少子高齢化が進んでいる近年では人手不足に悩む企業も多く、求職者よりも求人募集数の方が多い「売り手市場」ということもあり、年々中途採用コストが高くなっています。
即戦力獲得のために中途採用を行う企業は多いと思いますが、「採用コストが高い」と感じている方も多いのではないでしょうか。
中途採用コストは求人メディアの見直しや、採用方法の工夫で削減できるかもしれませんよ。
今回は、中途採用における採用コストの平均やコスト削減方法までご紹介いたします。
中途採用とは?
中途採用とは、すでに就業経験のある人材を採用することです。
年度ごとに行われる新卒採用とは異なり、欠員が出た際や新規事業立ち上げ時のような採用が必要となったタイミングで募集を出します。
企業や職種によっても異なりますが、選考期間は1ヶ月程度と比較的短く、内定から入社までの期間を柔軟に変更できるのが特徴です。
また、年々選考スピードは速くなっており、応募から内定まで1週間以内に決まることも珍しくありません。
つまり、中途採用の特徴は「必要な人材を企業の状況に合わせて柔軟に採用できる」ことですね。
中途採用のメリット
新卒採用はリーダー候補となる人材の確保や企業文化の継承ができるといったメリットがあり、その反面、採用までプロセスが長いことや教育に時間とコストがかかってしまうというデメリットもありました。
では、中途採用にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを見ていきましょう。
即戦力として期待できる
就業経験のある中途採用は、即戦力や管理職として採用することが可能です。
経験やスキル、資格などを募集要項に盛り込んで採用することで、入社後すぐの活躍を期待できます。
急な欠員補充ができる
中途採用は新卒採用とは違い、どの時期でも採用が可能です。
また、選考の対応や入社時期の調整がしやすいため、急な欠員が出た場合にも柔軟に対応可能です。
即戦力採用ならば教育や研修が必要ない
ビジネスマナーや言葉遣いなどの基本的な常識は備わっていると考えられます。
また、同業種からの転職者であれば、業界の知識や業務についての知識もあるため、これらの教育にかかる時間やコストが削減できます。
ノウハウや人脈を獲得できる
同業種で活躍していた人であれば、自社にはない知識やノウハウを獲得できますし、異業種であれば、他業種の経験を活かした思いがけない発想や発見をすることもあります。
また、前職の人脈を利用して、ビジネスチャンスを獲得できる可能性もあります。
多様な採用手法が利用できる
転職サイトへの広告出稿以外にも、人材紹介会社のサービス利用やハローワーク、リファラル採用、ソーシャルリクルーティングなど多様な採用手法が利用できます。
ターゲットや会社の特徴に合わせて、さまざま観点からアプローチできるのがメリットです。
中途採用のデメリット
中途採用には多くのメリットがありますが、経験者や即戦力人材が多いことから生まれるデメリットもあるのです。
では、どのような点がデメリットになるのかを見ていきましょう。
自分のやり方にこだわる傾向がある
中途採用の場合、社会人としての基礎は出来上がっていますが、前職の社風や考え方が浸透していることも多いです。
新しい会社の社風を受け入れにくく、自分なりのやり方にこだわる人もいるため、ミスやトラブルの原因になることもあります。
年齢構成が高くなりがち
中途採用を中心に行っていると、必然的に企業内の年齢構成が高くなります。
企業が安定的に成長していくには、若手人材を確保して育成し、年齢構成をバランスよく保つことが重要です。
「欠員補充時には中途採用を行う」など、目的に応じた採用活動を行いましょう。
すぐに転職する可能性がある
転職経験者は転職に対して抵抗のない人が多いため、すぐに転職してしまう可能性が高いです。
転職の理由はさまざまですが、多くの場合は入社前後のミスマッチが原因になっていることが多いので、入社後のフォローを適切に行うことで早期離職防止につなげましょう。
中途採用の平均コストは?
