書類や面接等、従来の採用方法で「求職者がどういった人物なのか」を見極めることに疑問や難しさを抱いている採用担当者も多いでしょう。
適切な人材を獲得すべく独自の採用手法に乗り出した企業をご紹介します。
貴社の採用課題解決に向けて、これらの取り組みを参考にしてみてはいかがでしょうか。
ユニーク採用のメリット
そもそも独自の採用手法を取り入れるメリットはどこにあるのでしょうか。
一つは『話題性』を生みやすいことが挙げられます。
1人でも多くの人の目に触れることで、自社へのマッチング度合いが高い人材に出会えるチャンスが拡がります。
場合によっては、業界にネガティブな印象を持っていた求職者のイメージを変えることにも繋がるでしょう。
もちろん話題性だけではありません。求職者の『素顔』に迫りやすいという点も大きなメリットです。
会社のありのままの姿を見せ、なおかつ求職者本来の姿を知ることで、より自社に合った人材を獲得しやすくなります。
内定の承諾率を上げたり、入社後のミスマッチを防いだりするメリットも。
結果として、採用活動の生産性を上げることに繋がります。
ユニーク採用の利点を踏まえた上で、次項からは実際の採用施策の事例を見ていきましょう。
例1:株式会社カヤック
IT企業のカヤックはこれまで、2017年4月1日限定で実施された“経歴詐称”でエントリーできる「エイプリル採用」など、いくつもユニークな採用キャンペーンを展開してきました。
新たな一手として取り入れたのが、ゲーム好きな求職者に向けた『いちゲー採用』です。
その中身はゲームの上手さで、内定を出すというもの。
選考には三種類あります。
一つ目は獲得率0.1%のプラチナトロフィー(※ゲームソフトのやり込み具合を表す指標)の有無で一次面接をスキップできる『プラチナトロフィー選考』。
二つ目は一番やりこんだゲームソフトと、そこから学んだことなどを書く『ゲーム履歴書選考』。
そして三つ目が選考の参加者同士で協力してゲームを攻略する『協力プレイ選考』があります。
こういった手法を導入した背景には、話題性はもちろんながら、これらの施策を面白がってくれる人を集めたいという意図があります。
『スキルマッチよりもカルチャーマッチ』が同社の採用スタンス。
長く活躍してくれる存在を求め『会社の想いに共感してくれる人』の採用に重きを置いています。
例2:中央交通株式会社
創業65年以上、名古屋に根差す、つばめタクシーグループの一員である同社が行った採用方法は『釣り面接』。
堅苦しい形式の面接はなし。
社長と船の上で釣りをしながら面接を行うというものです。
社長自身、毎週釣りに行き、「地元の釣り仲間で彼を知らない人はいない」と言われるほどの釣り好きとして知られています。
面接時の船代は会社負担、入社時には10万円相当の釣り道具がプレゼントされます。
この採用方法には、従来の方法ではアプローチできなかった層にアプローチする狙いがあります。
そして『趣味を楽しむために、仕事を全力で頑張る』という同社の想いに共感した人が応募してきてくれることを期待しているという面もあります。
同じ趣味を持つ仲間が増えることで、一層、組織のチームワークが強化されるという同社の考えが表れたユニークな採用方法と言えるでしょう。
例3:株式会社津田屋
カー用品店とガソリンスタンドの二つの事業を軸として展開する同社では、大学生の採用にあたって『車面接』を導入しています。
面接で車好きな学生さんに、愛車について語ってもらうというものです。
ひとえに車好きといっても、その車は、サーキット走行をしている車や、外装・内装などにこだわった車など様々なタイプがあります。
このような、それぞれ異なった車に対する想いから、応募者の個性が垣間見えるのでしょう。
同社いわく「学生の方は好きな車の話になると、緊張もなく素の部分を見せてくれる。
そのため弊社にとって車面接は、求職者のことを理解する上でとても大切な時間になっています」とのこと。
クルマにまつわる事業を手掛け、なおかつ採用において人柄を大切にしている同社だからこそ、成しえる施策だと言えます。
まとめ
企業によって採用の手法は様々ですが、その中でも共通していることがあります。
それは『自分の会社が、どういったビジョン(想い)を持っているのか』をしっかり理解していること。
『こういった自社の想いに共感してくれる人を採用するには、どうすべきか』の手段として、上記に挙げたような施策を試みていることが伺えます。
入社段階でのスキルがあるに越したことはありません。
長い目で見ると、自社の想いに共感してくれる人の方が会社で活躍してくれる存在に成長する可能性が高いでしょう。
すべての企業に同じような効果が期待できるわけではありませんが、「採用活動の本質的な課題を見つめ、改善に向けて動き出す」というスタンスは、いずれの企業においても重要ではないでしょうか。