人手不足が深刻化している近年、採用競争は激化の一途をたどっています。

 

そんな中、採用活動が上手くいかないと感じている企業も多いのではないでしょうか。

 

もしかすると、採用計画が上手く立てられていないことが原因かもしれません。

 

しかし、「採用計画の立て方がわからない…」「具体的に何から始めればいいの?」という方も多いと思います。

 

今回は、採用計画立案の具体的な方法を解説していきます。

 

採用計画立案に活用できる便利なフォーマットもご紹介していきますので、ぜひご覧ください。

 

採用計画とは?採用計画の必要性について

採用計画とは、企業の目標を達成させるために、適切な人材を採用・配置する計画です。

 

採用計画は、事業成功を目指して人材補充する計画であるため、経営方針や事業計画に基づいて設計する必要があります。

 

具体的には、

 

・どの部署へ

・いつまでに

・どのような人を

・何人

・どういった方法で採用するか

 

を明確にして計画を立てていきます。

 

採用計画に課題があると採用自体ができなかったり、ミスマッチ採用の原因になったりするため必要とされているのです。

 

採用計画の必要性は増している

採用計画の必要性が増した主な原因として、「労働力人口の減少」「新卒採用スケジュールの変更」「売り手市場の影響」が挙げられます。

 

労働力人口の減少

現在、日本では深刻な少子高齢化によって労働力人口が減少し続けており、企業は少なくなった働き手の中から、優秀な人材を確保しなくてはならない状況です。

 

 

引用:総務省「我が国の高齢化の推移と将来推計

 

上図でも明らかなように、今後も日本の労働力人口は減少すると予想されることからさらに採用難が続くと考えられます。

 

新卒採用スケジュールの変更

新卒採用スケジュールの変更も、採用計画の必要性が増した要因として挙げられます。

 

加熱する採用活動による学業への悪影響を懸念した経団連が、2016年「採用選考に関する指針」を変更したため、採用スケジュールが後ろ倒しになりました。

 

これにより、広報・選考活動の期間が以前よりも短縮され、思うように採用できない企業が増えたのです。

 

売り手市場の影響

少子高齢化や景気回復などの影響によって、空前の売り手市場が続いています。

 

事実、2019年12月の有効求人倍率は1.57倍と、バブル期のピークである1990年7月の1.46倍を上回っている状況です。

 

また、リクルートワークス研究所の発表した大卒求人倍率は、1.83倍(2020年卒)となっています。

 

このように、求職者有利である売り手市場のため、内定を出しても辞退されてしまったり、入社しても早期離職してしまったり、人材が定着しないことも挙げられるのです。

 

企業や採用市場を取り巻く状況が厳しい今だからこそ、採用計画の必要性は増していると言えるでしょう。

 

採用計画を決定する前にやるべきこと

採用を成功させるには、採用計画を立てる前に3つのステップを踏む必要があります。

 

ここでは、採用計画を立てる前にやるべきことをご紹介します。

 

1.事業計画の把握

採用計画は事業計画に基づいて設計する必要があります。

 

中長期的な事業計画と照らし合わせて、「どのような人材が・何人必要となるか」検討します。

 

まずは、必要となる人員数を割り出しましょう。

算定方法は、「マクロ的算定法(トップダウン)」と「ミクロ的算定法(ボトムアップ)」の2種類があります。

 

マクロ的算定法(トップダウン)…会社全体で必要な人員数を算出する方法

ミクロ的算定法(ボトムアップ)…現場で必要な人員数を算出する方法

 

マクロ的算定法とは、「労働分配率」「売上高」「付加価値」「人件費率」「損益分岐点」などを踏まえ、人件費と採算から算定する方法です。総額人件費から算出された人員数を、各部門・部署へ振り分けて配置します。

 

ミクロ的算定法とは、職務分析や業務量を検討し、各部門・部署で業務を遂行するには何人必要か、算出していく方法です。

 

「マクロ的算定法」「ミクロ的算定法」どちらも利用することで、

 

・コスト面に重点を置きすぎて、現場が人手不足になる

・必要人員を積み上げすぎて人件費が増大する

 

といった双方の欠点を補えるため、人員数を適正に把握できます。

 

