少子高齢化社会で売り手市場が続く中、「内定承諾率が低い」と感じている企業も多いと思います。
「内定辞退者を減らしたい」「逃したくない内定者がいる」などのお悩みはありませんか。
実は、内定承諾率は、選考中や選考後の対応で大きく変化することが分かっています。
今回は、内定承諾率を上げるための方法や実例について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
内定承諾率・内定辞退率とは?
内定承諾率とは、企業が内定を出し、それを承諾した求職者の割合です。
一方、内定辞退率は、内定をもらったものの、本人の意向によって辞退した求職者の割合を言います。
それぞれの計算方法は下記の通りです。
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内定承諾率=内定承諾者数÷内定取得者の総数
内定辞退率=内定辞退者数÷内定取得者の総数
内定取得者の総数=内定承諾者数+内定辞退者数
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就職みらい研究所「就職プロセス調査(2019年卒)」の調査によると、2019年卒の内定辞退率は67.8%となっていることから、内定承諾率は3割程度と推測されます。
この3割という非常に低い承諾率が、新卒採用市場の激化を物語っています。
少子高齢化が進む現在、これ以上の応募者の増加は見込めないことから内定承諾者を増やす施策に注力する企業が増えています。
内定承諾率を上げるための戦略としては2パターンが考えられます。
攻めの戦略
内定を承諾してほしい特定の学生に対して承諾得るための施策です。
例えば、選考の最終フェーズで入社後のシミュレーションや、価値観のすり合わせを行うことが挙げられます。
守りの戦略
内定を出した学生の取りこぼしを、最小限に止めるための施策です。
例えば、就職先を決める上での不安・疑問を解消できる支援や、情報を提供することが挙げられます。
攻めの戦略が「特定の内定者に積極的なアプローチをしかけるもの」であるのに対し、守りの戦略は、「内定者全体を逃さないようにするもの」と言えますね。
新卒採用の内定承諾率を上げる方法【選考中】
内定承諾率の戦略は2パターンあるとご説明しましたが、選考中は攻めの戦略が有効です。
欲しい人材を逃さないためにも、積極的にアプローチしていきましょう。
ここでは具体的な施策についてご紹介していきます。
より採用につなげられる人を面接官に選定する
応募者にとって面接官は会社の代表であり、その会社のイメージを左右する重要な人物です。
面接官との相性が入社の意思を左右することもあるため、学生と相性の良い社員など、より好印象を与えられるような社員を面接官に選定しましょう。
さらに、配属予定先の上司やエースを面接官として参加させると、仕事内容への理解が深まるため、モチベーションアップにも繋がります。
その際は、面接官による好みで評価がブレないよう、評価基準をしっかりと定めてください。
評価基準については「意外と知らない、採用成功に欠かせない「事前準備」とは? Part2」をご覧ください。
学生から積極的にヒアリングをする
選考中、企業側は自社について説明し、学生は自分をアピールします。
しかし、初めて社会に出る学生は、就職に対する不安や懸念を多く抱えているので、企業側はそれを解消できるような話をすることが重要です。
学生の抱えている不安や懸念点をしっかりとヒアリングするよう心がけましょう。
学生の知りたい情報を伝える
学生が「知りたい」と思う企業の情報は学生ごとにちがうため、それぞれの学生が知りたい情報を伝えることが重要です。
経営方針や企業理念、具体的な仕事内容などの基本的な情報を伝えるのはもちろんですが、知りたいと思っている情報が分からなかったら、その会社への印象は良くなりませんよね。
目の前の学生が「何を知りたいのか」を把握し、正確かつ丁寧に説明しましょう。
企業理解への手助けとなり、不安が解消されて内定承諾率向上に効果があります。
内定出しは早めに行う
最終選考後の内定出しはできるだけ早く行うことが重要です。
