
会社の電話対応は、お客様との最初の接点であり、企業の第一印象を左右する重要な役割を担っています。
電話一本で会社の信頼が築かれたり、反対に失われたりすることもあるため、適切な電話応対スキルは、新人からベテラン社員まで、すべての担当者にとって不可欠なビジネススキルといえるでしょう。
この記事では、電話応対の基本マナーから、電話の受け方・かけ方の具体的なフローまでを解説します。
さらに、いざという時に役立つ困ったときの対処法や、デリケートなクレーム対応まで、あらゆる場面で役立つ実践的なマニュアルを詳しくご紹介します。
【1】電話応対の基本と心構え
電話応対は、声だけで企業の印象を決定づける重要なビジネススキルです。
対面とは異なり表情が見えない分、声のトーンや言葉遣いが信頼関係を築く鍵となります。
「電話は会社の顔」という自覚を持ち、相手の時間を尊重した誠実な対応を心がけることが何よりも大切です。
まずは、好印象を与えるための基本的な心構えから確認していきましょう。
1-1. 明るい声でハキハキと話す
電話応対において、声のトーンや話し方は、対面でのコミュニケーション以上に相手に与える印象を大きく左右します。
なぜなら、電話では表情が見えないため、声が唯一の感情表現であり、話している人の人柄や会社の雰囲気を伝える手段となるからです。
暗い声や不明瞭な話し方は、相手に不安や不信感を与えてしまいかねません。
そこで意識していただきたいのが、「普段話す声よりもワントーン高め」で「ハキハキと」話すことです。
声を明るくするためには、口角を少し上げて話すのが効果的です。口角を上げると自然と表情が明るくなり、それが声にも反映されて、より明るく元気な印象を与えられます。
1-2. ビジネスシーンにおいて「もしもし」はNG
ビジネス電話の応対で「もしもし」という言葉を使うのは避けるべきです。
「もしもし」は、元々電話が普及し始めた頃に「申す、申す」が変化した言葉で、相手に呼びかけるための略式の表現です。
親しい間柄での私的な会話には問題ありませんが、フォーマルなビジネスシーンではふさわしくありません。
具体的な第一声のフレーズとしては、「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇でございます」が基本となります。
さらに、部署名や担当者名を加えて、「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇、△△部の佐藤でございます」と名乗ると、より丁寧で分かりやすいでしょう。
1-3. 自社の人間に敬称・敬語はつけない
ビジネスにおける電話応対では、「内・外(うち・そと)」の区別を意識することが非常に重要です。
特に社外の相手に対し、自社の人間(上司や同僚を含む)に敬称や尊敬語を使わないのが正しいマナーとされています。
これは、お客様や取引先といった社外の方を「立てる」ための配慮であり、自社の人間は「身内」としてへりくだるという考え方に基づいています。
たとえば、お客様から「山田部長はいらっしゃいますか?」と尋ねられた場合、NGな答え方は「山田部長はただいま席を外しております」です。
正しい応対は、「(部長の)山田はただいま席を外しております」となります。
役職名をつけるのは構いませんが、「部長」の後に「様」などの敬称はつけず、あくまで呼び捨てにするのが社外に対する適切な表現です。
また、自社の人間について話す際に「〇〇様がおっしゃっていました」ではなく、「〇〇が申しておりました」と謙譲語を用いるのも同様の理由からです。
新入社員の方にとっては、上司に敬称をつけないことに最初は抵抗があるかもしれませんが、これはお客様への最大の敬意を示すためのビジネスマナーです。
1-4. 電話応対は数をこなして慣れていくことが必要
電話応対は、座学で知識を学ぶだけでなく、実際に経験を重ねることで上達していくスキルです。
最初のうちは、電話が鳴るたびに緊張したり、何を話せば良いか戸惑ったりすることもあるかもしれません。
しかし、回数をこなすうちに自然と自信がつき、スムーズかつ的確な対応ができるようになります。
実践的なトレーニングとしては、社内でのロールプレイングが非常に有効です。
上司や先輩に協力してもらい、お客様役になってもらって実際の会話をシミュレーションすることで、とっさの対応力や応用力を養うことができます。
また、マニュアルやスクリプトを声に出して読んでみるのも良い練習になります。
声に出すことで、不自然な言い回しがないか、聞き取りやすいスピードかなどを確認でき、本番で淀みなく話すための準備が整います。
1-5. 会社の顔となることを自覚して丁寧に対応する
電話応対をおこなう一人ひとりが、「会社の代表」であるという強い自覚を持つことは、非常に重要です。
お客様にとって、電話応対者は「会社の声」そのものであり、その対応ひとつで企業全体のイメージが決まってしまうからです。
たった一人の応対者の不適切な言動や対応が、会社全体の信頼を損ない、顧客離れや事業機会の損失につながりかねないリスクを常に認識しておく必要があります。
