採用CXとは? 注目の背景やメリット、改善方法、導入事例について解説

売り手市場がつづく近年、自社の選考を受ける価値を提供する「採用CX」に注目が集まっています。

 

採用CXは、候補者の応募・入社意欲向上だけでなく、ミスマッチ減少につながるため、採用力向上を期待できます。

 

この記事では、採用CXの概要やメリット、採用CXの改善方法について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

採用CXに取り組まないときのリスクや導入事例についてもご紹介します。

 

採用CXとは

採用CXとは、「Candidate(候補者)」×「Experience(体験)」の略で、候補者が企業を認知してから入社するまでの各プロセスにおける体験(タッチポイント)のことです。

 

候補者は、企業の公式SNSや求人情報、面接でのやりとり、合否連絡、内定者への説明など、さまざまプロセスを経て、入社に至ります。

 

採用CXは、こうしたプロセスを改善することで、合否結果にかかわらず「この企業の選考を受けて良かった」と思ってもらえる状態を目指します。

 

採用CXの向上は、自社へのエンゲージメントを高め、優秀人材を採用しやすくさせる効果があるため、多くの企業が実施するようになりました。

 

採用CXに注目が集まる背景

ではなぜ、候補者に有意義な体験を提供する「採用CX」を行う必要があるのでしょうか。

 

採用CXに注目が集まっている背景について見ていきましょう。

 

1.生産年齢人口の減少

引用:総務省『平成28年版 情報通信白書|人口減少社会の到来

 

少子高齢化が進む日本では、労働の中心を担う生産年齢人口(15~64歳)が年々減少しています。

 

総務省の公表によると、1995年の約8,700万人をピークに減少し続け、2060年には4,400万人にまで減少すると予測されています。

 

働き手の減少によって企業間の人材獲得競争が激化している中、優秀な人材を獲得するには、数ある企業の中から選ばれなくてはなりません。

 

採用CXは、候補者に有意義な体験を提供することで、他社との差別化を図れるため、注目が高まっています。

 

2.雇用の流動化

現在日本では、長らくつづいた年功序列をもとにした終身雇用制度が崩壊しつつあります。

 

勤続年数に伴う昇給・昇格と、定年までの雇用が保証されなくなったことで転職が一般化し、キャリアアップを目指して転職する人も増えました。

 

雇用の流動化が進む中で人材を確保するには、候補者に「この会社で働きたい」と思わせる必要があるため、エンゲージメントを高める採用CXが注目されています。

 

3.SNSの普及に伴う採用情報の透明化

インターネットの普及により、候補者はSNSや口コミサイトなど、あらゆるチャネルを使って企業情報を収集するようになりました。

 

特に、若年層は口コミを重視する傾向にあるため、面接・面談の感想や職場環境に関するネガティブな情報が書かれていると、応募を控えてしまう可能性があります。

 

その反面、ポジティブな情報が広まれば認知度や企業イメージが向上するため、応募者増加など採用にも好影響を与えます。

 

採用情報の透明化が進んだ現代では、ポジティブな情報が候補者の応募や入社を後押しするため、採用CXに注目が集まりました。

 

採用CXに取り組むメリット

つづいて、採用CXに取り組むと、どのようなメリットを得られるのか見ていきましょう。

 

ファンの獲得

採用CXへの取り組みは自社のファン獲得に役立ちます。

 

「丁寧に面接のフィードバックしてくれた」「答えづらい質問にも嫌な顔ひとつせず、誠実に対応してくれた」などのポジティブな経験をした候補者は、企業に好印象を抱きます。

 

たとえ不採用になっても、自分が体験したポジティブな情報を広めたり、お互いのマッチ度が高まったタイミングで再び応募してくれたりすることもあるでしょう。

 

自社のファンになってもらえれば、採用の可能性がある人材データベースを構築できるため、安定的な人材の確保につながります。

 

 

 

従業員エンゲージメントの向上

一般的に、求職者は複数の企業と並行して選考を受けており、各企業の対応を比較検討しています。

 

