社員が社員を育てる「メンター制度」をご存じでしょうか。

 

新入社員など歴の浅い社員の相談に乗って指導や助言を行うこの制度はうまく活用することで、会社全体のレベルアップにもつながります。

 

しかし、実際に導入しようと思ってもやり方がわからない、そもそもどんなメリットがあるのかわからないという方も多いと思います。

 

今回は、メンター制度とは何か、目的やメリット・デメリットについて解説していきます。

 

企業での導入事例もご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

 

メンター制度とは

「メンター(Mentor)」とは仕事上、または人生における指導や助言を行う人を指す言葉です。

 

このメンターと呼ばれる役割を担う人が、「メンティ(Mentee)またはプロテジェ(protege)」と呼ばれる被指導者に助言を行うのが「メンター制度」です。

 

制度の内容の捉え方については企業ごとに若干異なりますが、一般的には指示・命令に基づく指導ではなく、助言や対話を通じ、メンティに自発的・自律的な成長を促す指導方法として流布しています。

 

また、メンターの役割を担うのがメンティの直属の上司・先輩ではなく、別の先輩社員や他部署の社員が担当するケースが多いのも特徴です。

 

メンティと関係が薄い社員が指導を担当するのには、仕事や人間関係、キャリア形成における悩みを打ち明けやすくするという意図があります。

 

この制度は1980年代のアメリカが発祥と言われています。

 

日本でもバブル崩壊以降、従来の終身雇用や年功序列といった人事制度が徐々に改められる中で、社員のメンタルヘルスが重視され、社員の悩みや疑問の解消を目的のひとつに掲げるメンター制度に注目が集まるようになりました。

 

メンター制度が活用される目的

日本でも導入が進みつつあるメンター制度ですが、これには具体的にどんな目的があるのでしょうか。

 

ここでは3つの目的についてご紹介していきます。

 

若手社員の成長と定着率の向上

メンターがメンティの悩みや課題を聞きつつ、自身の成功体験を交えた助言を行うことで、メンティは自分のキャリアに関するビジョンを描けるようになります。

 

メンターがロールモデルとなって仕事のやりがいを感じてもらえれば、メンティのモチベーションは上がり、定着率向上にも繋がっていくでしょう。

 

メンター自身の成長にも繋がる

メンティを通して、メンターも自身のキャリアや仕事内容を振り返ることができます。

 

初心を思い出せたり、「自分も後輩の相談を受けたり、指導をしたりする立場になった」という自信を持てたりするので、新たな気持ちでキャリア形成を考えられるようになるでしょう。

 

人材育成を重視した風土の醸成

メンター・メンティの関係で結ばれた社員が増えていけば、企業全体に人材育成の重要性が浸透していきます。

 

今メンティとして指導を受けている社員が次代のメンターとして後輩の指導に当たるという好循環が生まれれば、社員を大切にするという風土を若い世代に継承することができます。

 

社員個々人の成長と定着率の向上だけでなく、企業を永続的に維持していく上でも、メンター制度の必要性は高まっているといえるでしょう。

 

メンター制度のメリット・デメリット

次はメンター制度のメリットとデメリットをそれぞれみていきましょう。

 

メリット

メンター制度の一番のメリットは社内コミュニケーションが活発化することです。

 

メンターはメンティと同じ部署とは限りません。

 

つまり、メンター制度によって部署の枠を超えたコミュニケーションがはかれるのです。

 

また、メンティだった人がメンターになり、その後のメンティがまたメンターになりというサイクルができることで、メンターによるコミュニケーション輪が構築されます。

 

メンターは自分だけでなくメンティの様々な相談に乗ることにより、問題解決能力が高まるため、社内でメンターが増えていくことで、会社全体のレベルアップにもつながるのです。

 

さらに、メンター制度があることで社内での不満が減るため、社員のエンゲージメントを高められるのもメリットの一つですね。

 

デメリット

メンター制度の一番のデメリットとしてはメンターの負担が増えてしまうことです。

 

メンターは通常の業務に加えてメンティの相談も聞くことになるため、必然的に業務量が増えてしまいます。

 

また、メンターが直属の上司だった場合、今後の関係性を考えて相談ができないなんてことも考えられます。

 