一般的には、大枠の計画をマクロ的算定法で作り、その範囲内でミクロ的算定法によって人員計画を立てる方法が用いられます。

 

2.採用課題の把握

次に、これまでの採用実績を振り返り、自社の採用課題を把握します。

 

具体的には、

 

・採用目標に対する達成率

・各選考段階での予定と実際の活動との乖離

・スキルや人物面など、採用した人材への満足度

 

を確認することで、「どこに、どういった課題あるのか」が見えてきます。

 

例えば、応募があっても面接辞退が多く出ている場合、候補者への連絡スピードや対応に課題がある可能性が考えられます。

 

内定辞退者が想定以上に出ていた場合は、内定者フォローや魅力付けの不十分さなど、内定段階に課題があると言えるでしょう。

 

また、入社後の人物評価を現場にヒアリングすることで、次回以降のミスマッチ採用を防止することもできます。

 

このように、採用課題を把握するには、採用活動中のみならず入社後も振り返ることが重要なのです。

 

3.採用競合他社の調査

採用で成果を出すには、競合他社の調査も重要です。

 

「競合他社」と聞くと、同業をイメージする人が多いと思いますが、採用市場における競合他社は、同業だけではありません。

 

業種や職種、地域など、ターゲットとなる求職者の志望軸によっては、あらゆる企業が競合になり得ます。

 

数ある求人の中から求職者に選ばれるには、強みや魅力といった自社の優位性をアピールし、他社と差別化を図ることが重要です。

 

まずは、求職者がどの企業と比較しているのか、自社の採用競合を知るところから始めましょう。

 

では、自社の採用競合とは、どのような方法で調べたら良いのでしょうか。

 

自社の採用競合を知る方法は、「新入社員や外部へのヒアリング」「企業口コミサイトの利用」「求人広告代理店への情報収集」の3つが挙げられます。

 

新入社員や外部へのヒアリング

つい最近まで就職活動を行っていた新入社員や、就職活動中の候補者にヒアリングしてみましょう。

 

記憶が新しい内にヒアリングすることで、新鮮な情報を入手できます。

 

例えば、

 

・どのような企業に応募した(している)か

・応募フォームに応募中の企業名について記載する欄を設け、任意で書いてもらう

・印象に残っているHPや説明会、面接など

・最終的にどのような企業と比較検討したか

・自社に入社を決めた理由

 

などをヒアリングすると、調査対象を絞り込めます。

 

口コミサイトの利用

就職・転職などの口コミサイトでは、在籍中の社員や退職者、選考を受けた人のリアルな声を確認できます。

 

具体的には、

 

・応募や選考を辞退した理由

・内定辞退の理由

・入社後に感じたギャップ

・退社理由

 

といった点に注目して、情報を集めましょう。

 

社員や候補者との面談・面接では聞き出せなかった内容が書いてあることも多いため、課題把握や改善にも役立ちます。

 

求人広告代理店への情報収集

ヒアリングする対象が社内にいない場合や、口コミも少なく情報が不十分な場合もあるでしょう。

 

そのような場合は、自社で調査をせず、求人広告代理店などのプロへ自社の競合がどういった企業なのか、相談してみてください。

 

自社で調査した企業が採用競合ではなかった場合、時間だけが掛かって結果に結びつかないという事態にもなり兼ねません。

 

求人広告代理店には、

 

・自社がバッティングすることの多い企業の特徴や傾向

・他社で取り組んでいる採用方法

・エントリーが増えた募集内容の実例

 

といった内容をヒアリングし、情報を集めましょう。

 

採用計画立案の具体的な方法

事前準備を行ったら、採用計画の立案を行います。

 

それでは、採用計画立案の具体的な方法を見ていきましょう。

 

1.採用目的を明確化させ、採用ニーズを把握する

採用を成功させるには、採用目的の明確化と採用ニーズの把握が重要です。

 

事業計画や経営戦略に基づいて「何のために採用するのか」目的を明確にさせることで、自社にとってどういった人物が必要なのかが、見えてきます。

 

また、新規事業立ち上げに伴う人材の募集と、将来企業リーダーとなる人材を募集するのとでは、採用ニーズは異なりますよね。

 

中途で即戦力となる人材を採用するのか、新卒でリーダーの素質がある人材を育成するのか、といったニーズを把握しましょう。

 

