ピアプレッシャー(同調圧力)とは?メリット・デメリットとプラスに変換するポイント

「ピアプレッシャー(同調圧力)」という言葉をご存じでしょうか。

 

あまり聞き馴染みのない言葉かと思いますが、実は多くの人が日頃から感じているものなのです。

 

空気を読んで発言や行動することは多いですよね。

 

同僚や仲間からの圧力を意味するピアプレッシャーは、「空気を読むこと」にも通じており、和を重んじる日本企業では、ピアプレッシャーが自然に発生しています。

 

ネガティブに捉えられることも多いですが、良い方向に働けば大きなメリットを得られるものでもあるのです。

 

今回は、ピアプレッシャーについての解説と、メリット・デメリット、プラスに変えるポイントをご紹介します。

 

ピアプレッシャー(同調圧力)とは?

ピアプレッシャー(同調圧力)とは、仲間から受けるプレッシャーのことです。

 

同僚・仲間を表す(peer)と圧力を意味する(pressure)から成る言葉で、自分の所属する組織やチームの仲間との間で生まれる心理的圧力を言います。

 

日本企業は和を重んじる傾向があるため、協調性を重視した働き方が根付いており、海外よりもピアプレッシャーが強く作用しやすいです。

 

ピアプレッシャーは、「迷惑をかけないようにしよう」という心理が働くため、生産性向上やチーム内の信頼関係構築などのプラスの効果を得ることができます。

 

しかし、ピアプレッシャーが過度に働くと「皆残業しているから自分だけ先に帰れない」「チームで仕事すると気疲れしてしまう」など、仲間と一緒に仕事をすること自体がストレスになることもあります。

 

ピアプレッシャーにネガティブな印象を持つ人もいますが、適度に働けばメリットも大きいため、一概にピアプレッシャーが悪いとは言えません。

 

ピアプレッシャーの2つの要素

ピアプレッシャーには「相互監視」と「相互配慮」の2つの要素があります。

 

この2つがバランス良く働くことで、生産性の向上などの効果を得られます。

 

相互監視

相互監視は、仕事ぶりや経過を互いに観察することで緊張感が生じます。

 

適度に働けば程よい緊張感から、「モチベーション向上」や「責任感が強まる」などの効果をもたらしますが、過不足があった場合は下記のような事態が発生します。

 

過度

過度な競争が発生し、人間関係悪化に繋がる

 

不足

無関心になることで緊張感がなくなり、モチベーションやパフォーマンスが低下する

 

相互配慮

「仲間に迷惑をかけたくない」などの配慮から、互いに協調やサポートをし合うようになるため、チームの連帯感が強くなります。

 

適度に働けば連帯感が強まりメンバー同士でフォローし合うため、「ミス防止」や「業務効率アップ」などの効果をもたらしますが、過不足があった場合は下記のような事態が発生します。

 

ピアプレッシャーの効果を得るには、2つの要素がバランスよく働くことが重要ということですね。

 

過度

配慮しすぎて長時間労働や気疲れし、ストレスが溜まる

 

不足

関心が薄れてフォローしなくなり、ミス発生や業務効率の悪化に繋がる

 

ピアプレッシャーのメリット・デメリット

先述したように、ピアプレッシャーは適度に働けば大きなメリットを得られますが、過不足があるとデメリットも発生します。

 

ここでは、ピアプレッシャーが適度に働いたときのメリットと、過不足があったときのデメリットを見ていきましょう。

 

適度に働いたときのメリット

ピアプレッシャーが適度に働くと、

  1. パフォーマンスの向上
  2. 生産性が向上する
  3. チームワークが良くなる
  4. 職場の心理的安全性が高まる

といったメリットを得られます。

 

ネガティブなイメージが強いピアプレッシャーですが、どうしてこのようなメリットが得られるのか、それぞれ見てみましょう。

 

パフォーマンスの向上

ピアプレッシャーが適度に働いているときは、程よい緊張感や連帯感の強まりから、メンバー全員が責任感を持って自分の役割を果たそうと尽力します。

 

