特に中小企業において、慢性的な人手不足に陥っている企業は多いのではないでしょうか。
「ずっと求人広告を出しているのに応募が来ない」「応募は来るが、求めている人材ではないため採用までいかない」など、採用における悩みは多岐にわたります。
しかし、求人広告を出す際にちょっとした工夫をするだけで、応募者数も応募者の質もガラッと変わるかもしれません。
今回は、求人広告を出しているにもかかわらず応募が来ない原因とその対策についてご紹介していきます。
求職者が応募する際に重要視する項目とは?
応募者が集まらない原因を探すにはまず、求職者が何を求めて応募をするのか知る必要があります。
正社員、アルバイト・パートの求人を見て応募する人が何を重要視しているのか、それぞれみていきましょう。
正社員の求人を見ている人が重要視する項目
まずは正社員の重要視する項目についてみていきましょう。
以下のグラフはエン・ジャパンが転職希望者に聞いた転職時に重要視する項目についての調査結果です。
参考:エン・ジャパン「転職希望者のホンネ調査 2015」
これをみると、正社員に応募する人が重要視する項目としては「仕事内容」が71%と最も多く、次に「年収」が62%、「労働時間・休日数」が43%と続いています。
これにより、正社員は採用条件よりも自分がやりたい仕事に就きたいという傾向が強いことがうかがえます。
アルバイト・パートの求人を見ている人が重要視する項目
次に、アルバイト・パートに応募する人が重要視する項目についてみていきましょう。
以下のグラフはエン・ジャパンがアルバイト情報サイトの利用者(30代のみ)に聞いた希望する働き方についての調査結果です。
参考:エン・ジャパン「アルバイト探しの重視ポイント」
これをみると、アルバイト・パートに応募する人が重要視する項目としては短期。長期といった「勤務期間」が66%と最も多く、次に「給与額」が53%、「勤務地」が44%と続いています。
年代によって多少差はあるものの、重要視する項目としては上記が多くなっていました。
これにより、アルバイト・パートは仕事内容よりも採用条件をより重視する傾向が強いことがうかがえます。
求人を出しているのに応募が来ない原因6つ
求職者が応募をする際に重視する項目がわかったところで、具体的に応募が来ない原因についてみていきましょう。
今回は、考えられる原因を6つ挙げましたので、当てはまる項目がないか探してみてくださいね。
少子高齢化による求職者数の減少
現在、少子高齢化により労働人口が著しく減少しています。
つまり、求人を見てから応募する人の割合が変わっていないとしても、そもそも求人を見る人数が減っているために、結果として応募する人数も減ってしまっているということです。
これからの求人では、より魅力的な求人内容で応募率を増やしたり、コストをかけて露出を増やしたりすることで求人を見る人を増やすなどの対策が必要になるでしょう。
求人メディアの多様化による求職者の分散
大手の「マイナビ」、「リクナビ」はもちろんのことですが、現在はその他にも数多くの求人メディアが存在します。
求職者はそれらの求人メディアすべてを見ているわけではありません。
せいぜい2つ3つで探す程度の求職者がほとんどなのです。
また、現在では求人広告に頼らない採用手法も増えていることから、一つの求人メディアに対する求職者の数は減少傾向にあるといえるでしょう。
そのため、複数のメディアに求人を出したり、より露出が増えるような対策だったりが必要になってくるのです。
求人内容の質の低さ
あなたの会社の求人原稿は常に更新をしていますか。
前に出した原稿をそのまま流用してはいませんか。
求職者の要望は日々変化しています。
ずーっと同じ原稿を使い続けている場合、すぐに原稿の更新をすることをおすすめします。
同業他社の原稿や他社の原稿を見て、今の求職者は何を求めているのか、どういったキャッチが響くのかなどしっかり調査をし、魅力的な求人内容となるよう工夫しましょう。
会社が求める条件と求職者が求める条件のバランスの悪さ
会社としてはあれもこれもできる優秀な人材がなるべく低い給与で働いてくれることが一番理想だと思います。
しかし、当然ながら求職者はそれに見合った対価を求めます。
つまり、高いスキルや能力を要求するのであれば、それだけ好条件にしないと応募はしてくれないということです。
また、他者がより好条件の求人を出している場合は他者に取られてしまう可能性が高いです。
同業他社も含めた市場調査をしっかりと行い、会社の条件も求職者の条件も満たせるような内容にする必要がありますね。
HPなどオウンドメディアの更新頻度の低さ
HPやパンフレット、採用サイト、SNSなど、会社が運営しているメディアはさまざまありますが、放置になっているものはありませんか。
求職者は会社に応募をする前にその会社のことを徹底的に調べています。
その会社が運営しているメディアが全く更新されずに放置されていたら、少なくともいい印象は持たないですよね。
逆に、しっかりとデザイン性もメッセージ性もあるサイトを運営していれば、その会社を魅力的に感じてくれるはずです。
更新していれば応募が来るというわけではありませんが、少しでもあなたの会社が魅力的であることを伝えるためにも、しっかりと更新しておくことをおすすめします。
求人メディアの選定ミス
多くの求人メディアが存在していますが、それぞれ得意な分野はことなります。
とにかく利用社数が多く、たくさんの人材にアプローチができる大手メディアがあれば、ITやエンジニアの利用者が多いメディア、利用者のほとんどが女性のメディア、若者の利用者が多く、第二新卒に力を入れているメディアなどそれぞれに特色があるのです。
つまり、営業を採用したいのに、エンジニアに特化した求人サイトを利用していては効果が低くなってしまうように、求人メディアの選定も応募者の獲得に大きく影響するということです。
以前から利用しているから、安いから、有名な企業が運営しているからといった理由で求人メディアを選定している場合は、再度メディアの選定から見直してみるのもいいかもしれませんね。