反対に、電話の向こうのお客様に対し、常に丁寧で誠実、そして的確な応対を心がけることで、顧客満足度を大いに高めることができます。
お客様は、丁寧な言葉遣いや親身な姿勢から「この会社はしっかりしている」「安心して取引できる」と感じ、企業に対する好意や信頼感を抱くようになるでしょう。
【2】電話の受け方とマナー
電話を受ける際は、待たせない迅速さと正確な聞き取りが求められます。
ここでは、受話器を取ってから取り次ぎ、通話を終えるまでの具体的な一連の流れと、失礼のない対応手順について解説します。
2-1. 電話が鳴ったら3コール以内に出る
ビジネス電話では「3コール」がお待たせしてしまったかどうかの境界線とされています。
呼び出し音が鳴ったら、作業を中断して即座に受話器を取りましょう。
もし3コール以上鳴ってしまった場合は、第一声に謝罪の言葉を添えるのがマナーです。
相手にストレスを与えないスピード感が、企業の信頼度を高めます。
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コール数 |
対応の目安 |
第一声の例 |
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1〜2コール |
理想的。明るく出る |
「お電話ありがとうございます、〇〇商事でございます」 |
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3コール以上 |
お待たせしたとみなす |
「大変お待たせいたしました、〇〇商事でございます」 |
2-2. 相手が名乗る前に社名と名前を伝える
電話に出る際は「もしもし」は使用せず、相手が名乗るのを待たずに自ら名乗りましょう。
こちらが先に「会社名」と「自分の名前」をはっきりと名乗ることで、相手は「間違い電話ではない」と安心し、スムーズに用件を切り出すことができます。
第一声は普段より少し高めのトーン(「ソ」の音階)を意識すると、明るく好印象に伝わります。
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NG対応 |
OK対応 |
理由 |
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「もしもし」 |
「お電話ありがとうございます」 |
ビジネスでは不適切 |
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相手が名乗るまで無言 |
自分から名乗る |
間違い電話への不安を解消 |
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暗い・低い声 |
明るい声(ソの音) |
歓迎の気持ちを表現 |
2-3. 相手の会社名や名前を聞き、要件を復唱しながらメモを取る
相手の社名や名前は聞き間違いが起こりやすいため、必ず復唱確認をおこないながらメモを取ります。
記憶に頼らず記録に残すことで、伝言ミスを防ぎます。特に数字や日時はトラブルの元になりやすいため、重点的に確認しましょう。
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確認項目 |
チェックポイント |
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誰から |
会社名、部署名、役職、氏名(漢字も確認) |
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誰へ |
指名された担当者名 |
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用件 |
折り返し希望か、伝言か、急ぎか |
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連絡先 |
折り返し先の電話番号 |
2-4. 担当者に取り次ぐ場合は電話の保留ボタンを押す
担当者が近くにいる場合でも、受話口を手で塞いで呼ぶのはマナー違反です。
こちらの話し声や周囲の雑音が相手に聞こえてしまう恐れがあるため、必ず「保留ボタン」を使用します。
また、保留時間が長引く(30秒以上)場合は、一度保留を解除し、「確認に時間がかかっておりますので、折り返しいたします」と提案するのが親切です。
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アクション |
マナー違反の例 |
正しい対応 |
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取り次ぎ |
受話口を手で塞いで叫ぶ |
保留ボタンを押してから呼ぶ |
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長時間保留 |
30秒以上待たせ続ける |
一度出て折り返しを提案する |
