少子高齢化・労働人口の減少などにより採用難と言われ人材の確保が難しくなっている昨今、人材の確保と同時に既存人材の流出防止も企業にとっての重要課題となっています。

 

既に欧米では人事マネジメントの一環として認知されていますが、長年終身雇用が主流だった日本ではまだ認知度が低いかもしれません。

 

そこでここでは、リテンションマネジメントについてご紹介していきます。

 

リテンションマネジメントとは

リテンション(retention)とは、「維持すること」や「引き留めること」という意味を持っています。

 

一般的にビジネス上では、顧客との関係をどのように維持していくかという戦略の意味合いで使われますが、人事的な戦略とした場合は「いかに従業員が会社と良好な関係性を築き、維持し続けていけるか」といった意味になります。

 

自社にとって必要な人材、優秀な人材が離職することなく、自社で長く能力を発揮し続けていくことができる環境づくり」のための具体的な施策を指します。

 

リテンションマネジメントには、大きく4つのアプローチ方法があります。

 

・社員にそれぞれ責任と権限を与え、適正に評価する
・仕事上の役割と労働対価に準じた「給与体系」を明確にする
・異動や能力・スキルアップへのチャレンジを推奨する
・社内コミュニケーションの活性化を図る

 

人材流出を防ぐ従来の手段としてまず挙げられるのは給与改善やインセンティブの支給などでしょう。

 

しかしながら最近は実力主義で個人の能力に沿った人事評価が主流となってきているため、その場凌ぎに見える給与対策だけではリテンションマネジメントとしては不十分。

 

給与面だけではなく、やりがいや目標を持てるか、福利厚生やワークライフバランスの満足度は…など、それぞれがその会社で働く価値を見つけられるよう、会社として継続的に機能させていく施策を考えることが大切です。

 

リテンションマネジメントのメリット

リテンションマネジメントは長期的な戦略のためすぐに結果が出るものではありませんが、うまく機能することで生まれるメリットはたくさんあります。

 

採用コストの削減

人材が流出したらその分の採用業務が発生しコストがかさみます。

 

他にも入退社手続きなどの事務や研修・引き継ぎなどに費やす労務や時間もかかりますが、人材が定着すればこれらの経費は不要。

 

人材の流出を防ぐことは採用コストを増やさないことにも繋がります。

 

従業員のモチベーション向上・維持

キャリア志向で仕事にやりがいを求める層に対しての環境づくりも大事です。

 

仕事にやりがいが持てる、スキルアップや自己成長が実感できる、福利厚生が充実している…など就業環境への配慮は従業員のモチベーションの低下を防ぐ効果が期待できます。

 

顧客や企業の機密情報の流出防止

人材の流出はそのまま企業機密や顧客情報が流出するリスクに繋がります。

 

同僚や部下を引き連れて独立するケースもありますが、流出を防ぐことができれば情報がそのまま維持され守られることになります。

 

ノウハウやネットワークの蓄積

どれだけ業務をシステム化しても、社内のノウハウや他社または顧客とのネットワークを完全に各社員から切り離すことは原理的に不可能でしょう。

 

社員が定着すれば、優れた社員が培ってきたノウハウやネットワークが流出せず、ノウハウや人脈も維持できます。

 

リテンションマネジメントの具体例

リテンションマネジメントの重要性に早くから着目し、積極的に取り組んで社員の定着率アップを実現させたITベンチャー企業の施策をモデルケースとしてご紹介します。

 

背景

入社1~2年目の若手社員の積極登用と権限委譲を推進したことで、年次に関係なく仕事の意欲や責任感は高くなりましたが、その分仕事と生活のバランスがとりにくくなり、多忙を理由に退職者が出ていました。

ベンチャー企業は会社環境や給与処遇面で中堅・大手企業と比べてどうしても格差があるため、他社にはないユニークな福利厚生制度を導入して社員の定着率改善に取り組みました。

 

導入した制度

他社にない特別休暇制度

◎連続5日間の特別休暇…2年間勤務で5日間の特別休暇を取得
◎1ヶ月間の長期休暇…勤続丸5年を経過した社員に、1ヶ月間の特別休暇を付加

 

ユニークな住宅手当

◎オフィス近くに住めば家賃補助…勤務オフィスの最寄駅2駅以内に住居を構える正社員に月3万円支給
◎長期勤続社員に対する家賃補助…勤続丸5年以上の正社員に月5万円支給

 

この企業は創業以来、堅実な経営姿勢を貫きながら人材採用にどの企業よりも時間とコストを注いできました。

その結果、数多くの優秀な社員を獲得し起業家精神を育むことに成功した数少ない企業です。

 

だからといってどの企業も同じ施策を行えばよいのではなく、業界や会社規模、自社の社員が何を求めているのかをしっかり見て取り組むことが大事です。

 

リテンションマネジメントの注意点

リテンションマネジメントは、優秀な人材が無闇に流出しないよう、会社と良い関係を築いて長く働ける環境にするための取り組みです。

 

決して「人材を引き留めるための手段」ではありません。

 

これまでは、優秀な人材の流出を防ぐ一番安易な方法は「報酬・給与の改善」でしたが、現在はほとんどの企業では給与改善のみで根本の問題を解決することは難しいのが現状です。

 

給与水準は決してよくない企業でも、社員のモチベーションが高いレベルで維持できていて活気ある会社も存在しますし、その一方で、高い給与水準にもかかわらず社員が次々と辞めてしまう会社も少なくありません。

 

必ずしも「リテンション」=「給与の改善」ではないことを認識しておきましょう。

 

大事なのは、給与だけではない部分=仕事に対するやりがいや専門的なスキルアップ、自己成長が望める就業環境かどうか、十分な福利厚生や手当はあるか、ワークライフバランスがとりやすい職場環境があるかなど、企業の状況を客観的かつ多方面から俯瞰する必要があることを忘れてはなりません。

 

多角的なアプローチが必要なので、長期的な戦略を立ててじっくり取り組みましょう。

 

まずは自社のネックは何か、一番多い離職理由は何か…を把握し、解決する優先順位が高い順から1つずつ確実に行っていくことがとても大事です。

 

まとめ

これまであまり注目されてこなかったリテンションマネジメントですが、人材採用難の昨今、新規人材の確保と同様に既存の人材の流出を防ぐための施策として、今後重要性が高くなると思われます。

決して「退職したいという社員を無理矢理引き留めるための施策」ではなく、「良い人材の定着を高めるための施策」であることが前提です。

何から始めていいかわからないという場合は、まず自社の社員が何を求めているのかを知ることから動いてみてはどうでしょうか。

 

そして、外部から客観的に見たときのネックポイントや、今までの退職理由を一つひとつきちんと分析して、自社に合った対策を考え、少しずつ実行しながら社員に浸透させていくことが大切です。

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