求人を成功させルための対策3つ
応募が来ない原因をご紹介しましたが、当てはまるものはありましたか。
では、ここからどうしたら応募が集まるのかについてご説明していきます。
求人広告の内容を見直す
先述したように、求人内容は応募が来ない原因の一つとして挙げられます。
求人を直す際に重要になるのが、「求職者目線で見直す」ということです。
求人原稿をみるのは求職者です。
当然、求職者が魅力であると感じる内容でない限り応募はしてくれません。
いかに求職者が魅力的に感じてくれるかということを念頭に置いて見直すようにしましょう。
見直す際のポイントとしては、
・求人内容の記載が5W1Hに沿ったものになっているか
・条件面が同業他社と比較してどうか
・同業他社がどのメディアを使っているのか
などが挙げられます。
求人内容の記載が5W2Hに沿ったものになっているか
情報伝達時は5W2Hを意識して話すと伝わりやすくなると言われていますが、求人原稿でも同じことがいえます。
これを求人内容に当てはめると、例えば営業職募集の場合、
・いつ(When)⇒勤務時間(〇時~〇時)
・どこで(Where)⇒就業場所(本社、支店など)
・だれが(Who)⇒1名orチーム
・なにを(What)⇒商材
・なぜ(Why)⇒やりたいけど時間がないお客様のお手伝いをするため
・どのように(How)⇒テレアポ、飛び込み、ルート営業など
・どのくらい(How many)⇒1日20件ほど電話、5~10件ほど訪問など
といった内容になります。
これだと基本的な知りたいことの漏れがなくなり、より伝わりやすい内容にすることができます。
条件面が同業他社と比較してどうか
もし、同じ業界で同じような仕事内容の会社があった際に、片方がとてもいい条件だった場合、どちらに応募しますか。
当然、条件のいい会社に応募しますよね。
同業他社とは仕事内容が被りやすいため、しっかりと調査をして見劣りしない条件設定をすることが大事です。
もちろん、必ずしもそろえる必要はありませんし、条件は多少劣っていても他で魅力付けをするという方法もあります。
しかし、同業他社とは必ず比べられているということを忘れないようにしましょう。
同業他社がどのメディアを使っているのか
応募が来ない原因にも書いた通り、求人メディアの選定は応募者の獲得に大きな影響を与えます。
求める人物像がいないメディアでどれだけ高校を出しても、そもそも見る人がいないので応募数は集まりません。
ではどの求人メディアを使ったらいいのかということですが、こういう時こそ同業他社を参考にしましょう。
同業他社が多数掲載している求人メディアはそれだけ自分の業界に興味ある人が利用している可能性が高いからです。
同業他社はライバルでもありますが、貴重な情報源でもあるため必ず参考にするようにしましょう。、
求人広告代理店に相談する
求人広告について一番詳しいのは誰か、それは求人広告代理店です。
業種、職種を問わず、数多くの求人広告を見て、その効果も知っています。
過去にどんな事例があったのか、どういった対策をすれば応募者が増えるのか、そういったノウハウも数多く持っているはずです。
当然、担当になる人によってそのレベルが違うということはありますが、社内にはきっと詳しい人がいるはずですので、色々と相談に乗ってもらうといいでしょう。
採用手法自体を見直す
採用難が続く現在、企業は様々な工夫によって乗り越えようと奔走しています。
その中の一つとして、求人広告以外の採用手法の利用が挙げられます。
現在、様々な採用手法が出ています。
SNSを利用したソーシャルリクルーティングや社員に求職者を紹介してもらうリファラルリクルーティングなどが代表的ですね。
もしかすると求人広告による採用が向いていないなんて可能性もあります。
視野を広げ、様々な採用手法も試してみると、採用成功にもつながるかもしれませんね。
ソーシャルリクルーティングについては「ソーシャルリクルーティングとは?」、リファラルリクルーティングについては「リファラル採用とは?メリット・デメリットと成功させるコツをご紹介」で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
求人に頼らず人手不足を解消する方法も?
どれだけ求人方法を改善しても人手不足が改善しないという会社では、もしかすると人を補充する以外の対策を行う必要があるかもしれません。
非常に技術が発達した現在では、業務を効率化する方法がたくさんあります。
例えばAIの導入です。
AIに業務を任せることができれば、その分人手が空くので他の業務に手を付けることができます。
近い未来、人間の仕事の6割はAIでまかなえてしまうとさえ言われているのですから、単純作業であればAIを利用するのは一つの方法といえるでしょう。
また、AIとは違いますが、業務の自動化という点でRPAの導入は非常に効果的だと考えられます。
RPAというのは、Roboric Process Automation(ロボットによる業務自動化)の略で、単純業務を自動化して生産性を上げる手法となっています。
できることは主に、単純な提携業務が主となっており、データの収集・分析や自動入力、その他業務補助などもできます。
RPAは人為的ミスを減らしたり、24時間稼働させたりもできるというメリットもあるので近年注目されているのです。
その他にもクラウドソーシングによる部分的な依頼なども人手不足解消の手段といえるでしょう。
外部リソースを使う場合はコストもかかるため、採用コストと比べてどうかなど、費用対効果をしっかりと見極めたうえで利用する必要がありますね。
AIとかRPAとかオンラインアシスタント、クラウドソーシングなどなど~
まずはなぜ応募が来ないのか分析し、その上で自社に合った対策を練りましょう!
応募が来ないのには必ず理由があるはずです。
この記事を参考に原因を洗い出し、それに対して対策を練ることで応募数を増やしていきましょう。
また、求人に頼らない対策を試してみるのもいいかもしれませんね。