担当者が不在の時は状況を伝え、折り返す旨を伝える
担当者が不在の場合は、単に「いません」と伝えるのではなく、「なぜ不在なのか」という状況を丁寧に伝え、折り返しの電話を提案します。
ただし、具体的な行き先や個人の携帯番号などは、セキュリティの観点から伝えないよう注意が必要です。
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状況 |
伝え方のフレーズ例 |
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会議中 |
「申し訳ございません。あいにく〇〇は席を外しております(会議に入っております)」 |
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外出中 |
「あいにく〇〇は外出しておりまして、〇時頃戻る予定でございます」 |
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別の電話中 |
「あいにく〇〇は別の電話に出ております」 |
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休み・退社 |
「あいにく〇〇は本日(休みを頂いて・退社して)おります」 |
2-5. 相手が受話器を置いてから受話器を置く
電話は「かけた方が先に切る」のが原則ですが、ビジネスでは「目下の人(受注側)が後から切る」のがマナーです。
相手が切ったことを確認してから受話器を置きます。
もし相手がなかなか切らない場合は、指でフック(電話機のボタン)を静かに押して通話を切ってから受話器を戻すと、ガチャンという不快な音を相手に聞かせずに済みます。
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手順 |
動作 |
目的 |
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1 |
相手が切るのを待つ |
礼儀正しさを示す |
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2 |
切れない場合はフックを押す |
静かに通信を切断する |
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3 |
受話器を置く |
騒音(ガチャン)を防ぐ |
2-6. 担当者に電話の内容を伝える
電話を切った後は、速やかに担当者へ内容を伝えます。
担当者が在席していれば口頭で伝えつつメモを渡し、不在の場合はデスクに伝言メモを残すか、チャットツール等で報告します。
「急ぎ」の案件かどうかも必ず添えましょう。
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伝達手段 |
ポイント |
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伝言メモ |
目につきやすい場所に貼る。風で飛ばないように注意。 |
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メール・チャット |
外出中の担当者へ。件名に【電話あり】と入れ重要度を明示。 |
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口頭 |
緊急時やニュアンスを伝えたい時。メモと併用する。 |
【3】電話のかけ方とマナー
電話をかけることは、ビジネスにおいて日常的におこなわれるコミュニケーション手段ですが、受け方と同様に、かける側にも守るべきマナーと手順があります。
特に、相手に失礼なく、かつスムーズに用件を伝えるためには、かける前の「準備」が非常に重要になります。
3-1. 電話をかける前に伝えたいことをメモにまとめておく
電話をかける前に、伝えたい内容をメモにまとめておくことは、非常に重要な準備です。
この一手間をかけることで、話の脱線を防ぎ、伝え漏れをなくし、結果として通話時間を大幅に短縮できます。
これは自分のためだけでなく、相手の貴重な時間を奪わないという配慮にもつながります。
具体的には、まず電話をかける目的を明確にし、挨拶の言葉、自社の会社名と氏名、要件の核心、確認したい事項を箇条書きで整理しましょう。
さらに、相手からの想定される質問に対する回答も準備しておくと、いざという時に焦らず対応できます。
たとえば、「株式会社〇〇の佐藤です。先日お問い合わせいただいた△△の件でご連絡しました。
進捗状況はいかがでしょうか」といったように、具体的な会話の流れを想定したメモを作成することで、自信を持って電話をかけることができます。
3-2. 電話をかける時間帯に注意する
電話をかける際には、相手の状況に配慮し、迷惑にならない時間帯を選ぶことが大切です。
一般的に避けるべき時間帯はいくつかあります。