一人ひとりの仕事の質が上がるだけでなく、互いにサポートし合うため、全体として従業員のパフォーマンスが向上します。

 

生産性が向上する

ピアプレッシャーが適度に働けば「迷惑をかけないようにしよう」という心理から、仕事に対する責任感や意識、モチベーションが高まります。

 

また、互いの仕事を気にかけることで、ミスの防止やフォローをし合うようになるため、業務効率が上がり生産性が向上します。

 

チームワークが良くなる

ピアプレッシャーが適度に働いている状態では、チームの連帯感が強まります。

 

関心を持って互いの仕事を観察するため、負担の偏りやミス防止の配慮をしやすくなります。

 

仲間同士で協力し合い、切磋琢磨しながら仕事をするため、メンバー間の信頼関係構築に役立ち、チームワークが良くなります。

 

職場の心理的安全性が高まる

必要以上の批判や激しい叱責などの攻撃的な言動を抑制できる点も、ピアプレッシャーの適度な働きによって得られるメリットです。

 

攻撃される心配が少なくなると「この場所は安全」だと思え、臆さずに意見を言ったり、安心して仕事に励んだりできます。

 

心理的安全性が高まることで、離職率の低下も期待できます。

 

過不足があるときのデメリット

では、ピアプレッシャーが過剰に働いたり、不足したりすると、どのようなデメリットが生じるのでしょうか。

 

萎縮してパフォーマンスが低下する

ピアプレッシャーが過度に働くと、「迷惑をかけてはならない」という心理が強くなります。

 

必要以上にミスを恐れて萎縮してしまい、新しい取り組みや決断ができなくなるため、パフォーマンス低下に繋がります。

 

苛烈な競争で強いストレスが溜まる

互いに仕事ぶりを監視している状態は、仲間同士で能力や成果を比較することがよくあります。

 

適度であればパフォーマンスを引き上げることに繋がりますが、ピアプレッシャーが過度に働くとメンバー間の競争が激化するため、ストレスが溜まる原因になります

 

チームワークが悪化する

ピアプレッシャーが不足していると互いの関心が薄れ、個人主義になりがちです。

 

そのため、仕事の偏りやミスに気付きにくくなり、フォローが遅れます。

 

フォローし合えない環境では信頼関係の構築は難しいため、チームワーク悪化に繋がります。

 

不足すると、手抜きが発生しやすくなる

ピアプレッシャーが不足すると相互監視が弱すぎる状態となり、手抜き仕事をしている人を誰も注意しなくなります。

 

誰も注意しなければ手抜きは容認され、それどころか「あの人が手抜きしているのなら、自分もそうしよう」と考える人も多くなるでしょう。

 

手抜きをする人が増えれば、職場全体で仕事の効率や質が落ちてしまいます。

 

ピアプレッシャーが注目されている背景

ピアプレッシャーの注目される背景はさまざまですが、ここでは下記2点に焦点を当てて解説していきます。

  1. 成果主義への移行による競争激化

  2. 長時間労働の一因

 

成果主義への移行による競争激化

終身雇用が前提とされた日本企業では、「能力主義」の評価が主流でした。

 

一般的に能力は経験を積んでいくことで向上すると考えられているため、協調性やコミュニケーション能力を重視した年功序列的な昇給・昇格になりやすいです。

 

一方、目標達成度など個人の業績を評価する「成果主義」では、協調性やチームワークよりも成果を重視しています。

 

成果重視によって連帯感が弱まり仲間との競争が苛烈になるため、強い緊張状態を生み出しているのです。

 

そして、仕事に対する過度な緊張はメンタルヘルス不調の原因となっています。

 

長時間労働の一因

日本では深刻な少子高齢化が進んだことで、人手を確保するためにフレックスタイム制などの働き方改革が促進されています。

 

その中でも長時間労働是正は重要な課題となっていますが、ピアプレッシャーが過度働くと「皆が残業しているから帰れない」という心理状態から、残業するケースも少なくありません。

 