さらに、メンターによってサポートに差が出るという面もあります。

 

つまり、ある程度業務に余裕があり、部下からも慕われるような人をメンターにする必要があるため、メンターの選定が非常に重要になってくるということですね。

 

メンターに適した人物

メンティの直属の上司・先輩がメンターを務めるわけではないため、メンターは他部署の社員の中から慎重に選ばなければなりません。

 

メンティの悩みに応えつつ、キャリア相談なども行う必要があることを踏まえ、ある程度の社歴を経た社員に任せましょう。

 

しかし、年が離れすぎると気軽に相談しづらくなってしまうため、入社3~5年が適当です。

 

メンターに適した人物像として挙げられるのは面倒見が良く、後輩の教育に関心がある人ですが、それ以前にメンターとメンティのマッチングを必ず意識するようにしましょう。

 

優秀なメンティにはトップの成績を収める社員をメンターにしたり、女性としての働き方を重視するメンティには育休から復帰した社員をロールモデルとしてメンターにしたりするなど、メンティの仕事に対する考え方、能力などを踏まえた上でアサインすることが重要です。

 

メンター制度の導入方法とそのポイントについて

メンター制度について色々と説明してきましたが、いざメンター制度を導入したいと思っていてもその方法がわからなければ導入は難しいですよね。

 

ここでは、メンター制度の導入方法とその際のポイントについてご紹介していきます。

 

運用ルールを定める

制度導入の際にまずすべきことは、運用ルールを定めることです。

 

最低限、「メンタリングの際に話し合われた内容は口外しない」「不都合が生じた際の相談窓口を設ける」「メンタリングは原則終業時間内に留めること」といった内容を周知徹底しておき、そこからメンタリングを行う期間、面談の頻度などを細かく定めていきましょう。

 

メンターへの指導、研修を実施

メンティの指導だけでなく、メンターを対象にした指導・研修も必須です。

 

メンティの成長を担う重要な役割であることを自覚してもらいながら、メンターとしての心構えや基礎知識、対話の方法を人事部主導でレクチャーし、メンターが自信を持ってメンタリングできるようサポートしていきましょう。

 

メンタリング内容は記録に残す

実際に行われたメンタリング時の相談内容はワークシートなどに記録し、次回面談を行う際の参考にしましょう。

 

ワークシートの内容を、制度を推進する人事部などとも共有していけば、メンター・メンティ双方へのフォローアップも可能になります。

 

メンタリングの期間が終了したら合同報告会を催し、記録したワークシートやアンケートの内容を集計・分析し、次回のメンタリングに活かすことで、徐々にノウハウを積み重ねていってください。

 

メンター制度の導入事例

具体的に導入方法が分かったところで、実際にメンター制度を取り入れている企業の事例をみていきましょう。

 

IT企業での導入事例

メンターになる社員には人事部からメンターになるための研修が行われ、そこでメンターとしてどのように立ち振る舞うべきかを学んでからメンティとの面談を行います。

 

実際の面談では、ある程度相談を聞いた後にアルコールを交えたコミュニケーションが認められているため、気軽に相談しやすい雰囲気作りも可能です。

 

実際に取り組んだところ、メンターの社員から相談を受けることによって新たな気づきがいくつもあったとのことです。

 

特に最近のデジタルネイティブ世代からは別視点の意見も聞けるため、メンター制度として以外の成果もあったそうです。

 

製造業での導入事例

5年目の社員をメンターとして採用し、新卒入社の社員の職場サポートをしています。

 

この企業ではメンター制度の結果を出すのに10年要したとのことですが、なんと離職率を50%台から10%台まで減らすことに成功しました。

 

成功の秘訣としては、サポートを精神面のフォローだけに絞ったところにあります。

 

業務への負担も少なく、精神面へのフォローをより手厚くすることができたとのことです。

 

メンター制度を正しく理解して効果的に活用しよう!

メンター制度はうまく活用することで多くのメリットを得られる制度です。

 

しかし、メンターの選定を間違えてしまうと逆にメンティの不満がたまってしまう可能性もあります。

 

この記事を読んで正しい方法でメンター制度を導入して効果を実感してみてくださいね。

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