そのため、他社では得られない有意義な体験をした候補者は、「この会社のために働きたい」という愛着心や貢献意欲が高い状態で入社してきます。

 

従業員エンゲージメントの高まりは、自主性や積極性を育むため、従業員の成長・活躍を促し、企業全体の生産性を向上させるでしょう。

 

ミスマッチの防止

採用CXへの取り組みは、ミスマッチ防止につながります。

 

というのも、採用CXに取り組むと、企業の魅力や内情といった情報を提供したり、候補者と緊密なコミュニケーションを取ったりする機会が増えるためです。

 

相互理解が深まることでマッチ度が図りやすくなるため、ミスマッチの防止につながります。

 

採用CXに取り組まない場合のリスク

採用CXに取り組まなかった場合、採用活動で不利な状況に陥る可能性があります。

 

では、具体的にどういったリスクがあるのか、見ていきましょう。

 

企業イメージが悪化する恐れがある

企業イメージが悪化する恐れがある

引用:Software Advice『8 Tips for Improving the Online Candidate Experience

 

採用担当者や面接官の態度が悪い、レスポンスが遅くて進まないなど、採用CXが悪いと企業イメージが悪化する恐れがあります。

 

企業イメージは、消費者や求職者といったステークホルダーに大きな影響を与えるため、イメージが悪化すると業績や採用に悪影響を及ぼす可能性が高まります。

 

アメリカのコンサルタント企業『Software Advice』が行った調査によると、悪い採用CXをした候補者は、

 

求人関連の口コミサイトに悪いレビューを書く…48%

商品・サービスを買わない…42%

他の人にも買わないようすすめる…34%

 

といった結果が出ました。

 

したがって、採用CXに取り組まないと企業イメージが悪化し、企業に大きなダメージを与える可能性があります。

 

母集団形成失敗のリスクが高まる

採用CXに取り組まない場合、他社との差別化がしづらくなり、認知度も上がりにくくなります。

 

また、候補者は企業のあらゆる情報を収集した上で、応募するかどうかを判断しているため、SNSや口コミサイトの悪評を見ると警戒して応募を控えるでしょう。

 

よって、採用CXに取り組まないと採用候補者を集められず、母集団形成が失敗する可能性が高まります。

 

採用歩留まりが悪化する可能性がある

売り手市場がつづく近年、候補者は各企業の対応を比較検討して入社先を決めるようになりました。

 

そのため、採用CXに取り組まないと、企業に良いイメージを持ってもらえず、選考辞退や内定辞退が増える可能性があります。

 

歩留まりが悪化すれば、予定していた人員を確保できないため、採用活動の長期化はもちろん事業活動に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

 

特に、優秀な人材ほど複数社から内定をもらうため、激しい人材獲得競争の中で優秀人材を獲得するには採用CXが欠かせません。

 

採用CXの全体像(タッチポイント)

採用CXを高めるには、採用候補者との接点である「タッチポイント」ごとに施策を講じる必要があります。

 

フェーズ0.企業準備

人材採用は事業を成長させるために行う活動です。

 

そのため、まずは自社で伸ばすべきKGI・KPIを把握し、それを達成するために必要な人材のスキルやマインドを明らかにするに必要があります。

 

具体的には、

  1. 事業理解
  2. 採用計画の策定
  3. 自社の魅力の整理
  4. ペルソナ策定
  5. 採用基準の明確化
  6. 競合他社分析
  7. 面接官のロープレ

などを行いましょう。

 

どれほど優秀な人材でも、KGI・KPI達成に必要なスキルやマインドを持っていなければ、ミスマッチが発生します。

 

自社で活躍する人材を採用するためにも、事前準備が欠かせません。

 

フェーズ1.認知

事前準備が整ったら、認知活動です。

 

採用ターゲットに「この会社良さそう」「ここで働いてみたい」と思ってもらえるよう、企業の魅力や特色をアピールしましょう。

 