自社の中途採用に掛かっているコストがどの程度なのかを判断するには、平均コストを知る必要があります。
ここでは、中途採用市場の現状と中途採用の平均コストをご紹介します。
中途採用市場の現状
採用コストは、景気に左右されるためその年毎に変動します。
また、近年は少子高齢化による労働力人口減少の影響もあり、中途採用市場は厳しい状況が続いています。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和元年9月分)について」
厚生労働省の発表した有効求人倍率を見てみると、2019年9月の有効求人倍率は1.57倍。前月よりも0.02ポイント低下したものの、高い水準のまま推移していることが分かりますね。
この求職者数よりも求人募集数の方が多い採用市場を「売り手市場」と呼び、反対に求人募集数よりも求職者数の方が多い場合を「買い手市場」と呼びます。
有効求人倍率を見てもわかる通り、現在は空前の売り手市場になっているため、一人の求職者を複数の企業が取り合う図式になってしまっています。
それにより、企業の採用活動が長引いてしまうため、採用成功のための様々な施策を講じているのです。
特に、大企業と比べて知名度の低い中小企業の採用は厳しい状況にあるため、転職イベントへの参加や積極的な広報を行っている企業も多く、その分採用コストも年々上がっている状況です。
中途採用の平均コスト
マイナビ「中途採用状況調査(2018年)」によると、2018年の中途採用で支払った費用は平均716.9万円となっています。
新卒採用の平均コストは557.9万円なので、全体の平均としては中途採用のコストの方が高めになっています。
しかし、中途採用の平均コストも企業規模ごとに見ると、大きな差があることが分かります。
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従業員300人以上:1290.5万円
従業員60~299人:396.7万円
従業員60人未満:209.0万円
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自社の採用コストが平均より低くても、企業規模で見ると高額になっている可能性があるため、ご注意ください。
また、同調査によると企業が支払った求人広告費の総額は全体で平均284.7万円です。
企業ごとで見ると下記のようになっています。
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従業員300人以上:445.3万円
従業員60~299人:214.9万円
従業員60人未満:119.6万円
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中途採用でのコストの平均と比較してみると、中小企業における採用コストの半分以上を求人広告費が占めていることがわかります。
では、中途採用1人当たりの求人広告費を職種ごとに見てみましょう。
出典:マイナビ「中途採用状況調査(2018年)」
職種によって大きく異なりますが、専門的な知識が必要となる「コンサルタント・金融・不動産専門職」や「ITエンジニア」、人手不足が深刻化しているサービス業などの職種は高くなっていますね。
採用が長引くほど求人広告の出稿期間も長くなるため、コストが高くなるのです。
つまり、求人広告の見直しと採用手法の見直しが採用コスト削減のポイントになります。
中途採用のコストを削減する方法6選
新卒と違い、合同企業説明会や研修を行わないことも多い中途採用のコストは、求人広告出稿費用や人材紹介会社を利用した際の費用が多くを占めています。
ここでは、主に求人広告の見直しと採用手法の見直しによってコストを削減する方法をご紹介します。
ミスマッチを防止する
採用できてもすぐに離職されては意味がありません。
その人を採用するために掛けた費用が無駄になるだけでなく、再び採用活動を行うことになるためコストが余計に掛かってしまいます。
早期離職はミスマッチが原因であることが多いです。
求める人物像を明確にして、自社にマッチする人材を獲得しましょう。
また、事前にネガティブな側面も伝えておくことで、入社後に「聞いていたのと違う」となりづらいためミスマッチ防止につながります。
求人広告運用の見直し
先述のように、採用コスト内で求人広告費の占める割合は非常に多いため、求人広告の運用を見直してスムーズに採用ができれば大幅に採用コストを削減できる可能性があります。
まずは現時点での運用の問題点を把握するために、広告の効果分析をしてみましょう。
課題としてよく挙げられるのは下記の3つです。
それぞれについて問題点と改善策を見ていきましょう。
課題①
閲覧数が少ない
問題点
キャッチコピーがわかりづらい、写真が少ないといった視覚的問題が考えられる
改善策
わかりやすいキャッチコピーに変える、掲載している写真を増やす、社内の雰囲気が伝わりやすい写真を追加するなどパッと見てどんな会社かを想像しやすいようにする
課題②
閲覧数はあるが応募が少ない
問題点
職務内容がわかりづらい、福利厚生が良くないといった条件的問題が考えられる
改善策
職務内容を伝わりやすいように書き換える、福利厚生を含めた条件を見直すなど求職者がより魅力を感じやすいようにする
課題③
応募はくるが理想的な人材が来ない
問題点
求めるターゲットが定まっていないために、求人内容自体がターゲットの求める内容になっていないといった内容的問題が考えられる
改善策
まずは採用したいターゲットを明確にし、そのターゲットが求める求人内容を設定する
上記でも課題が解決しない場合、そもそも使っている求人メディアが自社の採用活動に適していない可能性があります。
求人メディアには多くの種類があり、それぞれ特徴も異なるため、適切な求人メディアが選定できていないと、内容を改善してもうまくいかないなんて事になりかねません。
しかし、それらをすべて把握するのは非常に困難です。
そんな時は、求人広告代理店のような求人のプロに相談すると、自社に適したメディアやその運用方法を教えてくれるのでおすすめですよ。
リファラル採用を行う
求人広告への出稿や人材紹介会社の利用には多くのコストが掛かります。
しかし、既存の社員から知人を紹介してもらうリファラル採用なら、その分のコストをカットできるのです。
紹介してくれた社員へインセンティブなどを支給する企業が多いですが、金額を決めることができるため、それほど高額になることはありません。
また、ミスマッチが起こりにくいというメリットもあるため、離職率を下げる効果も見込めますよ。
ダイレクトリクルーティングを行う
企業が自ら候補者を探し、直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」は、近年、多くの中小・ベンチャー企業で活用されています。
SNSや人材データベースを利用して候補者へ直接連絡を取るため、求めている人物像に近い人材を確保できる可能性が高いのです。
料金形態としては、人材データベースの利用料のみの場合や成功報酬型などがあり、自社に合った方法を選択することでコストを抑えることができます。
ダイレクトリクルーティングの詳細な情報は「攻めの採用、「ダイレクトリクルーティング」とは」をご覧ください。
人材紹介サービスを利用する
人材紹介サービスのほとんどは成功報酬型のため初期費用が掛かりません。
また、企業の採用要件に合う人材を紹介してもらえるため、ミスマッチが起こりにくく離職率を下げることができます。
一般的な紹介料の相場は、入社する人の年収の30%程度です。
人材紹介サービスを利用すれば無駄な広告費が掛からず、候補者とのやり取りや合否連絡などは紹介会社が行うため、担当者の負担が減って内部コスト削減効果もあります。
採用選考のフローを見直す
型にはまった選考フローになっていませんか?