ピアプレッシャーは、成果主義への移行によるメンタルヘルス不調や、長時間労働の一因として注目されています。

 

しかし、チームや組織で働く以上ピアプレッシャーは必ず発生するので、上手く活用することが重要なのです。

 

ピアプレッシャー を活用するための施策

ピアプレッシャーを上手に活用できれば、大きなメリットを得られます。

 

ここからは、適度なピアプレッシャーを維持し、上手に活用するための施策をご紹介します。

 

1on1やメンター制度を導入する

ピアプレッシャーの活用には、上司と部下での1on1や先輩と後輩によるメンター制度が有効です。

 

上司としては作業進捗を確認できるだけでなく、部下が困っていることや不安なことを、把握しやすくなります。

 

また、部下や後輩は振り返りを行う機会につながります。こまめにフィードバックやアドバイスももらえるため、成長スピードも高まるでしょう。

 

定期的に報告や情報共有をすることでコミュニケーションも活発化するほか、相互理解も深まるため、ピアプレッシャーの活用に効果的です。

 

360度評価を取り入れる

360度評価とは、1人の社員に対して複数の社員が評価を出す制度です。

 

1人からの評価では主観が入ったり、評価する人の好みや価値観が入ったりして、正当な評価が出ないことがあります。

 

一方で360度評価を取り入れると、さまざまな側面が見えるとともに、第三者視点での客観的な評価が出しやすくなります。

 

また、評価するためには対象者との関わりが必要になるため、社員同士でのコミュニケーションが活発になり、相互理解を深めるきっかけになることも特徴です。

 

 評価制度を見直す

現在採用している評価制度が原因で、ピアプレッシャーが不足していたり過度に働いていたりすることがあります。

 

たとえば、

  1. 評価制度が公平ではないと感じる社員が多い
  2. 過度な競争心を掻き立てている
  3. ズルをして高評価を得ている人がいる

といったケースです。

 

公平かつ適度な競い合いができ、全員が同じルールの元で評価を受けられる環境を整えれば、適度なピアプレッシャーを維持しやすくなります。

 

ピアプレッシャーをプラスに変えるポイント

先述したように、チームや組織で働く以上ピアプレッシャーは必ず発生します。

 

ピアプレッシャーを活用できるよう、プラスに変えるポイントを見ていきましょう。

 

自分の強みを確立しよう

成果主義へ移行したことにより、「キャリアビジョンを明確にして能力開発などの強みを確立すること」が重要視されています。

 

自分の強みを確立すれば目標達成や自信を持つことに繋がるため、自分の価値が上がり、ピアプレッシャーにも負けません。

 

モチベーションに変えよう

成果主義に移行しているといっても、得意な分野をサポートし合うことで業務効率が良くなるため、チームワークは重要です。

 

周囲からの評価を気にしすぎて萎縮するのではなく、「自分の強みをどのようにチームへ活かすか」を目標にすることで、モチベーションに変えられます。

 

コミュニケーション能力を磨こう

相互監視と相互配慮という周囲との関係性によって、ピアプレッシャーは発生します。

 

例えば「自分だけ早く帰れない」と思っていても、周りは気にしていないことは多々あります。

 

本人が意識しすぎてプレッシャーを感じているケースもあるため、適度に自己主張と協調を行い、周囲と適切な距離感を保つことが大切です。

 

譲れる部分は協調し、譲れない部分はきちんと説明して相手の理解を得られれば、必要以上にプレッシャーを感じることはありません。

 

協調と主張を適度に行えるように、コミュニケーション能力を磨いて、周囲との関係性を良好に保ちましょう。

 

ピアプレッシャーを上手に利用して職場を活性化しよう

仲間からのプレッシャーを意味する「ピアプレッシャー」は、チームや組織で仕事する場合、必ず発生するものです。

 

ピアプレッシャーはストレスの原因にもなりますが、上手く働けばモチベーションアップや生産性向上などの効果を得られます。

 

プラスに変えるポイントを参考に、ピアプレッシャーを活用してメリットを最大限に引き出しましょう。

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