明確化した目的とニーズを把握すれば、

 

・いつまでに

・どのような人物が

・どこに

・どれくらい必要なのか

 

といった採用計画の軸が決まります。

 

採用活動の中で生じがちなズレを防止でき、求める人物像の明確化に繋がります。

 

2.求める人物像の明確化

次は、採用目的と採用ニーズから見えてきたイメージを「求める人物像」として明確化させます。

 

・年齢

・性別

・学歴や職務経歴

・性格

・志向性

・行動特性

 

などを具体的に決めていきましょう。

 

求める人物像を具体的に設定するほど、募集要項へ落とし込めるため、条件にマッチする応募者の獲得やミスマッチ採用の防止に繋がります。

 

詳細は、採用活動に必須の「ペルソナ」とは?設定方法やその効果をご紹介にてご確認ください。

 

また、部署や職種によって必要とされるスキルや能力は異なるため、人物像の使い回しは辞めましょう。

 

3.評価方法と選考方法の検討

綿密な採用計画を立てても、応募者を見極められなくては意味がありません。

 

求める人物像が決まったら、どのような方法で見極めるか、評価方法と選考方法を検討しましょう。

 

評価方法を決定するには、能力や適性、経験、意欲といった求める要素を細分化し、「MUST(必須)要件」「WANT(希望)要件」に分類していきます。

 

———-

【MUST】

・コミュニケーション能力(異なる意見の相手との折り合いを付けられる)

・営業経験5年以上

・○名以上のチームリーダー経験

 

【WANT】

・マネージャー経験

・法人営業経験

———-

 

コミュニケーション能力といっても、「スムーズに意思疎通をはかれる」「ニーズを聞き出すことができる」など、人によってイメージする内容は様々です。

 

上記のようにできる限り、具体的に評価方法を決定することで、認識を統一させましょう。

 

要件が決定したら、それをどのように見極めるか選考方法を検討します。

 

選考方法は、求める人物像や採用コストによって異なります。

下記の選考法を参考に、人物像の見極めに適した組み合わせを検討してみてください。

 

【書類選考】

能力や経験、意欲などを判断

 

・エントリーシート

・履歴書・職務経歴書

・自己PR

など

 

【筆記試験】

能力や適性などを判断

 

・性格検査

・基礎能力検査

・時事問題

・小論文

・専門知識試験

など

 

【面接選考】

総合的に応募者を評価

 

・個人面接

・集団面接

・グループディスカッション

・グループワーク

・ディベート

など

 

このように、選考方法には様々な種類があり、判断できる要素は異なります。

 

「コミュニケーション能力なら性格検査や面接を通して判断する」など、各項目に適した選考法を検討し、採用基準となる合格ラインを設定してください。

 

選考方法と合格ラインが決まったら、面接チェックシートへ反映させましょう。

 

なお、応募者の見極めに有効な質問は「良い人材を見極める、面接で有効な質問」にてご紹介しています。

 

4.採用方法の選定

続いて、どのような方法で求める人材を集めるか、採用方法を選定しましょう。

 

採用方法の選定は、成果に大きく関わってくるため、重要なポイントです。

 

採用方法は、

 

・求人広告

・人材紹介/人材派遣

・説明会

・自社ホームページ

・SNSの活用

・リファラルリクルーティング(紹介)

・ハローワーク

・学校の就職課

 

のように様々で、最適な採用方法は求める人材や採用したい人員数、選考期間によって異なります。

 

例えば、キャリア層が欲しいのに学校の就職課へ求人票を出しても意味がありませんし、社員の人脈を利用するリファラルリクルーティングでは、多くの人材を獲得できないでしょう。

 

また、求人広告へ掲載する際は、求人媒体の特徴に合わせて選定しないと思うように応募者が集まりません。

 

このことからも分かる通り、求める人材の属性や年齢、経験年数などを考慮した上で、最適な採用方法や媒体を選ぶ必要があるのです。

 

また、自社ホームページに採用ページを設けると、説明会開催情報やキャリアパス、風土といった内容を自由に掲載できるため採用コスト軽減に繋がります。

 

5.採用スケジュールを作る

最後に、募集から入社までの大まかな採用スケジュールを作成します。

 

