人材不足が叫ばれる日本の労働市場において、外国人労働者の受け入れは頻繁に議論されています。

 

また、停滞する国内市場から脱却し、海外への進出を考えている企業にとっても、外国人労働者の確保は成長を加速させる大きなチャンスに繋がる可能性があります。

 

しかし、実際のところ外国人労働者の受け入れ体制が十分に整っていないという企業も少なくないのではないでしょうか。

 

外国人労働者を採用した際、人事として、会社としてどんなフォローをすればよいかまとめました。

 

外国人労働者の受け入れ拡大を発表

2018年12月25日、政府が外国人拡大方針を正式決定しました。

 

これにより、介護、外食などをはじめとした14の業種で4年間に最大34万5150人の受け入れが見込まれており、早いものだと2019年4月から、この新方針による運用がスタートします。

 

今回の方針で、新たに在留資格として特定技能1号と2号が新設されました。

 

特定技能1号は「特段の訓練を受けず直ちに業務が遂行できる水準」を持つ外国人労働者が対象で、介護、外食業、建築業、ビルクリーニング、宿泊業など、現在人手不足に悩まされているような業界もあります。

 

特定技能2号は「監督者として業務を統括し、熟練した技能で遂行できる水準」と、1号に比べるとキャリア層を狙った基準となっており、要件を満たせば家族を帯同した国内永住も可能です。

 

ただ、1号、2号のポイントとなる技能水準の認定試験の実施は、2019年4月時点で「介護」「宿泊」「外食」の3業種にとどまっており、その他の業種においては2020年までずれこむものあります。

 

また、外国人労働者の受け入れにより、人手不足が解消された業種は対象から外される可能性もあり、無制限・万能に外国人労働者を受け入れることができるというものではないようです。

 

総合的対応策によると、14業種共通の日本語能力判定テストは当面、ベトナム、フィリピン、中国、ネパール、モンゴルなど9か国でのみ実施す予定で、より健全な就労を実現していくために来年3月までに、2国間協定を結ぶとしています。

 

現段階では、まだ方針が決まったというだけで、細部に至るまでの制度決定はこれから本格的に議論を進めていくようです。

 

ただ、この方針により、近い将来、介護職やホテル、外食産業などに外国人労働者が増加する可能性は高そうです。

 

採用が決まったら、どんなフォローが必要?

しかし、政府の制度が整い、外国人労働者が日本国内で就労できるようになったとしても、肝心の企業側での受け入れ態勢が十分でなければ、その労働者の本来のパフォーマンスを発揮させることができなかったり、社員が定着しないということになりかねません。

 

では、自社で外国人労働者を採用すると決まった場合、どのような準備やフォローが必要になるのでしょうか。

 

ビザ関連のサポート

まず最も重要なのはビザ関係の申請や更新をクリアにしておくということです。

 

せっかく本人が就労する意思が固まっており、会社としても受け入れ準備を進めたとしても、法律上の問題が発生してしまっては元の木阿弥になります。

 

そうならないよう、在留資格更新許可申請書の記載方法・提出書類・提出方法などをサポートしたり、家族が日本に滞在する可能性があるのであれば、観光ビザや家族滞在ビザの作成方法や更新方法をフォローするなどが必要です。

 

働く本人へのフォロー

業務を行ううえで重要な報連相の再確認や、コンプライアンス教育、衣食住に関連した生活環境のフォローなど、入社してから安心して働ける状況を作ってあげることも大切です。

 

またサ行やタ行は、発音を苦手とする外国人の方もいるので、業務に支障ないよう、日本語のレクチャーを行うことも視野に入れると良いしょう。

 

職場への周知

労働者本人だけではなく、一緒に働くことになる同僚にも、理解を求めておくことが大切です。

 

慣れない日本語でのコミュニケーションへの理解はもちろんですが、文化の違いや食生活の違い、宗教など、普段日本に住んでいると意識しないようなことが、意外な問題に発展する可能性もありますので、そういったことを事前に伝えておくことも大切です。

 

実際に働き始めたら、どんなフォローが必要?

これらの受け入れ態勢を万全に整えたとしても、いざ外国人労働者が職場で就業をスタートすると、様々な課題に直面することでしょう。

 

特に日本語の壁は私たちが思っている以上に、外国人労働者の方には高く厚い壁として立ちはだかります。

 

なかなか日本語の指示が伝わらないというトラブルもよく聞く話ですし、言葉に関する手厚いサポートはかなり重要と言えます。

 

例えば日本語学校に通う費用を負担したり、時間を取って日本語を教えるなど、安心して働けるようになるまで継続的にフォローすることが大切です。

 

また、昇給・昇格などの基準を明確化して、何をすれば本人の立場が上がるのか、評価されるのかを提示していくことも大切です。

 

優秀な外国人労働者であればあるほど、自身の能力を高めたい、評価してほしいと思うのは必然です。

 

そんななかで目標もなく、ただ目の前の業務を淡々とこなしているだけといった仕事では、いずれ会社を離れていってしまうことは想像に難くありません。

 

モチベーションをもって就労し続けてもらうためにも、しっかりと評価基準を開示し、労働者の活躍を評価していきましょう。

 

まとめ

現段階の基本方針では、まだまだ外国人労働者の活躍の場が広いとは言い難いかもしれません。

 

しかし、グローバル化が加速し優秀な人材が国境を越えて活躍している時代にあって、今後、労働市場の多国籍化が進む可能性は十分に考えられます。

 

また、外国人労働者を受け入れられる体制を作ることは、こうした国境をまたいで活躍する優秀な人材を確保できるチャンスにも繋がりますので、人事担当として、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

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