ある日突然、従業員が蒸発してしまう「ゴースティング」。
日本では従業員が急に音信不通となり、そのまま退職してしまうことを“バックレ”などと呼んでいます。
ゴースティングによって損害を被るケースもあり、企業を悩ませている問題です。
この記事では、近年増加しているゴースティングとは何か、ゴースティングの起こる原因、対策などをご紹介しています。
ゴースティングとは
ゴースティングとは、職場の従業員や選考途中の応募者と突然連絡が取れなくなってしまうことです。
元はSNSの出会い系などで突然何の連絡もなく、デート相手との関係を切ってしまう意味で使われていたものが、職場でも流用されるようになりました。
ゴースティングはアメリカで急増しており、問題となっています。
急増した背景は失業率の低い状態が続き、求職者よりも求人数の方が多い“売り手市場”になっていることが一因です。
求職者が非常に有利な状態が続いていることから、「誰でも転職できる状態なのに、わざわざ面倒事を起こしたくない」と考える人たちによって、ある日ふっと消えてしまうゴースティングが増加していると言われています。
企業を悩ますゴースティングは、アメリカだけの問題ではありません。
日本もアメリカと同じように、人手不足から厳しい採用市場となっており、ゴースティングする応募者や従業員が増加しています。
ゴースティングのように突然辞めてしまうと、十分な引継ぎなどもされていないため、品質低下や残された従業員への負担増加など、様々な問題を引き起こします。
ゴースティングは企業側にも問題あり!?
ゴースティングは人手不足から起こった売り手市場が一端にありますが、企業側の対応が原因の場合もあります。
今まで採用選考の落選結果を応募者へ伝えず、そのまま終了というフローを行ってきた企業も多かったため、「雇用側が応募者に対してゴースティングしてきたのだから、こちらがゴースティングしてもおかしくないのでは」という声も上がっていることから、採用担当者への反発も原因の一つにあると言えます。
また、従業員のゴースティングは雇用開始してから6ヶ月以内に発生するケースが多く、管理者と従業員の関係が十分に構築されていないことが原因とされています。
部下が成長する機会と考え、わざとフィードバックを減らしたり、仕事を任せたりしているケースもあり、
「仕事のフィードバックをもらえない」
「評価してもらっていない」
「無視されている」
など、裏目に出てしまうこともあります。
日ごろからコミュニケーションを取り、関係を構築することが重要です。
ゴースティングを起こしやすい人の特徴
この段落では、ゴースティングする従業員の特徴を紹介します。
真面目で内向的
“自己主張が苦手”“自分の発言に対する他者の反応が怖い”“些細なことを考え込んでしまう”など内向的なタイプが多いと言われています。
嫌なことや、気になることがあっても我慢し続け、限界が訪れたところで“突然会社に来なくなる”という事態が起こるのです。
ストレスを溜めやすい人は限界まで頑張ってしまう傾向にあるため、より一層コミュニケーションを取って、どのような状態にあるのか把握する必要があります。
上司との関係が良好でない
日常的に高圧的な態度の上司がいる場合、部下は退職を申し出ることに恐怖感があります。
上司の機嫌を損ねれば叱責されることが分かっているため、退職を切り出すことができず、ゴースティングしてしまうというケースも。
実際、『いじめ・嫌がらせ』のパワハラ相談件数は年々上昇しており、厚生労働省の調べによると平成30年には80,000件を超え、過去最高の相談件数となっています。
フラストレーションがたまっている
前述したように、「自分の意見は聞いてもらえない」「正当な評価を受けていない」と感じフラストレーションが溜まっている場合、どうでもよくなり手順を踏まずに突然連絡が途絶えてしまう、ということも多いようです。
ゴースティングの対策
コミュニケーション不足の解消
ゴースティングの原因は、コミュニケーション不足によるところが大きいです。
定期的に1on1ミーティングを行ったり、ランチへ一緒に行ったりなど、コミュニケーションを図ることが重要です。
仕事の話ばかりではなく、プライベートな話をすることが信頼関係の構築に欠かせません。
コミュニケーションを密接に取り合い、不安を解消させましょう。
従業員満足度の向上
従業員満足度の低い企業は離職率も高い傾向にあります。
従業員の働きやすい環境を整え、従業員のモチベ―ションを向上させことがゴースティングの対策となります。
労働環境や評価制度、福利厚生など、企業の課題を把握することが重要です。
課題から改善に取り組むことで従業員満足度も向上し、企業アピールにもなるため、優秀な人材を確保することにも繋がります。
リファラル採用
職場の人から知人を紹介してもらうリファラル採用は、紹介者の手前、突然退職する事態を防ぐには有効と考えられます。
リファラル採用は社内を良く知る人物からの紹介のため、マッチング率が高い傾向にあり、採用コストの削減にも繋がります。
まとめ
応募者や従業員が突然消える“ゴースティング”についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ゴースティングは非常識な行動ではありますが、なぜそれが起こってしまったのかを知る必要があります。
仕事量に問題はなかったか、パワハラなどを受けていなかったか、などゴースティングした従業員の状況を把握することが、次のゴースティングを防ぐことに繋がります。
離職率の低い企業や、従業員満足度の高い企業ほどゴースティングが起こりにくいため、コミュニケーションの活性化や、労働環境整備などで企業の課題を改善していきましょう。