自社の採用スケジュールの他にも、利用するエージェントのスケジュールや必要な準備なども予定に書き込んでおきましょう。

 

・○/○までに求人広告掲載用の取材を行う

・○/○までに説明会用の資料を作成する

 

といったタスクを採用スケジュールに組み込み、タスクごとに担当者を決めてください。

 

スケジュールを作成しておくと、「いつまでに・誰が・何をしておかなくてはならないのか」や繁忙期を把握できるため、余裕を持って準備に取り組めます。

 

また、予定が確定したら、その都度内容を更新しましょう。

 

進捗管理にもなるため、タスクの抜け漏れを防止できます。

 

採用計画立案に利用できるフォーマット

採用計画では、

 

【採用目標・予算】

・募集背景

・市場調査

・予算・採用単価

・求める人物像

 

【評価方法・選考方法】

・選考プロセス

・評価シート

・プロセスごとの評価・合格ライン

 

【採用方法】

・採用方法や媒体の選定

・採用活動に掛かるコスト

 

【採用スケジュール】

・掲載期間

・選考期間

・研修期間

 

のような項目を管理します。

 

採用担当者や経営者、現場社員など、採用活動は関係者が多いため、これらをしっかりと管理しないとトラブルの原因となります。

 

採用に関する情報を一括で管理できる「採用管理システム(ATS)」の導入がおすすめですが、ATSの導入にはコストが掛かりますよね。

 

そこで、今回はExcelやGoogleスプレッドシートが無料で提供しているフォーマットを代用する方法をご紹介します。

 

Excelの無料テンプレート

Excel内に多数用意されている無料テンプレートを活用しましょう。

 

利用方法は、

 

①Excelを立ち上げる

②ファイル

③新規

④テンプレート検索

 

の順に進めていくと、テンプレートの検索が可能です。

 

ガントチャートやプロジェクト管理シートなどを代用することで、管理しやすくなります。

 

下記のように利用媒体ごとに作成し、必要に応じて項目を追加していきましょう。

 

採用方法

コスト

採用数

資金状況

ステータス

担当

コメント

開始

終了

備考

求人広告代理店A

100万円

10

調達済み

進行中

○○

取材準備

YY/MM/DD

YY/MM/DD

 

 

 

Googleスプレッドシート

GoogleスプレッドシートもExcel同様、無料で利用できるテンプレートが豊富に用意されています。

 

Googleを開き、

 

①右上の四角いアイコンをクリック

②スプレッドシートをクリック

③テンプレートギャラリー

 

から、テンプレートの検索が可能です。

 

ガントチャートなどの無料テンプレートが用意されているので、活用されてみてはいかがでしょうか。

 

Googleスプレッドシートは、Googleアカウント保有者であれば誰でも利用・共有できるため、Excelよりも管理しやすいです。

 

また、インターネット環境さえ整っていれば、いつでもどこからでも、編集・保存を行えるため、更新漏れ防止やリアルタイムな情報共有を行えます。

 

【おまけ】採用競合調査代行サービス

先述した通り、採用活動を成功させるには、自社の採用競合となる企業について入念な調査が必要です。

 

しかし、採用競合の調査は手間も時間も掛かるため、通常の業務に加えて行うのは困難でしょう。

 

また、誤った調査をしていては、結果に繋がらないばかりか時間を浪費することにもなり兼ねません。

 

手間の掛かる競合調査を求人広告代理店などのプロに任せてしまい、戦略的な採用方法の選定や面接などのコア業務に集中した方が、効率よく採用活動を進めていけます。

 

また、求人広告代理店を利用すれば、ターゲットへの訴求を高めた求人広告の作成や見直しまで依頼できるため、採用活動に慣れていない企業や確実に成果を出したい企業は、一度利用してみると良いでしょう。

 

採用成功のカギは採用計画が握っている

採用を成功させるには、採用実績の振り返りや求める人物像の明確化、スケジュール作成といった綿密な採用計画を立てることが重要です。

 

人的リソースの足りない企業は、採用競合の調査のように時間と手間の掛かる工程を広告代理店などのプロへ相談したり、ATSを導入したりすることで、業務効率化を図るのも検討してみてもいいかもしれません。

 

ご紹介した内容をもとに採用計画を立案し、採用成功を目指しましょう。

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