まず、始業直後(午前9時から10時頃)は、朝礼やメールチェックなどで多忙なことが多く、相手の業務を中断させてしまう可能性があります。
また、昼休み(正午から午後1時頃)も食事や休憩の時間であるため、避けるのが賢明です。
終業間際(定時前30分から定時以降)も、業務の締めくくりや退社準備で忙しい時間帯です。
これらの時間帯を避けることで、相手にゆとりを持って話を聞いてもらいやすくなります。
比較的つながりやすい時間帯としては、午前10時から正午、午後2時から午後5時頃が目安です。
ただし、相手の業種や役職によっては、繁忙期や会議の多い時間帯など、さらに具体的な配慮が必要な場合もありますので、可能であれば事前に調べておくと良いでしょう。
3-3. 電話がつながったら会社名と名前を名乗る
電話がつながったら、まずはこちらから会社名と氏名を明確に名乗るのがビジネスマナーの基本です。
これは、相手に「誰からの電話か」をすぐに伝え、安心感を与えるために非常に重要になります。
具体的なフレーズとしては、「いつもお世話になっております。株式会社〇〇の佐藤と申します」といった基本の形が一般的です。
この際、ハキハキと聞き取りやすい声で伝えることを意識しましょう。
もし初めての相手であれば、「初めてご連絡させていただきます。株式会社〇〇の佐藤と申します」と付け加えると、より丁寧な印象を与えることができます。
これにより、相手は安心して用件を聞く準備ができますし、電話番号の間違いがないかどうかの確認も速やかにおこなうことができます。
3-4. 担当者に代わったら再度会社名と名前を名乗り、要件を伝える
電話が担当者に取り次がれた場合、一度名乗っているからといって、そのまま話し始めるのは避けましょう。
取り次いだ人が詳細を伝えているとは限りませんので、目的の担当者の方に代わったら、改めて会社名と氏名を名乗ることが丁寧な対応です。
たとえば、「〇〇様、いつもお世話になっております。株式会社〇〇の佐藤です」と、改めて自己紹介をします。
そのうえで、「ただ今、少々お時間よろしいでしょうか?」と相手の都合を尋ねる一言を添えてから用件を話し始めるのが、ビジネスマナーの基本です。
相手が今、電話に対応できる状況かどうかを確認することで、相手への配慮を示すことができます。
この一連の流れが、スムーズなコミュニケーションへとつながります。
3-5. 担当者が不在の時は、折り返しを希望するか、伝言を伝える
電話をかけた際に、目的の担当者が不在だった場合、どのように対応するかが重要になります。
まずは、担当者がいつ頃戻るのかを確認しましょう。
「〇〇様は、何時頃お戻りになりますでしょうか?」と尋ねるのが一般的です。
そのうえで、こちらからかけ直すか、担当者からの折り返しを依頼するか、または伝言を残すかの選択肢を考えます。
もし折り返しを希望する場合は、「恐れ入りますが、お戻りになりましたら△△までお電話いただくようお伝えいただけますでしょうか」と明確に伝えます。
この際、こちらの会社名、氏名、連絡先、そしてできれば用件の概要も簡潔に伝えるようにしましょう。
伝言を残す場合は、要点を分かりやすく伝え、相手が電話対応に集中できるよう配慮することが大切です。
3-6. 受話器を静かに置く
用件が終わり電話を切る際には、最後の印象を良くするためにも、丁寧な対応を心がけましょう。
感謝の言葉を述べた後、静かに受話器を置くことが大切です。
「お忙しいところありがとうございました。失礼いたします」といった締めくくりの挨拶を忘れずにおこないましょう。
かけた側から先に電話を切るのが一般的ですが、相手が顧客や目上の方である場合は、相手が電話を切るのを待つという配慮も必要です。
こちらが先に「ガチャン」と受話器を置くと、相手に冷たい印象や不快感を与えてしまう可能性があります。
最後まで丁寧な印象を保つことで、ビジネスにおける信頼関係を損ねることなく、円満に電話を終えることができます。
【4】電話応対で困ったときの対応方法
電話応対中に予期せぬ状況に直面すると、新人の方はもちろん、経験者でも一瞬戸惑ってしまうことがあります。
しかし、そのような「困ったとき」の対応こそが、お客様からの信頼を勝ち取るチャンスにもつながります。
このセクションでは、よくある困りごとを具体的な状況に分けて、どのように対応すればよいか、明確なフレーズとともにご紹介します。
4-1. 相手が名乗らないとき
電話口の相手がなかなか名乗ってくれない場合、どのように対応すれば良いか迷うことがあるかもしれません。
しかし、詰問するような口調では相手に不快感を与えてしまいます。
相手に失礼なく、かつ必要な情報を得るためには、クッション言葉を用いた柔らかい表現を心がけましょう。
たとえば、「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」や、「失礼ですが、どちら様でいらっしゃいますか」といったフレーズは、相手への配慮を示しつつ、自然に名乗ることを促すことができます。
これにより、相手を不快にさせることなく、円滑に会話を進めるための重要な第一歩を踏み出せるでしょう。
4-2. 相手の声が小さくて聞き取れないとき