たとえば、

  1. 求人票
  2. 採用サイト・コーポレートサイト
  3. 社員インタビュー記事
  4. SNS
  5. YouTube
  6. 自社イベント・交流会

などを組み合わせて、候補者とのタッチポイントを生み出します。

 

求人サイトや求人検索エンジンへの求人票掲載だけでは不十分です。

 

候補者たちはあらゆる情報をもとに応募や入社を決めているため、採用サイトやコーポレートサイト、YouTubeを活用して積極的に情報提供しましょう。

 

また、若年層はSNSで情報収集する人が多いため、SNSでの情報収集もおすすめです。

 

SNSの拡散力を利用すれば、就職・転職活動をしている「顕在層」だけでなく、ニーズはあっても具体的な行動をしていない「潜在層」への認知拡大も期待できます。

 

フェーズ2.応募

大半の候補者は複数の企業に応募しているため、レスポンスが遅かったり、誠意のない対応をしたりすると選考辞退につながります。

 

具体的には、

  1. 座談会
  2. 会社説明会
  3. カジュアル面談
  4. インターンシップ
  5. スカウト承諾後のメッセージ
  6. SNSでのやりとり
  7. リファラル(社員からの紹介)
  8. 採用担当者からの返信

といったタッチポイントを活用して、候補者に好印象を与えましょう。

 

迅速かつ丁寧な対応を心がけることで、採用歩留まりを改善できます。

 

対応の抜け漏れがないよう、採用管理システムなどのツールを活用しましょう。

 

フェーズ3.選考

選考は、候補者の入社意欲やエンゲージメントを高める重要なフェーズです。

 

候補者は選考で初めて採用担当者と顔を合わせることになるので、オフライン・オンライン問わず、候補者に寄り添った対応で好印象を与えましょう。

 

意識するべきタッチポイントは、

  1. オフィス内での社員の対応
  2. オフィスの雰囲気・内装
  3. 採用ピッチ資料(会社説明資料)
  4. 面接・面談時のアイスブレイク
  5. 面接官の質問
  6. 候補者の質問に対する回答
  7. 合否連絡
  8. 選考中のコミュニケーション

などです。

 

候補者はさまざまな疑問や不安を抱えています。

 

選考段階でいかに疑問・不安を解消できるかが採用歩留まり率を大きく左右するため、しっかりとコミュニケーションを取り、候補者の不安を払拭しましょう。

 

休暇や給与といった聞きづらい情報を採用ピッチ資料にまとめ、面談・面接前に送付しておく、などの対応もおすすめです。

 

また、面接や面談の場に配属予定の現場社員を同席させると、詳細な説明ができるため、より一層候補者の理解が促進されます。

 

フェーズ4.内定/入社

内定を出したからといって必ずしも入社してもらえるとは限りません。

他社に流れたり、内定ブルーになって内定を辞退したりすることもあるので、内定フォローを行いましょう。

 

たとえば、

  1. 条件交渉
  2. 内定通知
  3. 内定者面談
  4. 内定者懇親会
  5. 社内イベント参加
  6. 入社前研修
  7. オフィス見学

といったタッチポイントで、入社まで継続的に接点を持つことが重要です。

 

内定者へのフォローも大切ですが、不採用者にも誠実に対応しましょう。

 

自社のファンになってもらえば、採用要件を満たしたときに、再度応募してもらえる可能性が高まります。

 

採用CXの改善方法

ここでは、具体的な採用CXの改善方法についてご紹介します。

 

ペルソナの見直し

採用活動では、自社の求める人物像を起点に、効果的な採用手法やメディア、提供情報、採用基準などを決めます。

 

そのため、ペルソナを使い回していると、本当に必要としている人材に訴求できません。

 

母集団を形成できてもターゲットと異なる人材ばかりでは、採用担当者の負担が増加してしまうため、ペルソナの見直しが欠かせません。

 

年齢や性別、居住エリア、家族構成、よく使うメディア、行動特性などを設定して、自社の求める人物像を明確化させましょう。

 

