オフィス改善の重要性

従来、日本のオフィスは『対向島型』と呼ばれる配置が主流でした。

 

部署ごとに机を向かい合わせに連結して、ひとつの島を構成するレイアウト方式として知られ、電話や隣席の社員との会話が共有されやすく、コミュニケーションを活発にするのに有効だと言われています。

 

ただし、向かい側の席の人と目が合い、一人で集中したいときなどは不向きという特徴もあります。

 

こうした事例を取って見ると、例えばクリエイティブを発揮する働き方を社員に望むのであれば、少人数でフランクに打ち合わせできるスペースを『対向島型』の配置とは別に設けるといった施策が考えられます。

 

ただし、オフィスのレイアウトを改善して、すぐに業務効率が改善するかといえば、事はそう単純ではありません。

 

では、どのようなにオフィス環境を改善していけばいいのか。

 

独自の取り組みを行っている大手企業三社の事例を見ていきましょう。

 

オフィスの改善点(1)「楽天」の事例

2015年の夏に、楽天は拠点を品川から二子玉川に移しました。

 

同社の新拠点は「楽天クリムゾンハウス」と呼ばれ、オフィスだけでなく、カフェやライブラリ、ヘアサロン、託児所、フィットネスクラブといった様々な施設を内包しています。

 

グループの拠点をひとつに

同社のファシリティマネジメント課で課長を務める高橋朋之さん曰く、移転の目的は社員の生産性を高めるためだったとのこと。

 

移転プロジェクトがスタートしたのは2013年。

 

買収などを通じたグループの拡大に伴って子会社のオフィスが点在していることに不便を感じ、楽天グループとしてひとつの拠点を構えることにしたといいます。

 

従業員が出社するメリットを感じられるオフィスに

ICT技術の進歩によって、在宅ワークを行う人が増えていますが、楽天では「家よりも会社で仕事した方が生産的」と、従業員に感じてもらえるオフィスを目指しました。

 

三食無料の食事をビル内で食べられるようにしたり、上下に昇降するデスクを設けたりといった施策によって、社内アンケートにおける「従業員満足度」の数値がオフィス移転前より改善したといいます。

 

オフィスの改善点(2)「アマゾンジャパン」の事例

「Amazon.co.jp」でおなじみのアマゾンジャパンは、施設の利便性はもちろん、デザイン性にも特筆すべき点が数多くあります。

 

ユニークなデザインや部屋の名称

例えば、エレベーターの扉にアマゾンが商品を配送する際に使う段ボールのデザインが施されています。

 

アマゾンジャパンの社内はこうした遊び心にあふれており、会議室の名称に国内外の河川の名前を使うといった試みがなされています。

 

同社では各自のデスクはあるものの、基本的には社内のどこで仕事をしてもいいとのことで、趣の異なるフリースペースで作業することにより、仕事に変化をつけられるというメリットが見込めます。

 

社風や理念を示すデザイン

アマゾンは創業当初、自宅のガレージで仕事をしていたことで知られ、不要になったドアをもらってきてそれを足につけ、机代わりにしていたといいます。

 

アメリカの本社ではそれを模したドアデスクを利用しており、同社の倹約精神の象徴となっています。

 

このように、オフィスの工夫によって自社の理念や経営陣のメッセージを社員に発信することもできるでしょう。

 

オフィスの改善点(3)「LINE」の事例

2017年4月、新宿ミライナタワーに拠点を移したLINEでは、スペースデザイン専門のチームがオフィスのレイアウトやデザインを決めています。

 

リラックスしつつ、生産性を高める

新オフィスのテーマは「リビングファクトリー」。

 

リビングはリラックス、ファクトリーには生産性を高めるという意味が込められており、二つのトピックを両立するレイアウト・デザインが施されています。

 

生産性の面では、自席に行く際、必ずワークラウンジかコミュニケーションラウンジのいずれかを通る設計を施し、社員同士のコミュニケーションが活発になるよう促しています。

 

リラックスの面では、広々としたカフェやマッサージルームのほか、畳を配した通称「ゴロ寝スペース」などを設けています。

 

オフィスの至るところにマスコットキャラクター

受付に始まり、来客エリアやトイレのマーク、社内カフェのPOPに至るまで、LINEのキャラクターが使われています。

 

特に来客エリアではどこの通路から来てもキャラクターが目に入るよう配置されているとのことです。

 

社内外の方にマスコットをアピールするのも、企業に親しんでもらう戦略のひとつと言えるでしょう。

 

まとめ

ここまでご紹介してきた事例をすべて実践することは難しいですが、コミュニケーションが自然と生まれるような雰囲気づくりや企業ブランドの周知といった目的で、オフィス環境を工夫することは企業規模を問わず行えます。

 

オフィス環境を変える際は、人事・総務の間だけで決めるのではなく、事前に各部署の意見を汲み取り、ニーズを把握した上で行うようにしましょう。

 

それぞれの考えに重きを置き、多くの従業員に親しまれるオフィスを形作ることができれば、生産性を上げつつ、企業独自の風土を生み出すこともできるようになるでしょう。

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