電話応対中に相手の声が小さかったり、回線状況が悪かったりして聞き取れないことはよくあります。
このような場合、相手に「声が小さい」と直接伝えるのは失礼にあたる可能性があります。
相手を責めるニュアンスを与えないように配慮し、状況を改善するための伝え方を工夫しましょう。
「申し訳ございません、お電話が少々遠いようでございます。恐れ入りますが、もう一度お聞かせいただけますでしょうか」のように、電波や回線のせいにすることで、角を立てずに聞き返すことができます。
4-3. 相手の名前や伝言を聞きそびれたとき
一度お聞きしたはずの相手のお名前や、重要な用件を聞き逃してしまったり、うっかり忘れてしまったりすることは、誰にでも起こりうることです。
しかし、曖昧なままにしておくと、伝言ミスや失礼につながる可能性が高まります。
このようなときは、正直に、かつ丁寧に聞き直すことが最も誠実な対応です。
「大変申し訳ございません。失念してしまいましたので、もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」や、「恐れ入ります、念のためご用件を再度お聞かせいただけますでしょうか」と率直に謝罪し、改めて確認を求めることで、後の大きなトラブルを防ぐことができます。
その場で聞き直す勇気は、プロフェッショナルな電話応対において非常に重要な要素となります。
4-4. 相手の質問にすぐに答えられないとき
お客様からの質問が専門的であったり、社内で確認が必要な内容であったりして、その場で即答できないケースは多々あります。
このような状況で、不確かな情報や推測でその場しのぎの回答をするのは、最も危険な行為です。
誤った情報を伝えてしまうと、お客様からの信頼を失い、さらに大きなクレームにつながる可能性があります。
「申し訳ございません。その件につきましては、正確な情報をお調べいたしますので、改めてこちらから折り返しご連絡を差し上げてもよろしいでしょうか」と伝え、一旦電話を切って正確な情報を確認してから対応するべきです。
その際、「〇時頃までには折り返しご連絡いたします」といった具体的な目安を伝えることで、相手に安心感を与えることができます。
安易な回答をせず、確認して確実に伝える姿勢が、信頼構築につながります。
【5】クレーム電話の対応方法
クレーム電話への対応は、企業の危機管理能力が問われる非常に重要な場面です。
お客様からの不満や怒りの電話は、単なる迷惑行為ではなく、会社が抱える課題を教えてくれる貴重な機会でもあります。
初期対応の目的は、問題を即座に解決することではなく、まずお客様の感情を鎮め、真摯に話を聞くことにあります。
5-1. まずは話を聞いて状況を理解する
クレーム対応において最も重要な第一歩は、お客様の話を遮らずに、最後までじっくりと「傾聴」することです。
お客様はまず、抱えている怒りや不満、困り事を吐き出したいという強い感情を持っています。
この段階で反論したり、言い訳をしたりすることは、お客様の感情をさらに逆撫でし、事態を悪化させる原因となります。
まずは、「さようでございますか」「ごもっともでございます」「大変お困りのことと存じます」といった共感的な相槌を打ちながら、お客様の言葉一つひとつに耳を傾けましょう。
この際、お客様が伝えたい事実関係や経緯、具体的な要望などを正確にメモすることが大切です。
5-2. クッション言葉用いて相手を落ち着かせる
お客様の感情が高ぶっている場合、まずはその気持ちに寄り添い、冷静さを取り戻してもらうための「クッション言葉」や共感の表現を使うことが非常に効果的です。
事実関係の確認や具体的な対応策を提示する前に、お客様の不快な感情に対して真摯な姿勢を示すことが、その後の対話をスムーズに進める土台となります。
たとえ自社に非がなくとも、「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」とお客様の心情に寄り添うことが重要です。
これは事実に対する謝罪ではなく、相手の状況への配慮を示すものです。
「おっしゃる通りです」と一度受け止めることで、お客様は「理解された」と感じて冷静になり、その後の解決がスムーズになります。
5-3. 非がある場合は謝罪し、非がない場合は上長に相談して代わってもらう
クレーム内容に対する対応は、状況によって大きく二つの分岐点があります。
一つは、明らかに自社に非がある場合です。
この場合は、まず誠心誠意謝罪することが不可欠です。
「この度は、大変申し訳ございませんでした」と明確に非を認め、お客様の感情を受け止めたうえで、原因の究明と再発防止策、そして具体的な今後の対応策を提示します。
謝罪は迅速かつ丁寧におこない、お客様が納得できる解決策を提示することで、信頼の回復に努めましょう。
もう一つは、自社に非がない場合や、担当者一人では判断が難しいケースです。
このような場合、安易な謝罪は避けるべきです。
不用意な謝罪は、かえって自社の責任を認めたことになり、後々のトラブルや不利益につながる可能性があります。
【6】電話応対でよく使う言葉