選考後の連絡が遅くなると学生が不安を感じやすくなり、面接で高まっていたモチベーションが低下していきます。
内定出しのタイミングが内定承諾率に影響することをしっかりと認識して、内定出しはスピーディーに対応しましょう。
新卒採用の内定承諾率を上げる方法【内定後】
社会人として初めて社会に出る学生は、就職や新しい職場に対して多くの不安や迷いを感じています。
内定後は内定者フォローによって、内定者の迷いを払しょくすることが重要です。
面談やランチなどの機会を設ける
内定後は、定期的に面談やランチなどの機会を設けましょう。
内定者と定期的にコミュニケーションを取ることで、モチベーションアップや入社意欲を固められるため、内定承諾率を上げる効果があります。
面談では下記のような点について説明やヒアリングを行い、内定者の不安解消に努めましょう。
・労働条件や配属先の説明
・仕事内容の説明
・内定者の不安や疑問のヒアリング
専任のリクルーターには、配属先の上司や相性の良さそうな先輩社員を充てるのがおすすめです。
関係性が構築されやすくなり、学生の本音を聞き出しやすくなります。
現場の社員がリクルーターになる場合は、話した内容をなるべく詳細に人事に報告することで、よりしっかりと学生の状況を把握できますよ。
ただし、頻繁に設定するとオワハラと捉えられる可能性があるので、注意が必要です。
オワハラについては「その面接、オワハラかも?人事が知っておくべきオワハラの実態」をご覧ください。
職場見学や内定後インターンシップを実施する
「入社後のイメージが上手くできない」という学生も多くいます。
内定後に入社してからのイメージをしっかりと持ってもらうことが重要です。
最近では、内定後にインターンシップを行う企業もあります。
内定後のインターンシップや職場見学により、職場の雰囲気や仕事内容への理解が深まって、入社後のイメージがしやすくなりますよ。
内定者懇談会を開く
他の内定者や先輩社員とコミュニケーションを取れる内定者懇談会は、入社意欲を高める目的で行われることが多いです。
同期入社となる人達や先輩社員と交流を深めることで、人間関係の不安を減らし、入社企業への理解が深まります。
内定者フォローについての詳細は「適切な内定者フォローとは?内定辞退を減らすためにできること」でご紹介しています。
実際に内定承諾率を上げた企業の行動
内定承諾率を上げるための方法をご紹介してきましたが、実際に内定承諾率が上がった企業の施策は知っておきたいですよね。
ここでは、内定承諾率が上がった企業の実例をご紹介します。
株式会社エイチーム
問題点1:選考フェーズへの移行率
エントリー数は多いものの、その後の選考フェーズへの移行率が半分以下であった。
問題点2:内定承諾率の低さ
内定辞退者が多く、内定承諾率が50%と非常に低い状態であった。
改善点1:全ての説明会をオンライン化
選考フェーズへの移行率の低さは、時間制限のある会社説明会に原因があると考え、それまで行っていた会場での説明会を辞め、下記2種類の動画をオンライン公開した。
企業紹介動画…社風や事業概要についての動画
職種別動画…職種ごとの業務内容についての動画
オンライン化して時間制限がなくなったことで情報の精度が増し、適性検査の移行率が前年の2倍と大幅に改善、内定率も向上した。
改善点2:選考期間変更&意思決定確認後の最終面接
特定のエリアだけ内定承諾率が低かったため、選考期間の違いに着目。
通常の選考期間が3か月なのに対し、承諾率が低いエリアでは選考期間が4か月となっていたので、承諾率の低いエリアでも選考を3ヶ月で完了するように変更した。
さらに入社への意識を高めるために、入社の意思決定期日の設定とリクルーターとの面談を実施した。
その結果、内定承諾率が50%⇒80%と大幅に改善した。
今後は内定承諾率を上げる攻めの姿勢が必要!
今後はさらなる採用難が続いていくと推測され、応募者を増やすのは難しいでしょう。
応募してくれた人を確実に採用していく必要があるので、今後の採用活動では内定承諾率を上げることが非常に重要です。
内定辞退者をゼロにすることは難しいですが、この記事を参考に自社の採用活動を見直してみてください。