の採用活動の難しさを考慮した場合スケジュール変更はほぼ確実と言われています。
2020年卒 インターンシップの動向
主要インターンシップサイト(リクナビ・マイナビ・キャリタス)から、2020年インターンシップのトレンドを見てみましょう。
実施企業は増加
全体的には、7年連続でインターンシップ実施企業が増加。6月1日時点で前年比1.2倍(1万6000社)を超えました。
学生側でもインターンシップへの意識が高くなっており、特に「1dayインターンシップ」を中心に増えています。
時期は6~9月が増加
実施のピークは8月というのは変わりませんが、夏休み前の6月から開催する企業が増加。
全体的では6~9月に実施する企業が多いです。
期間の短縮化
1dayインターンシップが断トツに多く、全体の7割にあたる延べ1万2000社以上が実施。
2~3日も増えていますが単に短期が良いというのではなく、2週間以上のコースは減っていません。
受入れ環境にもよりますが、さまざまなバリエーションを用意している企業もあります。
内定承諾率の増加
インターンシップを利用する学生が増えていることで、採用広報前のインターンシップ期間に接触した学生の内定承諾率が上がっています。
そういった成果も開催時期の早期化の要因となっているのでしょう。
今後は…
「なんとなく参加」や「社会経験のため」といった理由から、「内定を早く得たい」「就職活動を優位に進めたい」という目的で参加する学生が増えているため、インターンシップの重要性は高まっています。
インターンシップを「会社説明会や選考の一部=就職活動」と捉えている学生がスタンダードになりつつあるようです。
そうすると、実施時期の早期化・積極化はさらに高まっていくのではないでしょうか。
2020年新卒採用を成功に導くポイントは…
就活の早期化が進み早くから内定を得ている学生が増えている一方、内定辞退や早期離職者もまた増加し続けています。
売り手市場といわれているからこそ、学生は順調に内定先が決まると思われがちです。
その傾向は2020年卒シーズンも変わらないでしょう。
その上で採用を成功させるポイントとして、今回は3つ挙げたいと思います。
視野を広げる
たとえば、電子・機械分野では昔から”理系学生”にこだわる傾向がありますが、実際には文系の学生にも十分素質はあります。
なかなか取りにくい理系学生を狙うより募集範囲を広げて入社後に育てた方が将来的にも有益かもしれません。
「文系学生でもエンジニアになれる」をスタンダードにすることで視野を広げられるはずです。
学生の本質を見る
よく聞くのが、「自己主張がしっかりできる学生が良い」という企業。
自己主張が薄いなと感じる学生は、もしかすると自己主張が苦手で自分の考えや意志をうまく表現できないだけなのかもしれません。
良いものを持っていることに気づかずに選考から切り捨ててしまっている可能性はありませんか?
表面だけを見るのではなく、学生の本質(何に価値をおき、何をどう取り組んできたか)をしっかり見て判断できるようになることが大事です。
採用担当者のヒューマンスキルを上げる
いかに学生の本質を見抜けるか、学生の良さを引き出せるか…は採用担当者の「人間力」によるものが大きいと言えます。
今後採用担当者には、学生の魅力を引き出すスキルが求められるでしょう。
会社内の雰囲気やどんな先輩がいるのか…などの環境面を重視する学生は非常に多いので、「採用担当者に惹かれて内定を決めた」というケースは実際とても多いです。
まとめ
経団連のスケジュールに変更はないとはいえ、学生も企業側も年々早期化していくのは2020年卒シーズンも変わらないでしょう。
しかし、早期化の波に乗って学生の本質を見ずに内定出しをしてしまうと、内定辞退や早期離職に繋がる懸念もあります。
採用担当者は、学部や学歴など表面上に捉われすぎることなく、就活生の本質を見定めた採用を行うことで入社後の早期離職防止にもつながっていくでしょう。
単に早まっているのではなく、質的変化も生じていると考えられるため、採用担当者として自身の知見や人間力を養い、企業にとっても採用された学生にとっても満足のいく就活にしてほしいと思います。