電話応対は、会社の印象を左右する重要な業務です。相手に失礼なく、スムーズにコミュニケーションを取るためには、適切な言葉遣いを身につけることが欠かせません。
このセクションでは、電話応対の質を格段に向上させる「チートシート」として、特に役立つ言葉遣いをまとめました。
正しい敬語表現や、会話を円滑にする「クッション言葉」を習得するだけで、よりプロフェッショナルで丁寧な印象を相手に与えることができます。
6-1. よく使う敬語表現
ビジネス電話応対において、敬語は相手への敬意を示す基本であり、信頼関係を築くうえで不可欠です。
特に、尊敬語(相手を高める)、謙譲語(自分をへりくだる)、丁寧語(丁寧な表現)の使い分けは難しく感じられるかもしれませんが、頻出表現をマスターすれば、より洗練された印象を与えることができます。
新入社員の方が特に間違いやすい基本の動詞について、ビジネスシーンに適した変換表を作成しました。
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日常語 |
尊敬語(相手の動作) |
謙譲語(自分の動作) |
丁寧語 |
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言う |
おっしゃる |
申す・申し上げる |
言います |
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聞く |
お聞きになる |
伺う・拝聴する |
聞きます |
|
行く |
いらっしゃる・おいでになる |
伺う・参る |
行きます |
|
いる |
いらっしゃる・おいでになる |
おる |
います |
|
する |
なさる |
いたす |
します |
|
わかる |
おわかりになる |
承知する・かしこまる |
わかります |
|
見る |
ご覧になる |
拝見する |
見ます |
|
来る |
いらっしゃる・おいでになる |
参る・伺う |
来ます |
|
与える |
くださる |
差し上げる |
与えます |
|
もらう |
お受け取りになる |
いただく・頂戴する |
もらいます |
これらの敬語を自然に使いこなすことで、相手との円滑なコミュニケーションを図り、ひいては企業全体の信頼感向上に貢献できます。
6-2. クッション言葉
「クッション言葉」とは、依頼や質問、お断りなど、相手にとって負担になる可能性がある内容を伝える際に、前置きとして挟む言葉です。
これを使用することで、唐突な印象を和らげ、相手への配慮を示すことができます。ビジネス会話の潤滑油として、状況に応じた使い分けが求められます。
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クッション言葉 |
使用シーン |
文例 |
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恐れ入りますが |
依頼・尋ねる |
「恐れ入りますが、少々お待ちいただけますでしょうか」 |
|
お手数ですが |
手間のかかる依頼 |
「お手数ですが、資料を送付いただけますでしょうか」 |
|
申し訳ございませんが |
謝罪・お断り |
「申し訳ございませんが、担当者は席を外しております」 |
|
差し支えなければ |
控えめな質問 |
「差し支えなければ、ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか」 |
|
失礼ですが |
個人の特定 |
「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」 |
適切なクッション言葉は、断りづらい状況や踏み込んだ質問をする際の不快感を軽減します。相手の心理的な壁を取り除き、建設的な対話を築くための必須スキルです。
【7】まとめ|マナーを覚えれば電話応対は怖くない
この記事では、電話応対の基本から応用まで、実践的なマナーと対応方法をご紹介しました。
電話応対は、会社の顔としてお客様と直接コミュニケーションを取る重要な業務です。
最初は緊張するかもしれませんが、正しいマナーや手順を身につけ、準備をしっかりおこなえば、誰でも自信を持って対応できるようになります。
ご紹介した電話の受け方・かけ方のフロー、困った時の対処法、そしてクレーム対応の具体的なフレーズや心構えは、日々の業務にすぐに役立つものばかりです。
これらの知識を基に、ぜひ貴社独自の電話応対マニュアルを作成し、社内で共有してみてください。
マニュアルを整備し、応対品質を標準化することで、お客様からの信頼獲得、ひいては企業価値の向上に大きく貢献できるでしょう。
電話応対は「慣れ」の部分も大きいです。
積極的に実践を重ね、記事内でご紹介したフレーズや対応方法を繰り返し使うことで、きっと電話応対への苦手意識を克服し、プロフェッショナルな対応ができるようになるはずです。
お客様に「この会社に電話して良かった」と感じていただけるような、質の高い電話応対を目指しましょう。