候補者へのスピーディーな対応

採用活動中は、面談・面接、求人や応募者の管理、社内調整など、数多くのタスクをこなさなくてはならないため、緊急度の低い候補者との連絡は後回しにしがちです。

 

しかし、一般的に候補者は複数の企業に応募しているため、レスポンスが遅いと企業イメージが悪化し、他企業に流れやすくなります。

 

迅速かつ丁寧な対応で採用CXを高めましょう。

 

採用管理システム(ATS)の活用

採用管理システム(ATS)の導入も、採用CXの向上に有効です。

 

ATSは、複数メディアに掲載している求人票の管理や選考状況、候補者の評価データ、メールのやりとりなどが一元管理できるシステムです。

 

個別の情報管理は、対応の抜け漏れが発生しやすくなるだけでなく、工数もかかります。

 

ATSを導入して効率よく採用活動ができれば、面接や内定フォローといったコア業務に注力できるようになります。

 

採用ピッチ資料の事前送付

採用ピッチ資料は、候補者に送る会社説明資料です。

 

事前に採用ピッチ資料を送付しておくと、基本的な企業情報を理解した状態の候補者と面談・面接をスタートできます。

 

採用ピッチ資料に沿った質疑応答など、より深い企業理解の促進、候補者とのキャリアパスや価値観のすり合わせに時間を使えるため、選考の精度が向上します。

 

フィードバックの実施

フィードバックの実施も採用CX改善に効果的です。

 

面接で感じた候補者の良い点、改善するべき点などを伝えると、候補者は「自分と真剣に向き合ってくれている」と感じます。

 

信頼関係を築きやすくなり、自社へのエンゲージメントも高まるため、選考辞退・内定辞退の防止につながります。

 

面接実施前にロープレを行う

面接官は、企業イメージを大きく左右させます。

 

面接官の対応によって入社するかどうかを決める候補者も多いため、面接を担当する社員には事前にロープレをさせましょう。

 

アイスブレイクの方法や質問の掘り下げ方が分かれば、候補者の本音を引き出しやすくなります。

 

また、事前研修で面接官の心構えやマナー、タブーな質問といった基礎知識を身につけさせることも重要です。

 

採用CXに取り組む企業事例4選

採用CX導入のヒントを得るためにも、他企業の成功事例を見ていきましょう。

 

株式会社メルカリ

フリマアプリを運営するメルカリでは、2018年から採用の仕組み化に着手しています。

 

採用の3大ポイントとして、ミッション共感・バリュー体現・カルチャーフィットを設定し、バリュー体現の判断基準を3段階の行動レベルで定義しました。

 

さらに、選考プロセスの体系化や面接の構造化、面接官トレーニングの実施、選考を終えた候補者へのアンケートで選考プロセスへのフィードバックを集め、定期的に施策を見直しています。

 

結果として、100名を超える採用担当者の判断基準が共有できるようになり、優秀人材を採用できる機会が増えました。

 

また、候補者に「この会社を受けて良かった」と思ってもらえるようになったことで、ブランディング効果も得られたそうです。

 

Airbnbの事例

民泊サービスを展開するAirbnbは、いち早く採用CX取り組んだ企業として有名です。

 

Airbnbでは、採用を見送った人をフィードバック面談に招待し、丁寧なフォローを実施するなどの施策を実施しました。

 

候補者への誠実な対応に注力した結果、課題だったミスマッチが減少し、効率よく採用活動を進められるようになったそうです。

 

加えて、自社イメージが向上したことで、再応募や知人への紹介にもつながり、採用活動に好影響を与えています。

 

採用CXは効率的な採用活動につながる

激しい人材獲得競争の中で優秀な人材を確保するには、候補者に数ある企業の中から自社を選んで必要があります。

 

認知段階から自社に好印象を与え、選考や内定フォローで候補者とのコミュニケーションを丁寧に行ってエンゲージメントを高めましょう。

 

各採用プロセスを見直し、少しでも良い候補者体験を提供することができれば、企業のイメージアップや採用力向上につながるはずです。

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