選考フローを見直し、自社に合ったフローに改善することでコストが削減できるかもしれません。
例えば、面接回数が多ければその分採用工程が増えてしまいますし、辞退される可能性も高くなります。
最近では、会社説明をWEBにアップロードした動画で行ったり、一次面接を電話面接により遠隔で行ったりする企業も増えています。
最適な選考フローを設定することで、辞退率の低下や内部コストの削減が見込めますよ。
中途採用に使える求人メディア5選
採用活動を成功させるためには、求人メディアのユーザー属性とあなたの会社で採用したいターゲットの属性がマッチしている必要があります。
しかし、各メディアの特徴を把握するのは大変ですよね。ここでは、中途採用に使える求人メディアの特徴をご紹介します。
リクナビNEXT
会員数916万人と日本最大級の登録データベースを誇る転職サイトです。
幅広い年齢層・職種・居住エリアのユーザーがいるため、理想的な人材に出会える可能性が高くなります。
直接メールでアプローチができるスカウト候補者も多数登録しているため、ダイレクトリクルーティングも可能です。応募数が多いため採用単価を抑えることができます。
【掲載件数】
35,905件(2018年11月現在)
【掲載料金】
18万円~(2週間)
マイナビ転職
570万人の会員数を誇り、常時5,000件以上の求人情報を掲載している業界最大級の転職サイトです。
ユーザーは20代~30代が6割を占め、若手社会人の採用に強みを発揮しています。また、257万人のスカウト登録者へ直接アプローチできるため、ダイレクトリクルーティングを検討している企業にもおすすめです。
【掲載件数】
11,226件(2019年11月現在)
【掲載料金】
20万円~(4週間)
エン転職
600万人以上の会員を有する転職サイトです。
転職口コミサイトと連携しており、会員の約70%が34歳以下と若手層の採用に強みを発揮しています。
予算に関わらずA4サイズ4枚相当の情報量が確保されているため、求職者に企業情報を伝えやすいことも特徴の一つです。
また、日程調整機能や面接前日の応募者へのアラート機能により、選考のスピードアップと面接来訪率アップが期待できます。
【掲載件数】
5,020件(2018年11月現在)
【掲載料金】
多数プラン有
Re就活
第二新卒層に特化した求人メディアです。
会員の9割以上が20代で構成されており、約7割が社会人経験を持っています。
また、Web面接機能を搭載しているため、エリア問わず若手人材を採用したい企業におすすめです。
【掲載件数】
1,064件(2018年11月現在)
【掲載料金】
11.2万円~(4週間)
女の転職type
会員数117万人のほぼ100%が女性で構成されている女性採用の定番メディアです。
ユーザーの約7割は定年または一生涯働きたいと考えている労働意欲の高い女性が多いことが特長です。
正社員・契約社員で長く働きたい女性の採用に強みを発揮します。
【掲載件数】
1,753件(2018年11月現在)
【掲載料金】
20万円~(4週間)
適切な求人広告の運用と新しい採用手法を取り入れて、コストを抑えつつ採用を成功させましょう
求人メディアの選定や広告内容の見直しは採用コストへの影響も大きいです。
求人広告代理店などの求人のプロに相談して見直してみるといいでしょう。
また、中途採用はさまざまな採用手法があり、リファラル採用やダイレクトリクルーティングなどの手法を効果的に取り入れることで、採用コスト削減に繋がる可能性があります。
適切な求人広告の運用と自社に適した採用方法を活用して、コストを抑えつつ採用を成功させましょう。