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■POINT1:「即戦力」というワードに潜むリスク

中途採用を行う理由の多くは欠員補充です。理由を踏まえれば、退職者の穴を埋める求職者には「即戦力」を求めたくなるはず。1日でも早く現場で活躍してほしいというのが企業側の本音ですよね。

ここで気をつけなければならないのは、「即戦力だからといって何のフォローもせず、お手並み拝見と称してスキルを推しはかろうとすること」です。

 

実は仕事に対するスタイルが固まっている中途社員こそ、新卒社員以上に企業の風土や方針に関する教育が必要なのです。「わが社の考えはこうで、このような目標に向けて、こんなスタイルで仕事をしている」という情報を、入社研修などを通じて伝えることを怠れば、会社の方針と異なるスタイルを持つ中途社員は孤立し、早期退職することになりかねません。

「新卒と同じように」とは言わないまでも、新入社員として迎える体制を整え、しっかりしたフォローを行っていくことが必要です。

 

POINT2:採用段階のアプローチでも離職率は左右される

面接は重視しているが、ハローワークや求人サイトに掲載する募集要項は疎かになっているという企業様も少なくありません。募集は企業と求職者が接点を持つ最初のポイントであり、最初に求職者を選別するフィルターでもあり、採用時のミスマッチを防ぐ重要な要素です。

 

まずはどういう人材がほしいのかを経験やスキルはもちろん、性格や志向の面でもはっきりさせ、明確な採用基準を社内で共有してから募集広告を打ち出す必要があります。

「やる気のある人」というような漠然とした基準ではなく、「論理的に物事を考え、着実に仕事を進められる」「ストレスに耐性があり、厳しい環境でも打開策を自ら見つけ出せる」など、具体的なシチュエーションと絡めて掘り下げていきましょう。

 

晴れて採用が決まった後も、採用担当者の仕事は続きます。

「あれ、求人情報や面接で聞いていた話と違うぞ」という認識の違いも早期退職につながる大きな要因です。試用期間が終わるまでは人事からもフォローを行い、現状への不満をヒアリングして改善に努めることは必要です。

 

POINT3:横のつながりを感じさせる「ウェルカム感」と「同期」

<ウェルカム感>

あるコールセンターに入社した社員が、「『おはようございます』とはりきって挨拶しても、インカムをしている先輩たちは誰も振り向いてくれず、休み時間も声をかけてもらえなくて辞めてしまった」という話があります。

職場の雰囲気の悪さも離職率を高める原因になり得ることを考えると、周りの先輩社員が「あなたのことを気にかけている、歓迎している」という『ウェルカム感』を示すことが定着率アップに必要だとわかります。

 

<同期>

もうひとつ、社内でのつながりを感じてもらう上で必要なのが「同期」の存在です。新卒社員と違って同じ時期に入社する人がいるとは限りませんが、気軽に話ができる同期がいれば仕事の悩みなども共有しやすく、中途社員の心強い味方になってくれます。

ここで意識してほしいのは、「入社時期が同じ」という事実だけを提示するのではなく、「一定期間同じ時間を過ごさせて、交流が深まる状況を会社側が意識して作ること」です。4月~6月の間に入社した社員に、一緒に入社研修を受けさせるといった工夫をすることで、より横のつながりを感じやすくなり、チームワークを活かした働きも実践できるようになるでしょう。

 

POINT4:離職率の高い業界でも工夫次第で定着率は上げられる

ここで、業界平均よりも大幅に離職率を下げることに成功した企業の取り組みをご紹介します。

 

1:研修制度の導入 ~不動産業界A社~

OJTによる現場任せの指導に頼っていた状況を見直し、営業研修や管理職研修などを実施したA社。研修がきっかけで大きな成果を上げる社員が現れ始め、「研修よりも目の前のお客」という社内の意識も変わり、結果として定着率アップにつながったといいます。

 

2:理念への共感 ~飲食業界B社~

B社は創業者の掲げた「飲食業で世の中を明るくする」という理念を共有するための施策に力を入れています。明確な理念があるからこそ、求職者は自分の志向に合った会社か判断しやすく、入社後のギャップが少ないとのこと。過度な採用はせず、採用の基準を上げてミスマッチを減らすという発想ですね。

 

3:コミュニケーションの活発化 ~IT業界C社~

かつて28%だった離職率を4%まで低下させたC社が行ったのは、社内コミュニケーションの活発化でした。しっかり社員の話を聞くことで、社員一人ひとり求める働き方が異なることに気づき、あらゆる人事制度に手が加えられました。在宅ワークやサークル活動の促進により、離職率減少を実現させたとのことです。

 

■まとめ

「元々離職率の高い業界だから」といって、定着率アップの施策を怠るのは勿体ないことです。取り組み次第で優秀な人材が社内に留まり、会社の大きな発展に貢献することもあるのです。

まずは自社で行っている採用活動や中途社員のフォロー体制、会社全体の制度を見直してみてください。求職者を引きつけるアピールポイントの種がどこかに隠れているはず。

あとはその種を全社一丸となって育て、中途社員にとって居心地のいい環境になるよう努めるだけです。定着率アップは後々の求人でアピールできる大きな武器になるでしょう!

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