企業として「顧客満足度」を重視することは当然ですが、サービス向上に力を入れるばかりに、深夜勤務や長時間労働をはじめとした「労働環境の悪化」が進行し、結果的に従業員のモチベーション低下や業績不調に繋がっている企業も少なくありません。
そこで今回は、顧客だけではなく従業員は満足しているのか、またそれを調査することでどういったメリットがあるのかをご紹介します。
従業員満足度調査とは?
その名の通り、「従業員が職場環境や、職務内容、人間関係などに満足した状態で働けているか」を調査すること。
顧客満足度(=CS)と従業員満足度(=ES)は関係ないのでは?
という声も聞きますが、「就業環境・職場環境・待遇など、会社に対する満足度を高めることで企業の業績を向上させることができる」という意味では、実は密接な関係にあるのです。
従業員満足度を高めることで顧客満足度も相乗的に高まり、企業の業績向上に繋がれば、双方にとってこれほど好ましいことはないでしょう。
従業員が抱く会社への意識や問題点を把握し、人事制度・評価・福利厚生・労務管理などのさまざまな環境改善の資料とするために、従業員満足度調査を行うことが重要視されています。
従業員満足度調査の目的
◎従業員満足度の向上
◎管理職クラスのマネジメントスキル向上
◎相互協力の活性化
大きく分類すると、これらの3つのテーマが中心にあげられます。
従業員満足度の向上は、調査のなかで浮き彫りになった会社の課題や従業員の希望をヒントにすることで、人事面や福利厚生を充実させることができます。
調査を通して実態を把握し問題解決への道筋を立てていくことで管理職クラスのマネジメントスキルの向上が見込まれ、意見や課題を発信することで主体性を持たせ相互協力を活性化させていくといった効果も考えられます。
調査の実施フロー
調査目的の明確化
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対象の選定
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調査項目の検討
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調査方法の決定
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調査の実施
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調査結果の集計・分析・管理
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調査結果の活用
こちらも細かく解説します。
調査目的の明確化~検討
例えば、「改定した人事制度が効果を果たしているか」「離職率を下げるために従業員満足度を高めるには何が必要か」といったように、目的を明確にすることで、得られる調査結果や従業員満足度向上のヒントは大きく異なります。
目的が明確になれば自然と調査対象者も見えてくるでしょう。
事業部ごとや、役職、職位、年齢や性別ごとといったように対象を選定することで、より濃度の高い結果を得られると考えられます。
同時に、対象に応じた調査項目も検討していきましょう。
調査の決定~実施
「アンケート調査」「インタビュー」といった従業員への調査方法に加え、支店・工場・事業所の清潔度やインフラなどを調査する「施設環境の調査」という手法も。
これらも、明確にされた目標に合わせて決定し、実施していきます。
調査結果の集計・分析・管理~活用
得られたデータを分析し、各種施策に反映させます。
この段階で、特に施策に反映できるような調査結果が得られていないのであれば、調査方法の見直しや再実施についての検討が必要になります。
収集したデータは、次回からの調査結果と比較できるように集計し保存しておきましょう。
施策の事例
法定外休暇の整備
法定外休暇とは、法律に根拠のある法廷休暇(年次有給休暇など)とは異なり、企業ごとに就業規則の中で設けて取得できる休暇のこと。
ワークライフバランスの実現に向けて設ける企業もあり、慶弔休暇、病気休暇、リフレッシュ休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇など形はさまざま。
企業が取得しやすい環境を整えることで、従業員は自分の生活も大事にしながら働き続けられる――そんなWIN-WINな環境づくりも企業風土の向上に繋がっているようです。
表彰制度の整備
例えば、長時間就労された方や定年を迎えた方、営業成績優秀者に、なかには人命救助などの善行など、従業員を表彰する制度を設けている企業も増えてきています。
これらは、従業員のモチベーション向上を狙いとした施策。
受賞の機会が平等か、評価基準がオープンかなど、公平性が保たれていなければ反対に従業員のモチベーションを下げかねないので注意しましょう。
まとめ
働き方改革の声があがる現代において、従業員満足度は企業運営の重要な指標となっていくでしょう。
今後の会社づくりにお悩みの方は、従業員満足度調査を実施してみてはいかがでしょうか。